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MUFGは「世界トップ5を目指す」というが…
MUFGの時価総額が7月13日に日本でトップ(42兆円)になって、半澤社長は、世界トップ5の金融グループ入りを目ざすと語ったことがメディアで報じられました。
「世界で大きな存在になれば年金受給者としても安心」という声も聞かれますが、この目標の行く手には、日本経済の構造的課題、国際金融市場の変化、そして日本の銀行業のビジネスモデルの限界が複雑に絡み合っており、その意味と先行きを考えたいものです。
難儀な問題がいくつも
まず、日本経済の体質として、円安が是正されない状況が続いています。人口減少、潜在成長率の低さ、財政赤字の常態化、そして日銀の長期にわたる金融緩和が背景にあります。この環境下では、インフレが進みやすく、輸入物価の上昇が家計や企業のコスト負担を増大させます。中小企業では特に経営難を招き、倒産や廃業などに繋がり易くなります。
銀行にとって与信費用が多額必要、預金集めが進まない、などの面が強まります。海外では、資金調達において円安プレミアムを支払う必要が生じ、ドル建て調達コストが上昇します。MUFGのように海外事業比率が高い銀行ほど、この負担は大きくなります。半澤社長が「調達手段の多様化」を強調する背景には、こうした日本経済の構造的弱さがあると言えます。
海外大手と大きな違いが…
次に、海外大手金融機関のビジネスモデルとの違いです。日本の銀行は、預金を集めて貸し出す「預貸業務」を中心とする、いわば「農耕型」が基本です。一方、米欧の大手金融機関は、M&A仲介、企業買収、資産運用、投資銀行業務など、フィー収入の比率が高い「狩猟型」が主流です。市場変動を巧みに利用し、企業を「転がす」ことで高額の手数料を得る体質と言えます。
アメリカの大銀行は銀行と証券業務の兼営規制が緩和されグループ内では実質的に一体経営です。欧州の大銀行は隔壁制約が低くグループ内一体経営が基本です。
日本では戦前の反省から金融持ち株会社は禁止されていたのが解禁され三メガバンクが発足したものの、銀証併営は隔壁で規制されています。三メガは規制撤廃を求めてきましたが、実現していないのにMUFGの経営上層部が違反し処分されました。
トップ5を目指すにはこの規制撤廃要求が強まり、弱肉強食の競争が強まります。果たしてこんな方向が世のためになることか?問われてきます。
MUFGはモルガン・スタンレーとの提携を通じて投資銀行業務を強化していますが、歴史的にも文化的にも、日本の銀行が米欧型の狩猟型モデルと競争するには土俵が違うとも言え、肩を並べることは容易ではありません。
国内企業の多くは保守的で、M&Aやレバレッジ取引に慎重であり、米欧のような高額フィーを継続的に得る市場環境が整っていないのです。
弱肉強食に走るのでないか
さらに、トップ5目標は国内中小企業やローン利用者、小口預金者から批判されやすい面があります。銀行がROE(当期純利益÷自己資本)向上を強く打ち出すと、貸出金利や手数料の引き上げ、高リスク中小企業への貸し出し消極姿勢などが起きやすくなります。
実際、世界の大手銀行は高収益を維持するために、個人向けサービスの手数料を引き上げたり、低収益部門を縮小したりする傾向があります。銀行自身が既に両替手数料アップなど不評を買ってきました。収益性を追求するほど、国内の零細企業や生活者にとっては負担増につながる可能性があります。
半澤社長の所信は、株主や海外投資家には歓迎される一方、国内取引先からは「銀行が儲けるために負担を押し付けられるのではないか」という懸念や警戒感を招きやすい面があると言えます。
何のため誰のためのトップ5入りか
そもそも「世界トップ5入り」という目標の意義は何でしょうか。銀行が巨大化しても、利用者にとって貸出金利が下がるとか預金金利を上げる訳でもないし、手数料が減る訳でもありません。他行と利益や資産規模を競う過程で利用者の利益と背馳したり株価アップのために配当や自社株買いに力を入れる経営が強まる懸念が出てきませんか。
役員には株価が反映する株式報酬制度があり頑張りがいがあるでしょう。
しかし、総資産額がここまで増えてきた背景には、永らくの利用者そして従業員・元従業員の寄与があります。配当増や自社株買いを重ねて来れたのも経営陣の才覚と働きだけでないハズで、今後も一路邁進増やし続け得るものでもないハズです。
MUFGは「多様なステークホルダー(利害関係者)とのネットワークを活かし、金融の機能を通じて世界を「つなぐ」存在になる。「つなぐ」ことで、あらゆるステークホルダーのチカラになりたいと考えています」と内外に宣言していることとどう繋がるのでしょうか。
低金利下では預貸業務の稼ぎが弱まりATM機や店舗を減らしたり、手数料稼ぎコスト削減のため両替手数料の増収策などで不興を買いました。総人件費抑え込みのためベアは見送りや低率を長く続け、退職金改善は1996年の従業員組合の要求を拒否以降、改善しない他方で企業年金にキャッシュバランスプランを導入して国債市況で給付が変わる仕組みとし(2010年)、賃下げ前提の奇妙年金を導入しました(2015年。詳しくは10頁参照)。今の総資産はこうした積み重ねの上に在ることを経営陣は銘記して欲しいものです。
世界のチカラになるというが
気候危機が深刻化する状況下、三菱UFJ銀行は国際的な気候変動対策の銀行連合に参加していたのに脱退しました。武器製造や核兵器関連企業への融資が問われています。(MUFGの核兵器関連企業への投融資額は129.31億ドル≒2兆円でMUFGは世界で第9位 の規模。ほか前号に記載)。
高市内閣が軍拡方向を強めるなか、大沢頭取は「国家戦略分野への資金供給は銀行の使命」など述べました。政府が設置の「総合的な国力から安全保障を考える有識者会議にMUFG元会長三毛氏が参加。銀行は従来、防衛ファイナンスには慎重な対応を取ってきたものの「欧州では防衛産業への融資を見直す動き、日本も防衛ファイナンスを議論すべき」との発言趣旨が記載されています。(発言者名は非開示ながら、銀行業界からは三毛氏のみ参加)
また、MUFG、銀行は資産運用立国方針に即した経営体制をとり施策を推進、扱う巨額資金が軍拡傾斜の「成長戦略」に組み込まれつつあります。
このような方向は真に世の為人の為、世界のチカラになることでしょうか。むしろ、歪んだ資本主義経済・金融の根底にある政治を国民本位に正すよう持てる影響力を発揮するなら評価されましょう。しかし実際には例えばアベノミクスの異次元の金融緩和には批判や反対はせず従うだけで、その枠内での経営でした。(2016年に平野MUFG社長は国債政策に異議を示す形で国債取引の特別資格を返上したものの代わりに三菱UFJモルガン・スタンレー証券が参加のため恰好だけと批判されたことあり) 高市政権の積極財政にも無音ですが、利上げ局面で利益になるからとインフレ必至も容認なのでしょうか。
今、資産運用立国政策が進められ、公的年金・企業年金の資金も含め巨額資金が軍拡とも繋がる「17の重点分野」に注がれてインフレ加速の可能性が強まっているとき、協力する方向は問題です。インフレの問題一つとっても年金額の目減りや生活費の増高に繋がります。銀行としても日本経済としてもインフレによる弊害は論を俟ちません。銀行の成長が国民生活の安定と豊かさにどう結びつくのかという視点が、今後ますます重要になると考えます。
銀行法は健全性と公共性を基本に免許を得て営業することを定めています。また全銀協が定めている銀行憲章には「お客さま本位の業務運営を通じて、お客さまのニーズに応えるとともに、…お客さまの利益の適切な保護にも十分配意した質の高い金融サービスの提供を通じて、内外の経済・社会の発展に貢献する」と記しています。
このような基本点に立っているのか、自己検討を進めて経営目標を立てることが求められています。モノ言う株主に顔を向け過ぎぬよう、モノ言う受給者、「考える会」でありたいと思います。 稲邑明也 (旧三菱) 26.7.25.
暮らしと企業年金の先行きはどうなる? 稲邑明也(旧三菱) 26.7.20.
6月の物価上昇率は前年同月比1.6%との発表で、今年になって物価上昇率は前年比で2%に届かず、ホッとするとの声もあります。しかしこれまでが高すぎたのであり、2020年から6年半で13.1%アップ(生鮮食品除く)です。企業年金はそれだけ目減りしており、追打ちかける医療介護の負担増など含め、今後も懸念されることが多々あります。足元の物価問題から経済・政治の先行きを考える必要があります。米国のイラン攻撃は続いているし、何よりも高市政権の無責任積極財政姿勢でインフレ加速、円安が暮らし直撃の様相です。
アブナイ高市路線
先月、高市首相が日銀総裁を呼びつけて圧力をかけ、日銀の利上げは0.25%と小幅でしたが、それでも円高に動くのがスジなのに逆でした。高市政権の無責任な「積極財政」で国債増発は必至と見られているからです。しかも金融緩和の是正策として日銀は国債買い入れ減額と決めていたのに27年4月以降は減額停止=カネ余り放置としたため、ブレーキとアクセルを同時に踏んでると批判される始末。日銀が高市首相の要求に屈したとも言え、マーケットが財政悪化・円安を見越し、対ドル170円との予測すらでています。高市首相の采配について安倍元首相の指南役だった浜田宏一氏(エール大名誉教授)は高市首相が「経済のことが分かっているのか?」と疑問を呈する有様です(毎日新聞7.24)。
円安続行では輸入品価格上昇となり家計に転嫁されます。公的年金は物価スライドがあるものの、実施には時間差がある上にマクロ経済スライドの仕組みで物価より抑えられその乖離は年々開き、アベノミクス以降(12~25年)で6.6%の実質目減りです。これに加えて健康保険料や介護保険料の負担区分変更で年金手取りは減る人もいます。
企業年金で看過できない流れ
企業年金については厚労省が「企業年金・個人年金部会」で経団連、業界関係者、政府重用学者らが審議し施策の具体化を進めてきました。コロナ禍以降は現役向けの施策が中心でしたが、岸田政権以降は資産運用立国方針と絡めてiDeCoの拡充など進めてきました。石破政権時に公表した「議論の整理」に重大な問題があるまま審議中断となっているし、高市政権になってから年金資金などの運用に、従来と異なる方向が強まっています。
石破政権の取り組みは?
「資産運用立国」路線で「資産運用立国実現プラン」策定、部会審議を並行しました。
◆金融庁主導で資産運用立国推進分科会
主に、① 日本市場を「閉じた市場」から「開かれた競争市場」へ転換する改革、② 日本の運用会社の質を世界水準へ引き上げ、諸々の規制緩和、③ 大手金融グループに資産運用ビジネスを経営戦略の中心に据えることを義務化(MUFGなど直ちに呼応)、④新興企業含め成長資金供給の多様化=銀行融資と異なる株式・プライベートクレジットなどへ拡大
◆厚労省 企業年金・個人年金部会の審議に問題が…
厚労省の企業年金・個人年金部会では次の論点が審議されました。
① 確定給付(DB)から確定拠出(DC)への移行促進(企業責任を自助責任に転嫁、② 企業年金基金の運用体制強化、③ 個人型DC(iDeCo)の加入対象拡大、手続き簡素化
④ 運用商品の多様化(海外資産・オルタナティブの導入と比率拡大)
中には、米欧運用会社が日本の年金運用市場に参入し易くする制度づくりもあります。一例として「各基金の運用・財務内容の公表」は外資が運用引き受けのセールスをし易く、運用力競争激化へ向かう内容です。基金の運用成果が上がればDBの場合、企業は資金拠出を減らし得るが、総体的に加入者の安定長期給付に繋がるか?一考を要します。
◆企業年金の制度改革などの課題
今後の検討課題とされた次の三点は、受給権の角度で見ると重大です。
① 支払保証制度
企業年金の給付が、会社の経営悪化などで支払い不能とか減額の場合に備えて、 一定給付を最低限保証する仕組み。2001年の企業年金二法制定の際に必要性と論議され付帯決議されたのに経団連の横やりであれこれ筋違いの理屈を並べて四半世紀も先送りしたままです。
実際にAIJ事件が惹起(2012年、約120の年金基金が騙され、約2千億円消失)したのに加入者・受給者は泣き寝入りとなりました。これは稀な犯罪であるとしても受給権侵害に何の備えも無いのは許されません。欧米では年金保険が一般的です。日本も銀行融資では債務不履行に備えての「信用保証制度」が現にあり、放置は許されません。
② バイアウト(企業年金の外部移管)
企業年金の運営を企業が続けられなくなったとか、 M&Aなどで企業年金制度のある企業が負担軽減のため年金資産と給付責任を“外部の専門機関に丸ごと引き渡す”仕組みです。海外では保険会社へのバイアウトが一般的で、MUFGは23年に米子会社で実施したことがあります。しかし日本で実施するには必要重要な法整備が未整備です。
これは企業年金制度の終末処理のように、DBを受給者のみの管理方式に持ち込んだ上でバイアウトする英国型を19年の部会で経団連が紹介、提起しました。企業年金の終末処理の方策みたいでは人ごと視できないと言えます。
既に日本でM&Aが増加し企業年金の「処理」は進められ、中には紛議も生じ、実務的課題となってこういう実情に対して厚労省としては受給権を守る立場からも法令制定を急ぐべきです。
③選択型企業年金
現役向けの仕組みで、賃金を減らし、その分を企業が企業年金の拠出に回す仕組み。加入は本人の選択によりますが、賃金拠出後、暮らしは窮屈になり、他方で企業は社会保険料負担が減って増益になります。三菱UFJ銀行が世に先んじて2015年に導入しました。
DCの選択型では運用リスクは受給者持ち、企業はリスクもコストもナシ、と極めて歪んだ仕組みで、企業年金の名に値せず、企業年金の本質から逸脱したものです。しかも現役時代の賃下げ分の社会保険料納付額が減る分、後で給付を受ける場合に少ないとか不利益が生じます。マクロ経済面から見ても賃金減・後年の給付減=購買力減退は経済成長に繋がらず逆です。
三菱UFJ銀行が増益記録を塗り替えながらこんな邪道を世に先んじて導入した経営姿勢は反省が必要で、こんな姿勢では私達受給者の扱い、企業年金施策にも及びかねません。
高市政権の施策 年金マネーをテコに何する?
高市首相は就任時「資産運用立国」を成長戦略の中心に据えると明言。「貯蓄から投資へ」を継承しつつ、次の点を強調しているのが目立ちます。
① 金融を“国家戦略の基幹”に格上げ
岸田政権では金融は成長戦略の一部だったが、高市政権では 「金融が成長を牽引する」という位置づけに大きく変化し中身も重大です。
② 経済安全保障との統合
半導体・AI・防衛技術など、国家安全保障に直結する分野への 長期資金供給の仕組みを金融政策で構築する方針。
③ 地方金融の再編と資産運用立国の統合
地銀・信金の運用力強化、地域産業への資金供給を資産運用立国の柱に組み込む姿勢。
具体的施策の中身は?
これまでの資産運用立国推進分科会で審議されたポイントはー
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家計の資産形成(NISA・iDeCo・金融教育)=◆新NISAの恒久化後の運用環境整備、◆若年層・高齢者向け金融教育、◆投資詐欺対策・情報開示の強化
② 資産運用業の国際競争力強化=◆外資運用会社の誘致、◆英語での金融行政手続き、◆東京での営業拠点化 など外資誘致の具体化
③ 官民ファンド・成長投資の再設計=◆官民ファンドの統合・効率化、◆半導体・AI・GX・防衛産業への長期資金供給、◆地方金融機関の共同運用プラットフォーム
④ 企業年金・公的年金(年金積立金運用のGPIF)の役割強化と活用=◆長期資金としての成長投資への参加、◆国内産業への資金循環の仕組みづくりなど
⑤ 経済安全保障との連動=◆重要技術への投資、◆外資規制との整合性、◆国際的な資金流動の管理
企業年金やGPIFの資金が向かう先
政府は「年金資金の政治的利用は行わない」と説明しているのに 政策文書・分科会では次の分野への資金誘導が明らかです。
① 半導体・AI・量子技術=経済安全保障の最重要分野と位置付け17分野を示し、官民ファンドとの連動、脱炭素・エネルギー安全保障、電力インフラ投資に力点を置き企業年金・公的年金の積立金も誘導・動員の方向。
②スタートアップ(新興企業etc.)への支援=官民ファンドとの協調投資、新興起業・大学・研究機関などの“外部の知”と、大企業の資金・人材・顧客基盤・データを組み合わせて、新しい金融サービス・技術・産業を生み出す政策的枠組み。 単なる協業ではなく、国家戦略としての産業創出エンジンとして位置づけ。
新たな分野への誘導は大丈夫なのか?
PC(プライベートクレジット=銀行が直接融資するに至らない先へ投資家が代わって融資)・PE(プライベートエクイティ=未上場・非上場企業への出資)への資金流入を促進。そもそも、PC,PEともに評価額は市場で決まらず、情報の非公開性、透明性が低く手数料が高いなど難点があります。世界的に年金基金がPC・PEを増やしており、日本も追随する方向ですが、長期に安定的に運用し給付すべき年金資金にはリスクとなります。
何よりも昨秋以降、米欧で投資家のPC解約申し込みが増えており、PC引金のバブル崩壊の警告が増えています。
日本より米欧の運用企業が先行し実績あり…ということで依存すると、日本の資金が海外企業の振興に使われることとなるし円安要因にもなります。
成長政策と言うが戦略17分野の内実は?
政府は「戦略17分野」を 国家成長の重点領域としています。項目は別個でも相互に軍需に絡んでおり、外交よりも軍事対応が目立つ流れの中で憲法、世論との関係で是とできるのか?問題です。
資産運用立国による資金運用は 戦略17分野の“資金エンジン”として日本の成長よりもアメリカのAI・軍事産業の成長に向けられる可能性大です。溜め込まれた年金資金=公的年金・企業年金が暮らし向上の分野でなく軍拡関係分野に向かい、安定運用に危惧ある方向でいいのか?問題です。
三菱UFJ銀行、MUFGの今後 気になることが…稲邑明也 26.5.25.
半沢MUFG社長の前掲報告、大澤MU銀行頭取の会見などでは様々なことが語られていますが、内外の経営環境が先行き不透明、リスク増大の中で色々と気になる点があります。紙幅の制約もあり、最近メディアでも取り上げられるようになってきた、プライベートクレジット(PC)と資産運用立国にMUFG、MU銀行はどう対応しようとしているのか、問題点・課題は何か?記します。
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プライベート・クレジットとは? 一言で言えば、「銀行や市場を介さずに行われる民間企業への貸付」のことです。通常、企業がお金を調達する場合、銀行から融資を受けるか、社債を発行して投資家から資金を集めます。しかしプライベートクレジットでは、投資ファンドなどが直接企業に資金を貸し付けます。このため「プライベート(非公開)」という言葉が使われています。
プライベートクレジット(以下PCと略記)が広まった背景としては、2008年のリーマンショック以降の金融機関への規制強化があります。銀行はリスクの高い融資を控えるようになり、その結果として資金調達に困るとか不便な企業が増えました。そこに着目したのが投資ファンドです。銀行の代わりに企業へ融資することで、比較的高い利回りを得られる投資機会が生まれPC市場は急成長してきたのです。PCファンドとしては、投融資の期間は長い他方で、資金受け入れ先には短期・定期的に配当など必要という特性があります。取引価格については公的市場に比べて評価額の算定が厳格でない特性もあります。
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こういう情勢下、MUFGや銀行がどう対応するか?問われています。
会見などでトップは次の三点について
◎デジタルバンク=昨年6月に展開開始の個人向け総合金融サービス「エムット」の銀行機能を抜本的に強化。銀行特有の重厚なシステムとは分けて「スピードとコスト両面で優位性の高いもの」にするとのことで、顧客や市場環境の変化に応じて手数料や金利を機動的に変えられるのが特徴の由です。
◎海外戦略と国際競争=海外での存在感や競争力を保つことが重要、次期中期計画に重点地域での戦略実行を進めたい意向。国際的な競争や地政学リスクが高まる状況では、海外展開のリスク管理と選択と集中が求められることを示唆。
◎人材・組織文化=変化が早い時代で過去の成功パターンにとらわれない不断の学びが不可欠。組織が変化に適応できない場合、競争力や顧客価値創出で遅れを取る可能性を懸念。AI活用の実務例は社内で200超の事例があるが、顧客への価値提供にさらに拡大すべきと強調。
プライベートクレジットを巡る動向と問題は?
アメリカのPC市場では、AI・ソフトウェア業界の収益性悪化や高金利で借入先のデフォルト(返済不能)事例が増えており、それに加えて投資家の解約請求が急増して一部ファンドが償還制限をかけるなど、流動性リスクが浮上しているのは看過できないことです。
金融当局の警戒
EUの欧州銀行監督機構(EBA)は、現時点ではPCが欧州銀行網に「システミック(システム全体に波及する)リスク」とは見なしていないとしつつ、ノンバンク融資全体の動向を注視する姿勢です。
アメリカ(FRB)は、米国の銀行が約1.8兆ドル規模のPC市場に深く関与していることを問題視し、3月に慎重な監視を明言しました。潜在的なシステムリスクを意識して調査を強化しています。
日銀は、邦銀や年金・保険会社が海外ファンドへの投資を増やしており、海外のストレスが日本に波及する可能性に注意が必要だとしています。金融機関の海外向け貸し出しと関連して「一部ファンドの解約事例を踏まえ、先行きの動向に注意が必要」として、バブルや信用リスクの拡大に警戒を示しています。利払い負担の増加、投資先企業の信用力悪化の可能性、ファンドのスプレッド縮小・競争激化、PEファンドの売却遅延など指摘しています。(4/21金融システムリポート)。
三菱UFJフィナンシャルグループではどうか
MUFGの稼ぎ手であるモルガン・スタンレーはグローバルで大規模なPC取引を展開していますが、MUFGは、その関連事業に「協業・出資」で関与しつつも、リスク管理を重視した「加減」両面を示していると言えます。
23年には合弁会社「MUFGモルガン・スタンレー・クレジットソリューションズ」を設立しており、国内外企業向けのPC案件を共同で取り扱っています。
またMUFGは25年12月に 「MUFG US Direct Lending Fund I」を設立し、 米国中堅企業向けのダイレクトレンディングに参入しています。MUFGとしてはPCの価格「不透明性」をリスクとして認識し、独自の審査基準を強化しています。
この会報でも前号で、昨秋以降の米欧での問題浮上を記しましたが、今年に入って以降、様々な事例が報じられるようになりました。そういう中で、Bloomberg が「MUFG、20億ドルのプライベート融資関連リスクの譲渡先模索」と報じました(5月13日)。
主旨は、「MUFG が『貸したお金が返ってこないかもしれない』というリスクの一部を、他の投資家に引き取ってもらおうとしている」というものです。なぜ今、MUFG はリスクを外に出したいのか?背景には 世界的な金利高と景気不透明感 があります。
▼米国・欧州では金利が高く、企業の資金繰りが厳しい、▼PC市場は急拡大したが、質の悪い案件も混ざりやすい、▼景気後退局面では「貸し出し枠の一斉行使」が起きやすい…ということでMUFGとしては、「今のうちにリスクを軽くしておこう」 という極めて「銀行業」的な判断をしていると言えます。
MU銀行のトップは…
三月までMU銀行頭取だった半沢氏は、PC市場の高成長を「重要な収益源」と位置付けつつも、バブル的な膨張には加担せず、保険会社などとのリスク共有や厳格な案件選別で健全性を維持する姿勢を示してきました。 いま、MUFGはPC市場の“投資家側”にも回っているため、 トップの発言は「リスク管理の説明」と「市場への安心メッセージ」の両面を持つと言えます。
MUFG社長に就いた半沢氏は投資家説明会で「プライベートアセット等の運用力強化 により、収益性向上へ繋げていく」に留めています。
MU銀行・大澤頭取は、PCで纏まった損失は想定していないと明確に発言(Bloomberg4/21)。米欧でPCの信用不安事例が相次いでいる最中に出た“リスク限定”のメッセージです。
○高度なリスク管理体制、〇問題となっている種類のPC残高は“そこまで持っていない” ことを挙げ、日本経済全体への影響については 〇「信頼できるデータが不足している」として、慎重発言と言えます。
「資産運用立国」実現とは?
MUFG半沢社長は、「投資家説明会」では、「成長戦略の進化」の項で、政府方針に沿って「資産運用立国実現への貢献」と題し、運用力強化や、資産運用会社をサポートする取り組みを説明しています。
「資産運用立国方針」は岸田内閣以降続いているものです。政府は大手金融機関グループに対して資産運用ビジネスの経営戦略上の位置付けの明確化、運用力向上やガバナンス改善・体制強化のためのプラン策定・公表を要請した (23年12月)のに応えてMUFGとしてもプランを出し推進中なのです。
MUFGとしては資産運用ビジネスを、銀行・信託・証券に次ぐ「第4の柱」として明確に位置付け24年10月にMUアセットマネジメントを設立。運用資産は24/1に100兆円の段階から26/3期末に151兆円に到達し、200兆円を29年度達成目指すとしています。NISAの口座数は130万件、NISA預かり残高は2.0兆円に到達との報告です。
これは企業年金分野にも絡んでくることですが、確定拠出年金、iDeCoやNISAなどで国民の資金を金融市場に誘導し、国内の金融機関、米欧の資産運用会社が互いに競争激化に流れていく方向です。公的年金が不十分なまま自助努力を強いる流れがつくられ、国内外で諸々のリスクが増大する中で、個々人の虎の子が元本不確実な投資・投機に誘導されるのは如何なものでしょうか。さらに、次の点も重視する必要があります。
資産運用立国の中身が大きく変化
資産運用立国の政策について、これまで会報では厚労省の施策面から色々載せてきましたが、高市政権になってから内閣府(内閣官房・成長戦略本部)が司令塔、金融庁が実行部隊として動く二層構造で拡大・具体化へと大きく変化しています。これは内閣官房の「資産運用立国推進分科会」の議事内容が明確に示しています。
高市政権で変化、加速したのは…議事要旨から読み取れる特徴を整理するとー
● 「資産運用立国」から「金融戦略」という国家戦略レベルに引き上げ。「戦略17分野(=高市政権が成長政策として掲げる半導体、AI、宇宙、サイバーセキュリティ、防衛産業など)への成長投資を支える官民双方の金融機能の強化」「金融システムを支えるインフラの高度化」を強調し、岸田内閣時より射程を拡大方向です。17分野は、軍事技術エコシステムとして相互補完的に設計されておりここに重点的にiDeCo、NISAで集まる資金を軍需分野などへ廻す政策です。17分野にはアメリカの大企業が絡んでいる面があり、年金関係資金がアメリカに向かうと円売り・ドル買いとなり円安の要因にもなる問題があります。
● 銀行への規制(議決権保有・大口融資など)の緩和を一気に推進。中身は 高市政権の「強い経済」路線と一致する方向です。
●プライベートクレジット市場の育成 力点を置くのは、 株・債券以外の「オルタナティブ」と称する分野で、この中のPC市場にも進出の構えです。日本の資金を外銀やアメリカ金融資本の利害とも重なる部分でグローバル金融市場に接続する政策と言えます。
●他にもコーポレートガバナンス・コード改訂、スチュワードシップ・コードのフォローアップ、個人向けプライベートアセット解禁の制度設計などについての問題がありますが、紙幅の関係で次号に綴ります。
問われる新頭取の舵どり
前掲大澤頭取の会見記事として、週刊東洋経済誌(5.23)に次の点が載りました。
◎「政府が要請している対米投融資に応えると既存ビジネス貸し出し計画にも大きな影響
を与えないか?」との質問に「プロジェクトの妥当性を見ながら検討」との回答です。
これは、トランプ関税の交渉で政府が応じた融資で、トランプ関税が最高裁で違法とさ
れ返還が決まっても日本政府はこの投融資に関して不問の様相です。
頭取は「現時点では何とも言えないのが実態」との発言ですが、重要問題として
▲総額約87兆円の1/3は国際協力銀行、2/3をメガバンクが引受け(各行割り当て=1/3ずつ約19兆円)
▲融資額は既存市場調達と同規模の巨額で高金利の長期資金
▲融資の段階では円でドルを買い、円安要因
▲案件はガス火力発電所建設などで環境調査など事前の必須事項が45日ルール(45営業日以内実行義務)で困難
▲融資の後で、環境破壊とか公害とかで訴訟など起きて融資が焦げ付いたら、日本貿易保険が補償=実質国民負担、など問題多々です。(この会見の前に既に融資の一部分は契約済み))
◎「重点戦略17分野」に官民挙げての支援強化策を高市政権は成長戦略として講じ米国支
援ともなる政策です。これに沿って半沢MUFG社長は「官民投資ロードマップに沿った資金
供給を強化」「GX・デジタル・AI・サイバーは最優先」大沢頭取は「国家戦略分野への資金
供給は銀行の使命」「サイバーリスク・地政学リスクを最重要視」などと述べています。
◎武器製造や核兵器関連企業への融資が問われています。特に核兵器関連企業という点で国際NGO PAX(Don’t Bank on the Bomb の調査では、 MUFGの核兵器関連企業への投融資額は129.31億ドル(≒2兆円 21年1月〜23年8月調査)でMUFGは世界で第9位 の規模です。(みずほ 世界5位、三井住友世界 7位)
◎国際的な気候変動対策の銀行連合(NET ZERO BANKIHG ALIANCE)に三菱UFJ銀行は21年
に参加し運営委員にも選出されていたのに、トランプ大統領が就任後、脱退し他の大手銀
行も同調しました。NZBA は国連環境計画(UNEP FI)が主導する国際的な脱炭素金融連で
あり、気候危機が深刻化する状況下、早く復帰して貰いたいものです。
26.5.28.稲邑明也(旧三菱)
五行歌 中農弘志(旧三和)
芽吹きの山に
白い雲が
ひと休み
パイプの煙の
かたちして
若葉を
揺るがす風
花びらが
爪先立って
ころがってくる
川柳 近時片々 与謝糠晶太 (旧三菱)
トランプのアタマの方が石器時代
毎日がエープリルフールのトランプ氏
信者なら左頬出せトランプよ!
あさましい!戦火広がりゃ儲かると
武器売って平和国家を投げ売りか
武器輸出憲法知らず恥知らず゛
憲法よ!そこのけそこのけジャジャ馬通る
献金者のために五倍も働くワ
憲法の前文、九条泣いてます
憲法を守らぬ者が変えたがる
有明に護憲旗集い春盛り
巧言に草木もなびく野党まで
待ってました!右へ舵切る文科省
目詰まりと?サナエの耳が詰まってるぞ!
(この筆名は、下手な趣味はよさぬか飽きた!と言われる前に自ら名乗る次第です。与謝野晶子に叱られそうですが…)
大波よせる情勢に私達はどうなる?どうする? 26.3.26.稲邑明也(旧三菱)
のんびりゆったり暮らしたい年金生活者にとって政治も経済も安定して欲しい処ですが、近頃は不安感が増すばかりの流れとなっています。
総選挙で自民党が「大勝」して予算案を衆議院で史上最速で審議終了としましたが、中身は暮らしと平和を守る上で心配なことばかり詰まっています。
その上にトランプ政権が予測不能で短慮極まる横暴無法な振る舞いで世界の平和、経済を撹乱しています。イラン攻撃は遥か彼方の戦争ながら、石油・関連物品の価格上昇・品薄をもたらし諸々の物価に跳ね返りつつあります。円安・債券安・株安などで景気、年金基金、虎の子にも響いてきます。
私たちの確定給付企業年金は物価スライドがないし、公的年金は引上げ措置があっても、不十分な仕組みに既に変えられています。乱世とも言える国内外の動向について年金生活者の立場から暮らしと平和が守られるよう一段と視野を広げ、複雑に絡む経済・金融でも情報、知識を共有し、安心して暮らせる方向を見据えていきたいものです。
高市首相で今後はどうなる?
「失われた30年」は庶民にとって「奪われた30年」です。弱肉強食促進の新自由主義に、アベノミクスも加わっての故なのに、高市首相はこの継承を言明するだけでなくインフレ下に「積極財政」を推進、国債依存でアブナイ政策推進を掲げました。
これでは、国債利払いが増え、財政・矛盾が深刻化します。これらを覆い隠すためにわざわざ「責任ある」というマクラ言葉をつけるところに無責任さが露呈しています。
これを内外から見抜かれて金融市場は円安が更に進み債券も下落し金利が上昇。そこへアメリカ・イスラエルがイランを攻撃し原油、LNG価格上昇、金利上昇、景気後退etc.となり日本経済も国民の暮らしも厳しさが増してきました。
「積極財政」とかで日本国債への信用度が低下すると、国債格付けの更なる引き下げとなり、金融市場に激震を与えます。海外展開している大銀行・大企業などは海外での資金調達コストが急増し、多大な悪影響を受けます。
物価や日銀の利上げ方向はどうなる?
日銀は昨年末にやっと0.25%引上げ0.75%へと30年ぶりの水準になりました。アベノミクス・異常低金利政策からの脱却から更に引上げ必要と見られてきたものの、高市首相が日銀総裁を牽制。19日に金利据え置きの決定はしたものの、中東情勢・賃上げ状況など様々な要因を勘案し、日銀としては利上げ方向が基本としています。
国民の暮らしにとって、利上げは的確にやれば円安是正に向かう要因となり、高物価対策になり得ますが、高市首相は、株安、国債金利負担、景気後退など懸念し、消極姿勢です。勿論、利上げで円安是正・物価引下げと単純視できません。高物価なのは消費税が上乗せされているなど他の問題もあり、消費税の引下げが重要課題となります。
しかし、高市首相は国会に諮らず国民的議論をする「国民会議」任せとし、追随野党だけ参加の方式で審議開始。しかもこの会議名は「社会保障国民会議」とし、社会保障後退の議論も出てきそうな雲行きです。
折しも大企業の春闘回答が続き「物価上昇を上回る賃上げになるのでは…」と「賃金と物価の好循環」が政府・財界などから流されています。でも実際には、積年の物価上昇に追いつかない賃上げで、満額回答と言っても、昨年より要求を引き下げてのものです。こんな不十分さが年金にも波及の仕組みであることを看過できません。
物価と年金の関係は?
公的年金は、マクロ経済スライド方式は引き続いており、その上、年金カット法(16/12成立、18/4施行)により物価上昇率が高くても、賃上げ率との比較で、どっちか低い方に合わせてスライドが決まる方式です。結果はグラフ(会報に記載)の通りで、アベノミクス開始以降累計で実質8.6%の目減りです。
企業年金は永年の確定給付型の場合、退職時に決定された金額が終生変わらないので、物価上昇の分だけ実質的に減価です。
2013年から2025年までの消費者物価指数の単純累計で上昇率は上図からも14.0%の目減りと言えます。
しかも、全年代まとめての物価統計だけでなく、高齢者の支出ウエイトの高い「生活必需品目」の上昇率も考える必要があります。2013年対比で25年は、食料全体=30.0%、生鮮食品=32.0%、光熱・水道=39.4%、医療=22.8%、保健=22.7%などとなっています。
企業年金でも、キャッシュバランスプラン(三菱UFJ銀行は`10年に導入)での受給者は10年国債の市場利率の5年単位平均で決まります。現行は最低の2.5%適用の給付ですが今後は、利上げと共に国債利率の上昇に基づいて給付額が増える可能性があるものの、過去の低率続行からすると先行きはスグに上がりません。
ちなみに三菱UFJ銀行基金は25年12月末以前5年間の10年国債応募者利回り平均1.5%、これに最低保証1%上乗せで2.5%なのです。労働の対価反映でなくて時々の金融市場の動向で退職金の分割払い額が決まるのは筋違いと言うべきです。
しかし、従来型の確定給付受給者と対立の関係に陥ることは無用です。両者は基金の運用益を分け合う関係ではなく、それぞれの決定方式での受給権を守ることが基本です。給付資金が不足の場合、銀行が追加拠出する義務が法律で定められています。
しかも、従来型確定給付の人もキャッシュバランスプランの人も同じように物価上昇、インフレの弊害は受けますので、共通する問題を直視すべき一蓮托生の間柄です。
利上げ方向の下で企業年金の基金は?
基金にとって利上げに向かう今後の見通しは複雑な面があります。
先ず、利上げで国債の価格が下がります(コインのウラ・オモテみたい関係)。私たちの基金は債券運用が最多ですが、利上げ=価格下落は、基金の運用益、資産の評価額に悪影響を及ぼします。外国債券も似たような変動関係にあり、特に利上げ、インフレ化への対応が、基金や運用会社の重要課題となります。
国内外の株式運用のリスクは債券以上に敏感に振れる特性があり、基金が委託している運用会社の力量が問われてきます。
多くの基金は、運用益の高い「オルタナティブ」にも運用していますが、金融市場激変などで売却したくても価格が定まり難く、迅速売却しにくい特質のため、現状は、リスクを考慮して多くの基金は少なめとしています。
リスク増大のなか高市政権の施策は?
高市政権はトランプの身勝手に揺さぶられ、軍拡などで国債を増発して円安をもたらし、利上げでブレーキかける必要があるところ、日銀に圧力を加え審議委員の交代で金融緩和派を送り込みました。
さらに新増税=所得税額に対しての1%分上乗せ課税が予算案に盛り込まれ、暮らしは厳しさを増す方向です。
世界的なバブル状況の中で、主要国の政策当局は国債減らしに努めGDP比でも抑え込みに努めているのに、日本のGDP比は高まり続け今では政府債務は260%(国債のみで183%)で断トツ、続いてイタリアの140、アメリカの120…です。
日本の国力低下と共に国債が信用低下で海外から売り浴びせられたらギリシアみたいに悲惨なことにならないか?という点については、「海外投資家の保有率は低いから大丈夫」と喧伝されてきました。海外投資家の保有率は6.6%と低いのは事実ですが、日銀の国債保有率は約50%となっており、こちらの方も大きな問題です。
日銀が大量保有する分、国債市場の売買が細り、金利が本来の需給で決まらなくなります。金利上昇局面では国債売買価が下落ということで日銀が巨額の含み損を抱え、信認低下の火種となります。国債を売るには価格引き下げ=金利が急騰し、国の利払い費が膨らむことになります。
26年度の国債費予算は 31 兆円(全体の四分の一)、利払い費は 13 兆円と過去最大であり、今後の利上げ方向の下で利払いは20兆円とも想定されています。
こうなると更に国家財政・日銀・円への信認低下、利上げと景気後退で,スタグフレーションと称される事態に突入して、倒産増に金融機関の運用難など、経済全体にリスクが広がります。庶民にとっては円下落が物価上昇に跳ね返ります。もちろん悪影響大なのは確定給付企業年金です。
警戒すべきバブル化と崩壊方向
更に警戒すべきは、世界的な資金過剰で進行してきたバブルの破綻です。経済誌紙には前々から警戒論は載りましたが、いま国内外のエコノミストが共通して指摘するのは
▼騰勢大なAI関連株・ハイテク株は金利に極めて敏感、
▼金利が上昇しやすい環境下に米・日・欧諸国の財政負担が軍拡も加わって急増、
▼投資家の楽観が「低金利前提」で成り立っている 点です。
要するに、バブル崩壊の契機・引き金となる「高債務」「 高金利 」「地政学リスク 」が同時進行しており、 資産価格の過熱を支える基盤が弱いという指摘が共通していると言えます。取り分け多くの警戒論に共通しているのは「金利上昇が世界的バブルの崩壊トリガーになる」という点です。
エコノミストらの警告
警戒論の一例が日本経済新聞(3.18)が載せたFINANCIAL TIMES columnist ジリアン・テッド氏の寄稿で、「08年型金融危機はあるか」「原油高と融資不安、当時も」の見出しで次を指摘しています。
♦リーマンショックが起きた2008年夏の“嵐の前の静けさ”と、現在の市場心理は驚くほど似ている。
♦AIブームの陰で、金利・債務・地政学のリスクが積み上がっている。
♦投資家は「見えないリスク」を軽視してはならない。
とし、イラン戦争とプライベートクレジット業界の問題の組み合わせ次第で金融市場を揺さぶる可能性はあると指摘しています。
同氏が指摘の“市場が落ち着いている時ほど、見えないリスクが蓄積している”という「静けさの裏のリスク」は日本市場にも次の様に存在していると言えます。
♦日経平均は高値圏、♦円安で企業業績は底上げ、しかし裏側では♦商業不動産の空室増、♦地方銀行の含み損、家計の実質所得低下、♦国債市場の流動性低下 などに注目必要です。
また、ハーバード大教授のケネス・ロゴス氏は「金利ショック、5年以内に」「米政権下でリスク早まる」との見解です(日経新聞3.22.)
さらに、著名な投資家ジム・ロジャーズ氏は「通貨安を喜ぶ日本人は『歴史の鉄則』をわかっていない」と痛烈に批判し、株価上昇に湧くのは「極めて危険な予兆」であると断じています。東洋経済電子版(3.23.)
こういうなか、イラン戦争深刻化などで更に金利上昇、原油価上昇で経済混乱となればバブル崩壊の可能性大との警告が目立っているのです。
高市首相の軍拡・国債頼み・信認脆弱の下で世界的バブル崩壊が起きると、日本は“円安+株安”の同時打撃に見舞われます。日本発の崩壊を指摘の論もあります。
米欧の金融業界の一角に不安が…
こんな懸念拡大の中で二月下旬に米国のプライベートクレジット業界(銀行事業とは異なり長期融資を行う「投資ファンド」事業)に問題が起きました。
米欧では高金利の長期化で業界の脆さ(融資は長期なのに分配は短期定期)が露呈し、評価損や償還難が相次いでいます。欧州では住宅ローン会社の破綻も発生し、商業不動産ローンの劣化も進む中、2月下旬には米国プライベートクレジット大手のブルー・アウル・キャピタルが一部の解約停止に追い込まれ、“影の銀行”の流動性リスクが一気に表面化しました(あおりを食って日本の3メガバンクの株価も翌週に一斉低下=イラン戦争の前)。
これは業界の急拡大が、脆弱な資金構造に支えられていたことを示す象徴的な事例で、米欧の不動産ローン劣化と合わせて、世界的な信用収縮の初期症状とみられ、金融市場の調整リスクは確実に高まっているなどとエコノミストらから警告が出ています。
ゴキブリぞろぞろ~?
昨年10月にJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOが「プライベートクレジットにはゴキブリがいる」と発言し論議を呼びました。
同氏は、プライベートクレジットは 「銀行が貸さないところに貸す」 という高リスク体質を問題視していて“1つの破綻が起きると同じ問題を抱える企業が他にも潜んでいる” と警告したのです。
信用市場の問題は単発ではなく、連鎖的に広がる可能性が高いとの指摘で、ブルー・アウル・キャピタルのCEOが反論しましたが、実際には後日、同社に問題が発生したのです。
大手運用会社ブラックロックなどが、多額の償還請求を受けたため償還停止し、銀行が一部のプライベートクレジットファンドに対し、借入条件を厳格化・貸し渋りなどの措置を講じた経過があります。
なお、三菱UFJフィナンシャルグループとしては傘下のMUFGモルガン・スタンレー・クレジットソリューションズがプライベートクレジット分野に進出しています。
https://www.mufg.jp/dam/pressrelease/2025/pdf/news-20250217-001_ja.pdf
円安・物価上昇→「そんなことより」資産運用立国…
岸田政権以降「資産運用立国プラン」が推進されNISAの優遇拡大、企業年金ではiDeCoの拡充など推進されてきました。65歳以上対象のプラチナNISAは見送りとなりましたが、若年層には、公的年金先細り・信頼低下と自助精神醸成で、生活費を切り詰めてせっせとNISA積立てに励む傾向が強まり、今では「NISA貧乏」の新語が流行という状況です。
投資先は海外の人気銘柄に傾斜している面があり、このために円売りドル買いが増えて円安の要因となるし、節約で全体的に消費減退となり景気好転・GDP成長に繋がらない実情です。
株相場激変で、NISAやiDeCoの利用者は困惑しても、関係業界は手数料稼ぎで繁盛の仕組みです。国民にとっては立国どころか立腹もので、満腹は資産運用関係企業です。一人当たりGDPは世界で40位(ドイツ15位、英国20位、韓国38位=IMF26年推計値)で、カネ転がしよりも産業興隆を期しての政策立案と推進が求められています。勿論、軍需産業に投融資を進め輸出で稼ぐ高市政権と財界の方針は論外です。
問われる銀行の姿勢
こんな折り、全銀協半沢会長は19日の会見で「日本経済が長期停滞した背景として、企業が内部留保を積み上げる一方で、設備投資・人的投資が不足していた 」「これからは賃上げと投資の好循環が必要」と述べました。
全銀協会長の問題指摘と提起
これまでも、◆融資中心の金融構造では成長投資を支えきれない、◆銀行がリスクマネー供給と地域支援の役割を強める必要あり、◆金融庁との制度改革議論が必要…などについて発言しています。こうして日本の金融構造が“融資中心”から“リスクマネー供給型”へ転換の方向が提起され、金融庁との政策調整に入っている状況です。
具体的に言えば、①銀行はリスクマネー供給と言う事で融資だけでなく出資も推進する、
②一般事業会社への出資規制(原則 5%、例外的に15%)を更に緩和する、
③融資拡大も含めて当面の方向としては、高市政権の掲げる重点産業17分野(経済安全保障・成長戦略の対象)となります。但し、銀行・MUFGは政府の重点17分野(経済安全保障・成長戦略の対象)について露骨な言い方はせず「国家的に重要な産業へのリスクマネー供給を強化する」と表現しています。
既に三菱UFJ銀行としては24年4月、異例の半導体産業に特化した専門組織(半導体バリューチェーン推進室)を立ち上げました。こんなのは前例がないと言われる程の注力です。ラビダスの設立時出資8企業の中に銀行としては唯一三菱UFJが名を連ね、その後は他のメガバンクと共に増資に応じたし、27年以降に融資の意向も示しました。(最大2兆円規模、政府保証付き)
トランプ関税に絡む対米投融資の案件で、温暖化対策に逆向などのプロジェクトに三菱重工、三菱電機、などグループ企業の関与と共に銀行も絡んでこないか?という危惧、さらに、核兵器製造企業への投融資もあり、私達退職者としては銀行が真に世のため人のためになる健全な経営となることを求めて行かざるを得ません。
春闘の時期に銀行の方針は?
銀行は、私達が現役時代から総人件費抑え込み方針を推進しましたが、今では、定年延長と50代での出向・転籍減の方針公表のように、姿勢転換の方向が窺えます。
定年延長は27年度から実施との報道が昨年10月にありましたが、この背景と目的としては、★人材構造の変化と人手不足への対応、★バブル期採用組の大量退職で経験豊富な層が一気に減少、穴埋め必要、★デジタル化で単純業務は減るが「高度な判断ができる人材」は必要、★シニアの知見を活かす必要が高まって、経験豊富な人材を残す…ということが察し得ます。
若手の採用・定着の強化ということで★26年度に平均3%超の賃上げ、★若手は最大7%の賃上げ、★初任給30万円へ引き上げ(但し、新採用の過般を占めている中途採用に言及なし)、★臨給含めて年間10%程度の賃上げ、との観測記事が出ました(ニッキン2.25.)。
問題は、相変わらず「成果・能力」が重視され一律の改善とはなりにくそうです。
AI活用でMUFGトップは…
AI活用の時代で、銀行はAIを駆使できる人材を必要として、MUFG亀澤社長の見解は統合報告書などに示されましたし、最近も日経新聞(日経3.8)に載りました。単なる経営者の未来予測ではなく、人間観・社会観・技術観が交差するユニークな見解となっていますが、具体的にどうなるのか?注目されます。
同氏の見解のポイントは AIを「人間の内なる革命」と捉え、「AI-bow」(=相棒)という愛称を付けた「 AI行員」の導入は“人間が創造性を発揮するための環境づくり”だと強調、AIの使い方を間違えるとAI任せになって人の劣化を招く、AIは凡人を強くし、組織全体を底上げする技術であり、 ホワイトカラーの定義が変わる、AIは目的を持って使うべき、雇用は減らない(日経3.8)、という内容です。
二月には「法人営業部門で生成AIによる提案書自動生成で20万時間の事務量削減」との一部新聞報道がありましたが、人数削減ではなく事務量削減というのがミソです。
三菱UFJ銀行としては、示された方針やMUFGトップの言葉に即して雇用と労働条件の維持向上に努める必要があります。そうしてこそ私たちの受給権も守られます。
他企業や海外も含めて企業年金を巡る変化
オランダでは23年7月に「新年金法」が成立し、28年1月までにすべての確定給付企業年金を確定拠出型(DC)へ移行することが義務付けられました。民間企業の年金について国家が受給者個人にまで変更を強制することは、本来あってはならない筋違いです。
この背後には、財界・年金基金などの要請で右派与党政権が国会で多数を占め左派政党を抑えて議決した経過があります。政治の右傾化が何をもたらすのか?他山の石として私達も視野を広げて連帯していきたいものです。
年金基金は企業側と現役が代議員を出して運営し、退職者も含めての意志を反映し得る体制ですが、確定拠出年金に移行すると基金を存置してコストをかける必要がなくなり、既に、大企業では東芝、日立製作所、NEC、パナソニックなどの電機、日産など自動車、三菱ケミカルなど化学業界などで解散しています。
銀行ではみずほが現役を確定拠出年金に移行しました(基金は今のところは存続)。
確定給付の受給者は年々減るのみで、閉鎖型という仕組みへの移行もあり、受給者の連帯は一段と必要になります。
「銀行は利益をあげているから減らされることはない」といった意見がありますが、直接の減額は無いとしても、基金廃止とか、オランダの様に制度自体を改悪とか、強欲資本主義の下で翻弄され得ます。そういうことのないように受給者は連帯し、悪政に対峙していく必要があります。
激動の情勢ですが、情報と知識を共有して、安心できる方向を目指していきましょう。
会員寄稿
大物釣りのあとは大変! 駒村忠利 (旧三菱)
御多分に漏れず、気力、体力、財力の著しい低下の昨今ではありますが、去年12月29日、近くの沖堤防に釣り収めに行ってきました。サイズは小さめですが、86㎝、7kgの弾丸型の寒ブリを釣りあげました。ブリとのやり取りは、常連さんらしく落ち着いて15分かけ、釣りあげました!
日にちがたって感動は薄れてきても、やっぱり嬉しい。(その日のブリの釣果は私だけ)しかし、後が大変!いつも、さばきをお願いしている魚屋さんは12月で大忙し。「ムリ、ムリ、ムリ!」3度も言われてしまった。
自分でさばくほかない。出刃包丁はあるが簡単ではない。
妻はプロの料理人だが、大型魚のさばきは断固拒否中!
ネットで調べることなどしない、勘でチャレンジ!銀行員時代、嫌がらせでマニュアルは見せてもらえなかった中、「マニュアルはこう書いてあるはず!」でやってきた癖。
「こうさばくべき」「こうなるはず」で、出刃を振るい見事に3枚におろし身を4ブロックに切り分けました。包丁を入れる角度等のコツが少しわかりました。
ご近所に「おすそ分け」はしません!「お返し」で迷惑をおかけするからです。
私は、釣りはしても、食べるのは苦手!お返しの心配のない人に押しつけ処分完了。
これからも、釣りをつづけるべきか?
今、私たちの社会は、激動の時代に突入して非常識が大手を振るっている。
想像もつかない危険性と、裏腹に可能性を秘めた中、社会をよくするマニュアルを豊かにして学び行動して、平和でワクワクする人生を過ごしたいものです。思い切り良い年にしましょう!
五行歌 中農弘志 (旧三和)
この世に
思い残すことがないほど
燃えてみろ と
落日は
渾身の赤が
俳句 根上義雄 (旧東銀)
初日の出海は瀬戸内山は富士
戦なき日先ず停戦と冬(ふゆ)薔薇(そうび)
渾身の祈り届けや凍空へ
軍事国債二兆円や別れ霜
人といふ物の不思議や隙間風
誤算なき白梟の目の動き
布団干す昭和の景色パパンパーン
確りと風と対話の干し大根
英字紙に包む百本冬薔薇
初日の出悲しみのなき日を祈る
川柳 与謝糠晶太 (旧三菱)
ドナルドにビックリ仰天モンローも
ドナルドに墓場で怒鳴るモンローさん
アメリカの下駄の雪じゃいずれ消え
荒馬の馬場にじゃじゃ馬蹴散らされ
じゃじゃ馬の馬力右傾じゃ落馬する
民の声馬耳東風の政治屋ら
連立の前から馬脚太く出し
身を切ると言うほど気になる誰の身か
マスコミの忖度支える高い支持
働いた実績無いうち解散へ
論戦は逃げるが勝ちヨ!みんな散れ
宝船沈ませるのか弁財天
「中道」のハズが大道から外れ
警告を無視して夢死の末路へと
年賀状来ぬともしやと思う友
年賀状「これで終い」の字が震え
いつまでもウマくならないヘボ川柳
危険極まりない高市総理の発言! 脇田 勇 (旧東海)
新年号に相応しくない原稿で大変恐縮ではありますが、一月という月は地震をはじめ自然災害、事件・事故などが多く発生する月でもある。年の初めというおめでたい時期にである。高市総理が「年賀の記者会見」で何を発言するかも注視する必要がある。(念のため、この原稿は年末に書きました)
最近、許されないと思うと同時に許してはいけないと思うふたつの発言を述べたい。
「台湾有事が発生したら・・・・」発言で、中国との関係がギクシャクしてしまった。振り返れば、日本は中国を日本の領土化をめざして随分ひどい弾圧・戦争を強いてきた。日清戦争以降に日本は台湾を植民地支配したが、ポツダム宣言受諾後に中国に返還したという歴史がある。
1972年、日中国交正常化の共同声明で台湾は中国の領土の一部と日本は十分に理解したはずだった。その中国からすれば、「あの時、日本は台湾が中国の領土だと認めたのに、なぜ今さら私の国のことに首を突っ込んでくるんだ。ほっといてくれ!」と怒っているのだと思う。普通はそう言われたら、「口出しして、ごめんなさい」と謝罪するべきだったと思うのがひとつ。危うくて仕方がない。
もうひとつは、核兵器禁止条約に足を踏み出さずに、「非核三原則を見直す」と言い出し、政府の高官までも「核を持つべきだ」などといった発言が続く。
「核抑止論」は、あの悲惨な危険極まりない人類の生存を脅かす核の危険性があるにも関わらず、「紛争が解決困難な場合は、核兵器を使うぞ」と脅かすといった危険性をアピールしているようなものだ。核兵器廃絶こそ、世界の安全と人類の生存に不可欠ではないのか。
考えるべきでないかもしれないが、万が一、米軍やロシア、中国の核兵器搭載の潜水艦や戦闘機が誤作動したり、飛行や航行でちょっとした操作ミスなど異常事態が発生した場合にどうなるのかと思うとぞっとする。いや、ぞっとするだけでは済まないことが発生する可能性があると思う。対外的にいくら「核抑止」といっても、絶対に安全な核兵器なんかはあり得ない。広島・長崎の原子爆弾であることは全世界が知っている。
おりしも年末のテレビ番組で、過去にロシアの戦闘機が北海道に低空接近した際に自衛隊が官邸からの指示を受ける前に迎撃準備を整えていて、一触即発の状態だったと解説があった。最近でも自衛隊機に中国からのレーザー照射騒ぎがあり、危険な状態だったという。
また、米国が台湾への巨額の軍事支援を表明したことにより、中国は大規模な軍事演習を台湾の周囲の海域で展開したとの報道もあった。
今の世の中、あまり喜べるような状況ではない。悲しい! ひどい! なんでや! どうして? といった政府の施策や事件事故が余りにも多すぎるとともに、日本の空や海が危険な状況になっていると思うのは当然であろう。
どうか世界から紛争のない、子供たちが貧困にあえぐこともなく、安全で平和な社会が広がるような初夢を観たいものである。と、ここまでが昨年末の原稿でした。
初夢は悪夢に!
みなさんもご存じのことと思いますが、「能面」の表情は見る者の心の動きを捉えるように、時には悲しそうに時には笑顔に見えるそうである。
高市首相がトランプ大統領と面談した時のあの笑顔、国会での代表質問に答える時の笑顔、記者会見の場で見せる笑顔。私には愛想笑いに映る。その笑顔の裏の顔は「般若」か「悪徳商人」の面(つら)だ。
表面上は愛想笑いで、頭の中では「なんとでも言え」「私は私の考えでやる」「今に見とれ!」と言わんばかりの作り顔に見えてしまう。
多くの国民が期待する?人気の総理。国会議員の定数削減で35~50億浮いてくると意気ごんで見せたが、「自己中解散」で600億円かかる。まだ、具体的なお手並みも見ていないのに。国会解散で「信を問う」? 600億円を物価高対策や国民生活に予算をつけてくれた方がよっぽど支持率が上がるのにと思う。 きっとあの笑顔の裏の真相が暴かれるときが必ず来ると確信する。そんな思いを持って「初夢」の見直しでもしますか。
巨星墜つ! 名優仲代達矢さんを偲ぶ 中農 弘志(旧三和)
昨年秋「名優仲代達也さんが静かに息を引きとられました」・・突然の訃報に私は心の奥底に何か大きな空洞ができたような思いをした。私とほぼ同年代(享年92歳)で幼少期は空襲と戦災の恐怖、飢餓に襲われ、終戦直前の東京大空襲(1945/3月)では東京中が火の海になる中、仲代さんは命からがら逃げのびたと語っていた。
「火だるまになっている近所の女の子を抱えて無我夢中で逃げ回ったが、ふと気がつくと胴体がなく抱えていたのは女の子の片腕だけだった。」と。
こんな悲惨な戦争体験から仲代さんは平和の尊さ・人間の愛おしさを役者人生の礎として演技で貫いてきたと芸談(芸の哲学)に書き綴っていた。
2年前、日本記者クラブに招かれた時の講演(you tubeで視聴)では「国の力でたった一度しかない国民一人ひとりの人生を断ち切る戦争は絶対にやってはいけない」と胸を張り堂々と訴える姿はまさに心の叫びそのもので身震いするほど迫力があった。
とかく芸能界ではこうした発言を敬遠する傾向にあるが仲代さんはそのタブーを見事に打ち破った。
実際、しんぶん赤旗日曜版の新春特集号には1923年から3年連続してその目力(めぢから)溢れる顔写真を大写しで掲載された。写真の横には平和の尊さを語るひと言や芸道の幾星霜の格言が語られていて、私はその一言一句をメモって新年を迎える心構えにしていた。本当に「人生の師」ともいうべき存在だった。
とりわけ映画では「どんな悪人であろうとどこかに人としての愛おしさがある」・・、そんな「人間賛歌」の信念を演技に貫き通した名優であった。(文化勲章受章)
おなじみの黒澤映画〜三船敏郎と共演の「7人の侍」「切腹」「椿三十郎」「影武者」等今もなお胸打つ名画の「人間の条件」で当時27歳にて一気に大スターになりました。
晩年は俳優を務めながら演出家として後継者の育成に尽力。そのためには若手以上の体力を、と①毎朝5000歩のウオーキングと10分間の筋トレ②それが終ると1米四方の紙に自分と相手役のセリフを筆ペンで書き写し③朝食後障子に貼り付けて④それを正座して暗記するという「役者修行」を力尽きるまで励行していたと・・・。
「生き抜くとは、かくあるべし」それを身をもって示された仲代さん!実に見事な生涯でした。 合掌
歴史はいつも若者が切り開く 大澤謙蔵(旧三和)
明けましておめでとうございます。
今年も、「考える会」の存在意義を深め、発展を期したいものです。
若者との対話
私「高市首相が、若者に人気があるなんて理解できないのだが。」
M君「SNSだよ。『台湾問題』で高市首相は、人工知能を使ったプロジェクトを立ち上げると思うよ。」
私「支持率70%など、信じられないのだが。」
M君「90%と言われているよ。僕の周りには積極的な支持者はいない。アンケートに真面目に応えていくと、『支持』になっているんだ。」
私「学校で、政治の話をするの?」
M君「余りしないね。そういえば大学祭の時、保守党の百田が講演するとかで揉めたことがあった。阻止したようだが。」
私「学校は面白いかね。」
M君「楽しいよ。ゼミの討論もいいし、サークル活動でバンドを組んでいるんだが、とても楽しいよ。」
私「Ad0の『うっせえわ』が大ヒットしているが、さっぱりわからないね。」
M君「大人たちの偽善的な正しさに対する若者の反発、と見りゃいいのではないかな。」
「ロックバンド『オアシス』が来日した時、チケットを買うのが大変だったよ。3万円だったが、場所によっては、10万円以上だった。『パルプ』(バンド)の大阪公演には、夜行バスでかけつけたよ。」
私「東京ドームや武道館を満員にする若者のエネルギーは、どこからくるのかな。」
M君「燃えたいのだ。自己実現しようと思っていても、情報はSNSが頼
りになっているんだ」。今、『(社会)の底には何があるか』菊谷和宏著
(講談社)を読んでいるんだ。」
歴史をつくる年、新しい時代がはじまる
ニューヨーク市長に選ばれたマムダニさんは「社会主義」を掲げています。アメリカの「民主的社会主義者」という組織(DSA)は若い人たちを中心に急速に大きくなっていると言います。資本主義の「総本山」とも言えるアメリカで「社会主義」を掲げる団体が生まれ、広がっているのです。
マムダニさんは言います。「民主主義を買収できると思い込む億万長者や一握りの権力者でなく、すべての市民に応える」「民主的社会主義者として選ばれた。民主的社会主義者として市政を担う」 就任式では「今日から新しい時代が始まる」「市民の暮らしを良くするために力を使うことをためらわない」グローバル資本主義の中心地ニューヨークで民主的社会主義者のリーダーが誕生した瞬間です。
歴史の逆流も発生
3日、米国がベネズエラを侵略しました。トランプ米政権の行動は、国連憲章違反で法を犯すものです。
(国連憲章『第2条[原則]―4『すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するもの、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない』)
今回の事態は「国連加盟国が、力や強制によってベネズエラの政府的将来を決定する権利があるかどうかの問題」であり、国連憲章に直結すると指摘されているのです。
アメリカ国内では、トランプの軍事行動世論調査では、他国を侵略することに反対する世論が支持する世論を上回っているのです。
「失われた30年」願いは、平和と暮らし、民主主義、人権を求める
高市首相は、「法の支配」の尊重といいます。日本政府は、ロシアのウクライナ侵略の際には「・・国際法に違反する行為であり、決して認められるものでなく、改めて強く批判する」と抗議したのでした。米国の「侵略行為」を黙認しながら、中国の行動を「力による現状変更」と批判できるのでしょうか。仮に、台湾の武力併合(台湾有事)がおきたとしても非難できないことになります。「存立危機事態」は成り立たないことになります。これを「阻止」するための米国の軍事介入も理屈が通らないことになります。
「法の支配」は、常に説明責任を負っています。韓国からの報道によれば、日本の旧統一教会が2021年の衆議院選挙後、韓国の教団本部に対し、自民党の国会議員290名を応援したといいます。「看過できないのは高市早苗首相の名が32回登場すること。高市政権は「インテリジェンス・スパイ防止関連法制」の早期制定を目指すが、かつてスパイ防止法制定を促したのが教団系政治団体『国際勝共連合』だ。・・高市氏は教団との関係をあらためて国民に説明すべきである。」(東京新聞社説)
正月5日、高市首相は、安倍元首相の遺影を抱え伊勢神宮参拝を行ったのです。「再び一緒に来られました」という気持ちを感謝とともにお伝えしたかった」と。
「アベノミクス」の総括がないままに、同じ路線を引き継いでいるのです。株価は上昇しても、円安で物価の高騰を一段と招いているのです。成長できない国になっているのです。日本のGDPは、ドイツ、インドに抜かれ現在5位といいます。一人当たりのGDPは韓国に抜かれ22位です。
切実な要求を実現するために
ニューヨークの経験は、日本でも必ず起こってくるのでは、ないでしょうか。感性に優れ、行動力のある若者たちが、日本国憲法を学ぶことで、平和、民主主義、基本的人権などを自らのこととしたときに若者のエネルギーが発揮されるのです。私たちの諸要求を実現させるためにも若者の力が必要です。
共同行動をいかに作り上げるかが問われているのではないでしょうか・・・
連帯する1年でありたいものです。