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​交流の場-最新

国内外でリスク増大のなか、暮らしも年金も分岐点に

                                                                   稲邑明也 (旧三菱) 26.9.23.

 世界各地の戦乱で原油や食糧など物価高となるし、高市政権は「積極財政」というものの医療・介護など負担増だし、暮らしや虎の子はどうなるのか?不透明な状況です。   このままでは一段と危うくなりそうな分岐点に来たと言えます。

金融とか企業年金とか、難しい…との声も聞かれますが、巧みな言葉で政権が進める方向についてシッカリ見つめていかないと、インフレ加速など暗い方向に流されます。

会員から寄せられた質問も踏まえ、重要な問題について記しますが、長文となり恐縮ですけれどご覧の上、知識・情報を共有しながら連帯を強めたいものです。

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   円安・物価・暮らしはどうなるのか?

 何で円安なのか?

「積極財政」で危うい高市政権に、アメリカが円安是正・利上げなど求めてきたことや、日銀が利上げに動かざるを得ないとの観測から9月前半は150円台になり円安是正の観がありました。しかしアメリカの利上げと一日違いで同率幅の引き上げで160円近くに戻る展開となり不透明なままです。

円安の要因として「日米金利差」(アメリカより日本の金利が低いので多くの投資家投機家は円を売ってアメリカに預金・投資) が挙げられますが、もっと大きな基本問題があります。

円安の根底には日本の資金が構造的にアメリカへ流れていること、日本の体力低下が続いてきたことがあります。

アメリカに流出   

●原油、農産品などの輸入、●日本企業の海外投資、●年金や保険の対米投資、●個人の投資・株などNISA資金もアメリカ向け増大、●米国経済への期待…全体的に斜陽といえど、AI、半導体、クラウド産業などの分野で評価が高いし、ドルは世界の基軸通貨という位置にあります。

日本の体力低下 

「失われた30年」が依然として続いていることです。永年、アメリカの圧力で日本の貿易や産業政策が歪められ成長できず、プラザ合意の円高是正を契機にバブル化、その崩壊後も、新自由主義経済が引き続き、アベノミクスも加わり大企業本位の諸々の政策が進められ、国民本位の成長政策がとられなかった経過があります。

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  アベノミクス無反省のまま継承の無責任な「積極財政」

安倍元首相はデフレ脱却のためと称してインフレ方向を目指し異次元金融緩和・低金利とし赤字財政を膨張。筋違いな施策で成長産業は限られ、国民の所得は低迷し、円の値打ちも下落したままです。

それなのに高市政権はアベノミクス継承を掲げ、大企業優遇など続けたまま赤字垂れ流しの「積極財政」を掲げ、日銀に対し利上げ牽制していることが内外から信用信認低下を招いて円安が続行なのです。(他にも日本経済の力低下、日本企業の海外進出、個人の対米投資、などあるが紙幅の制約で割愛)

この10~20年前からの推移を見てもかなりの円安であり、円の価値は落ちたものです。しかも斜陽化のドルとの対比だけでなく、実質実効為替レートで見ても円の値打ちは低く、根本的な問題があることを直視する必要があります。

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    物価は今後どうなるの?

物価上昇圧力は次の要因でまだ引き続いています。

人手不足…介護、医療、建設、運輸などで深刻な人手不足が続行。自衛隊員の賃上げ増員よりこの分野の待遇改善で人材を増やし外国人も差別なしに受け入れることが不可欠です。

企業の価格転嫁…企業は賃上げ分や輸入原材料価格の上昇分を売価に転嫁しています。

円安…今月の利上げで是正できるものでなく、米欧の動向に対応して更なる利上げが必要と見られているし、日本の経済力向上・赤字財政脱却などの抜本的対策が不可欠です。

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  アメリカも元凶で、現況は?

アメリカは巨額の財政赤字など泥沼状況です。各地で紛争・戦争を続け、財政赤字が膨れ上がっています。大企業は一段と利益を求めてグローバル展開で国内企業は衰退傾向です。国内での法人税収は伸びず輸入は増え…と大変です。

このため、トランプ政権は日本に軍拡、高関税、対日貿易拡大・輸入規制、対米投資促進…と諸施策を突き付け、金融政策にまで干渉しています。こんなトランプ大統領が突き付ける諸々の要求を、高市首相は受け入れながらアブナイ方向へ向かっていることを見詰める必要があります。

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     高市政権で一段とアブナイ方向へ

高市首相は、食品に二年間の消費税減税を決めても財源は明示せず不信が高まり、経済を分かっていない!との批判が財界人からも広がっています。国民目線からみてアブナイのは、インフレにすることで税収も名目金額で増えるので財源は増える、という算段です。

信頼感の弱い政権がインフレ容認となれば内外の諸要因からインフレが加速し制御困難となる可能性大です。国民こそ惨害を蒙ります。

高市政権の危うさは「骨太の方針」「成長戦略」に示され、ある程度の批判は報じられましたが、実はこれとワンセットの「金融戦略2026」について殆ど見過ごされています。しかし、看過できない内容と問題点があります。 

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 「金融戦略2026」の中身は?

① 金融機能・市場機能の強化

銀行の融資・出資・ハンズオン(企業の成長に深く関与し、実務的・戦略的な支援を行うこと)、大型M&AやAIデータセンターなど巨額資金需要への対応、銀行・証券の隔壁規制の見直し、社債市場の活性化etc.メガバンクの要求を含めた施策展開。

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② 企業の成長投資を促すガバナンス改革

コーポレートガバナンス・コード(株主第一主義含む企業統治の基本ルール)の改訂、事業ポートフォリオ改革(複数の事業の取捨選択・再構築)やカーブアウト(一部事業を切り離し別会社化)の促進など「企業価値向上」に向け投資を増やすための仕組み整備。

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③ 国民が成長の成果を享受する環境整備

GPIF・共済・企業年金などの資産運用高度化、企業年金の情報公開(2027年度稼働)、確定拠出年金・iDeCo(個人型確定拠出年金、税優遇で人気煽る)改革、NISAの普及、金融教育など「国民向け」の美名で推進。

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④ AI時代の金融インフラの整備

ステーブルコイン(価格がほぼ一定の暗号通貨)やトークン化預金(預金をデジタル証券化し即時送金・24時間決済などが可能になる)、国債のトークン化、決済の高度化など基盤整備。

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銀行の事業が大きく変わる!

「金融戦略2026」は、銀行の事業について、従来の融資中心から出資なども組み合わせた「総合的なリスクマネー供給者」への転換を提起しています。つまり大型M&A資金の肩代り短期融資、AIデータセンター等の巨額プロジェクト融資など投資銀行機能(資本市場活用の資金調達支援)の強化です。内容は多々ありますが、基本的に「メガバンクを、単なる金融仲介機関(預金を集めて融資する)から、国家戦略産業への資金供給機関へ転換する構想」と言えます。

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  • 問題ある分野に投融資

高市政権は「戦略17分野」 (AI・半導体、量子技術、宇宙、サイバーセキュリティ、防衛産業、重要鉱物、エネルギー安全保障など、直接間接「軍需企業」とアメリカへの投資に向かう面も) に重点を置きこの分野への資金供給強化を求めています。これには「防衛や大企業への資金集中にならないか」「地方や生活支援が後回しにならないか」など問題があります。

この戦略に沿ってメガバンクには、大規模プロジェクトへの融資、出資(未上場企業も含む)M&A支援、事業再編支援、官民共同ファンド運営など求めているのです。つまり従来の融資だけではなく、自ら投資ファンドを運営したり、年金資金や機関投資家の資金を集めたりしながら、企業の成長を支援する役割を強める方向です。この点で、政権や銀行にとって障害になってくるのは様ざまな「規制」です。

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  •  規制緩和

これまで銀行には、一社への融資集中規制、出資比率規制、議決権保有規制などがありました。金融・経済面での強い力の抑制と健全経営のために必要としてきた規制です。

「金融戦略」でメガバンクがより大規模なリスクを取って成長産業へ資金を供給しやすくし、事業内容を変えていくうえで不可欠な施策になってくるのです。また、これら巨額資金の調達は、投資銀行機能強化・成長資金供給強化の言葉で金融持株会社の規制緩和の方向が示されています。既に2021年の金融審議会で銀証隔壁について大きな見直しが行われたし、メガバンクも更なる緩和を要求してきた経過もあります。(詳しくは14頁)

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  • 新分野展開 オンチェーン金融・デジタル金融

金融戦略では、ブロックチェーン技術を活用した「オンチェーン金融」(お金や資産の管理・取引をデジタル化し、銀行の台帳を互いに共有する巨大なデータベースに置き換え効率的で迅速な金融サービスを実現)、「ステーブルコイン」(値動きしにくい暗号資産)た「トークン化預金」(銀行預金をデジタル化しブロックチェーンを利用し送金・決済に活用)など推進見込みです。

また、不動産や債券などをデジタル化した「トークン化資産」の市場拡大や、それらを支える「デジタル決済基盤」の整備も期待されています。メガバンクはこうした分野への投資やサービス開発を進め、次世代の金融インフラを担う役割を強めていくと考えられます。

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  • ファンド事業の強化

ベンチャー企業や成長企業への投資を拡大するため、ファンド事業(企業に出資して、会社の価値が上がったら株式売却で稼ぐ。新興企業など投資先が不振で無配が続くなどリスク覚悟)の運営、年金資金や機関投資家の資金を集めたりしながら、企業の成長を支援するファンドの役割を強める方向。これまで銀行は、預金者の資産を安全に運用するため厳格審査の上で融資し利息を得るのが基本だったのが、今後はリスク覚悟の事業に進出です。

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  • 「防衛」産業への融資

「金融戦略2026」には「防衛産業を国家戦略上の重点分野として位置付け、資金供給をしやすい制度環境を整備する」と記載しています。メガバンクは今後、「防衛」という名目の軍需産業への融資に舵を切ると見られます。そんななか、三菱UFJ銀行の融資方針転換が報じられました。(詳しくは15頁)

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年金はどうなるのか?

私達の命綱である企業年金も安心できない分岐点に来ていると言えます。

企業年金については、岸田政権から石破政権に引き継がれてきた資産運用立国方針と企業年金・個人年金部会などで審議や施策の方向が決められてきました。

しかし高市政権の「金融戦略2026」は「資産運用立国のグレードアップ」という副題をわざわざつけているように、一段と問題含みの方向に進む内容となっています。

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高市政権は運用力向上・情報公開強化など、米欧の大手資産運用企業の本格的進出を進め、運用競争激化などの弊害も懸念されます。

● 確定給付企業年金 

大手基金に「アセットオーナー・プリンシプル」(責任ある運用を行うための基本原則)の導入を促し、運用体制やリスク管理の点検推進。

27年度には、他社・基金比較が可能な情報公開システムを厚労省が稼働の段取り。米欧大手資産運用企業が基金に食い込むのに役立つ情報の提供となります。

● 確定拠出年金 

企業年金なのに運用は自己責任のため加入者は元本確保型商品選択が多いので「偏重の是正」として高リスク運用推進、ロボアドバイザー導入、金融機関による助言解禁ほか、銀行など金融業界本位の施策展開。

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企業年金基金への影響は?

銀行などの大規模な基金は、企業グループ内で安全運転していたものが、米欧資産運用企業の参入・競争激化が進むことで、長期安定運用がかなうのか、懸念される面があり、注目が必要です。

私達の確定給付の場合、基金の運用成果が良くても、給付が増える仕組みでないし、キャッシュバランスプラン(三菱UFJ銀行では2010年に導入)も国債市況により給付されるので運用結果が良くても給付上乗せはなく、運用競争は無意味です。基金の運用成果が上がると、その分、銀行から基金への拠出が減るだけです。

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確定拠出年金の場合、現役には、商品選択の質向上、情報公開による運用状況の見える化など、メリットは一応あり得ます。しかし、自己責任の原則が緩む訳ではなく市況次第で減価するリスクは変わらず、資産運用企業だけが市況無関係で手数料稼ぎが可能となっています。

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公的年金積立金は?

企業年金とは別の公的年金(管理と運用はGPIF=年金積立金管理運用独立行政法人)は、年金積立金を専ら「被保険者等の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に管理運用する」という法律の定めに沿って変動の少ない国債などで運用していたのが、安倍政権は国内外の株式投資に運用比率を高めました。ある面ではカケみたいなことで、四半期単位では度々兆円単位の損失を出しながらも、結果的には大儲けし今では資産額約317.8兆円(26年6月末)となっています。過大積立であり年間給付額約56兆円で割ると約5.6年分も保有しています(英仏独など1,2か月分)。

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本来は、公的年金の改善充実(例えば物価スライド制なのに押さえ込むマクロ経済スライドの廃止や最低年金創設など)すべきなのに、放置してきました。

高市政権は今、利上げで国債下落の見通しのもと、買い支えするのにGPIFに買い支えさせるとか、更に稼ぐためオルタナティブ(株債券以外の高リスク商品)投資の上限5%を超えさせる算段です。これらは「金融戦略2026」の一環と言えます。

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経団連は企業年金「終末処理コース案」提起

高市政権は資産運用立国の推進で分科会を開催していますが厚労省の発言機会は少なく、不参加の会合もあります。そんな中でも①のバイアウトに関係してくるM&A、カーブアウト(事業分割)など審議されています。厚生労働省自ら二年前に掲げた次のような課題については受給権を守るために実態把握や法令化について役目を果たすべきです。

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  •  バイアウト(企業年金の外部移管)企業年金の終末処理メニュー

 企業年金の運営難とか M&Aなどを動機として、企業年金制度のある企業が年金資産と給付義務を“外部の専門機関に丸ごと引き渡す”仕組みです。海外では保険会社へのバイアウトが一般的で、MUFGは23年に米子会社で実施したことがあります。

しかし、日本で実施するには必要重要な法整備が未整備です。

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 経団連は、企業年金制度の終末処理みたいに、受給者のみの管理方式に持ち込んだ上でバイアウトする英国型を検討するよう19年の企業年金・個人年金部会で上掲資料を付けて提起しました。これは単にバイアウトのみならず確定給付年金の終末処理の方向を提起したものと言えます。

つまり現役は確定拠出に移行して基金に残る確定給付の受給者の他界減少過程で「閉鎖型」に持ち込んで社外移転…と片付ける方向性を示しています。基金には現役だけながら、代議員を出し発言の機会があるのが無くなります。みずほ銀行と三井住友銀行で既に現役が確定拠出年金移行しており、私たちは人ごと視できないと言えます。

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いまM&Aが増え、企業年金の「処理」が進められ、中には紛議も生じ、実務的課題となっている実情があります。しかし厚労省は実態を把握しておらず、受給権者が権利侵害の憂き目にあう可能性もあり、法令制定を急ぐべきです。

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  • 選択型企業年金

賃金を減らし、その分を企業年金の拠出に回す仕組みです。加入は本人の選択によりますが、賃金減額後、残業代も減り、暮らしは窮屈になり、他方で企業は社会保険料負担が減るし賃下げ対応分の残業代は減るので増益になります。三菱UFJ銀行が世に先んじて2015年に導入しました。

こんな方式では、運用リスクは受給者持ち、企業はリスクもコストもナシ、…と極めて歪んだ仕組みで、企業年金の名に値せず、企業年金の本質から逸脱したものです。

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しかも、現役時代の賃下げ分の社会保険料納付額が減る分、後で給付を受ける場合に少ないとか不利益が生じます。労働基準法が定める労働条件向上義務に反します。マクロ経済面から見ても賃金減・後年の給付減=購買力減退は経済成長に繋がらず逆です。

三菱UFJ銀行導入の翌年に三井住友銀行が追随しました。その後も導入企業が増えつつあるようです。企業年金の本質から逸脱した仕組みについて厚労省は実態を把握していませんでしたが、一応、企業年金・個人年金部会で委員の意見を聞いて問題意識は持ったようですが「議論の整理」に記載しただけで、その後何の対応も見られません。

銀行が当時、増益記録を塗り替えながらこんな邪道を世に先んじて導入した経営姿勢は、今の受給者に及んでくることは無いのか?警戒が必要です。

こんな邪道に対して、厚労省は指導が必要だし、その後の蔓延状況を把握し阻止すべきであり、課題として掲げただけの厚労省は反省が必要です。

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  • 支払保証制度

企業年金の給付が、会社の経営悪化などで支払い不能とか減額の場合に備えて、一定給付を最低限保証する仕組みです。2001年、年金二法制定時(バブル崩壊と運用不振などで厚生年金基金方式から確定給付企業年金、確定拠出年金に重点移行))に国会で付帯決議されたのに、経団連の横やりであれこれ筋違いの理屈を並べて四半世紀も先送りしたままです。

実際にAIJ事件が惹起(2012年、約120の年金基金が騙され、約2千億円消失)したのに加入者・受給者は泣き寝入りとなりました。これは稀な事例としても、受給権侵害に何の備えも無いのは許されません。

欧米では既に先行しています。日本も銀行融資では債務不履行に備えての「信用保証制度」が現にあり、支払保証制度に反対する経団連に押されての放置は許されません。

「付帯決議」の扱いであっても、国会が決議したことを行政府が四半世紀も特定勢力の圧力で棚上げし続けることは法治国家として許されません。   

 

 

 

元来た道へ? 金融持株会社と軍需産業融資 

高市政権の方針で経済・金融面で特に重大なのは、戦争する国、出来る国に必要な資金を多面的に集め、特定分野に誘導しつつ強い国、強い企業へ向かいつつあることです。その点で金融持ち株会社の帰省緩和と軍事産業の投融資は重大です。

戦後禁止された持株会社が…

戦前に大財閥が圧倒的な経済力を駆使して「経済力の独占」「政治との癒着」「軍需による利益追求」「格差の拡大」をやったという反省から持株会社は禁止されました。

しかし、金融自由化、金融ビッグバンということで解禁され1998年に幾つもの規制を講じて法整備がされたのです。こうしてみずほを先頭に今のメガバンクが次々スタートを切り、今の3メガバンクに至りました。

銀証隔壁とは

規制の一つは銀行・証券一体的経営となると弱肉強食の弊害(*)がでるため、グルーープ傘下の銀行と証券会社に対し、双方が業務一体化して弱肉強食に走らないよう、ファイア・ウォールと言う隔壁を設けたことです。

しかし今では隔壁規制を取り払い、銀行と証券の連携を強化する方向をメガバンク各社や全銀協が政府に要求してきだのです。証券業界の反対があったし、歴代政権も慎重でした。しかし、対応が遅いということでメガバンクは規制緩和を要求し続け、とうとう三菱UFJ役員らの規制破りまで起きました。

(*)一例としては、融資先の回収が危うくなると融資先に社債発行させて回収、金融持株会社傘下の証券会社がその社債を売り出し、顧客へリスク転嫁も可能…など利潤優先の不公正ビジネスが懸念されます。

金融審議会などでも、必要かつ重要な規制への緩和の討議が重ねられており、「金融戦略2026」を契機にさらなる銀行支配力の強化が懸念されます。

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   新たな重大問題=軍需企業への融資

 三菱UFJ銀行が「防衛産業に融資へ転換」という観測記事が新聞に出ました(9.17.日本経済新聞ほか)。銀行としては「非人道兵器は対象外」「防衛分野への融資は慎重」としてきた方針からは大きな転換です。

高市政権は殺傷兵器を輸出して日本を豊かにすることを正面から掲げて具体化を推進

しており、年末の安保3文書改定とも相まって見過ごせない段階に進む可能性が高まっています。防衛というものの、今では法的にも実態的にも「専守防衛」を越えているなどあり、平和憲法から許せない由々しい事態であり、ここにきて大銀行が「防衛産業に融資へ転換」というのは許されることでしょうか。

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この転換は次の二点で問題があります。

▲MUFGがこれまで強調してきたESG・社会課題解決・ステークホルダー(利害関係者)重視の理念と照らし合わしてどうなのか?ということです。

MUFGの環境・社会ポリシーでは「クラスター弾、核兵器、生物・化学兵器、対人地雷へのファイナンスを認めない」としてきました(実際には核兵器生産企業への融資は継続中ですし、三菱重工、三菱電機などにも融資)。

このポリシーと今度の転換がどう一致するのでしょうか。

平和のために攻められない軍備が必要と政権は言いますが、首相は戦争への反省を拒む姿勢ですし、今の軍備態勢は敵基地攻撃能力保有論を前面にして戦争に引き込む方向に猪突です。

更に今では、AIを組み込んだ態勢で日米共同訓練を重ねています。米軍がAI作成の誤情報で中国船攻撃の寸前にまで至る事態が起きました。AI開発の当事者が開発規制しないと人類破滅と言い、国際的な世論が広がっている時です。

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▲三菱創業からの三綱領「所期奉公、処事光明、立業貿易」をMUFGは継承しており、所期奉公(事業を通じて社会に貢献)の基本姿勢が問われます。また「処事光明」とは三菱グループ自身、「公明正大で品格のある行動を貫くこと」と説明しており「防衛産業への融資転換に関して行内見解統一は対外公表しない」というのでは、世の理解を得られましょうか。

MUFGの転換はメガバンク他の銀行にも波及必至とも見られ、トップバンクの見識、社会的責任が問われて来ます。

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今回の転換措置は、7月に小泉防衛大臣が全銀協に申し入れた経過もあると報じられていますが、それは一つの契機に過ぎず、前々からMUFG歴代トップや役員・元役員らは、経団連の副会長として「防衛産業委員会」に関与したり、政府の各種審議会(例えば「経済安全保障推進会議」など)で政権の意向に沿う発言をやり、政権との結びつきは続いてきたのです。

三菱財閥は創業時から時の政権と共に事業を拡大して利益をあげてきたし、旧大財閥グループともに同様に政権と繋がりを強めて世界大戦に突入した歴史があります。

こうした史実も振り返ると今は大きな分岐点に立っています。かつて働いてきた企業が真に世のため人のために役立つ存在なのか、単に銀行が儲かって企業年金の給付さえ続けば安心!で済むのか、考えたいものです。                                                                                      26.9.20.    稲邑明也 (旧三菱) 

 

MUFGは「世界トップ5を目指す」というが…

MUFGの時価総額が7月13日に日本でトップ(42兆円)になって、半澤社長は、世界トップ5の金融グループ入りを目ざすと語ったことがメディアで報じられました。

「世界で大きな存在になれば年金受給者としても安心」という声も聞かれますが、この目標の行く手には、日本経済の構造的課題、国際金融市場の変化、そして日本の銀行業のビジネスモデルの限界が複雑に絡み合っており、その意味と先行きを考えたいものです。

   

難儀な問題がいくつも

まず、日本経済の体質として、円安が是正されない状況が続いています。人口減少、潜在成長率の低さ、財政赤字の常態化、そして日銀の長期にわたる金融緩和が背景にあります。この環境下では、インフレが進みやすく、輸入物価の上昇が家計や企業のコスト負担を増大させます。中小企業では特に経営難を招き、倒産や廃業などに繋がり易くなります。

銀行にとって与信費用が多額必要、預金集めが進まない、などの面が強まります。海外では、資金調達において円安プレミアムを支払う必要が生じ、ドル建て調達コストが上昇します。MUFGのように海外事業比率が高い銀行ほど、この負担は大きくなります。半澤社長が「調達手段の多様化」を強調する背景には、こうした日本経済の構造的弱さがあると言えます。

  

海外大手と大きな違いが…

次に、海外大手金融機関のビジネスモデルとの違いです。日本の銀行は、預金を集めて貸し出す「預貸業務」を中心とする、いわば「農耕型」が基本です。一方、米欧の大手金融機関は、M&A仲介、企業買収、資産運用、投資銀行業務など、フィー収入の比率が高い「狩猟型」が主流です。市場変動を巧みに利用し、企業を「転がす」ことで高額の手数料を得る体質と言えます。

アメリカの大銀行は銀行と証券業務の兼営規制が緩和されグループ内では実質的に一体経営です。欧州の大銀行は隔壁制約が低くグループ内一体経営が基本です。

日本では戦前の反省から金融持ち株会社は禁止されていたのが解禁され三メガバンクが発足したものの、銀証併営は隔壁で規制されています。三メガは規制撤廃を求めてきましたが、実現していないのにMUFGの経営上層部が違反し処分されました。

トップ5を目指すにはこの規制撤廃要求が強まり、弱肉強食の競争が強まります。果たしてこんな方向が世のためになることか?問われてきます。

MUFGはモルガン・スタンレーとの提携を通じて投資銀行業務を強化していますが、歴史的にも文化的にも、日本の銀行が米欧型の狩猟型モデルと競争するには土俵が違うとも言え、肩を並べることは容易ではありません。

国内企業の多くは保守的で、M&Aやレバレッジ取引に慎重であり、米欧のような高額フィーを継続的に得る市場環境が整っていないのです。

  

弱肉強食に走るのでないか

さらに、トップ5目標は国内中小企業やローン利用者、小口預金者から批判されやすい面があります。銀行がROE(当期純利益÷自己資本)向上を強く打ち出すと、貸出金利や手数料の引き上げ、高リスク中小企業への貸し出し消極姿勢などが起きやすくなります。

実際、世界の大手銀行は高収益を維持するために、個人向けサービスの手数料を引き上げたり、低収益部門を縮小したりする傾向があります。銀行自身が既に両替手数料アップなど不評を買ってきました。収益性を追求するほど、国内の零細企業や生活者にとっては負担増につながる可能性があります。

半澤社長の所信は、株主や海外投資家には歓迎される一方、国内取引先からは「銀行が儲けるために負担を押し付けられるのではないか」という懸念や警戒感を招きやすい面があると言えます。

  

何のため誰のためのトップ5入りか

そもそも「世界トップ5入り」という目標の意義は何でしょうか。銀行が巨大化しても、利用者にとって貸出金利が下がるとか預金金利を上げる訳でもないし、手数料が減る訳でもありません。他行と利益や資産規模を競う過程で利用者の利益と背馳したり株価アップのために配当や自社株買いに力を入れる経営が強まる懸念が出てきませんか。

役員には株価が反映する株式報酬制度があり頑張りがいがあるでしょう。

しかし、総資産額がここまで増えてきた背景には、永らくの利用者そして従業員・元従業員の寄与があります。配当増や自社株買いを重ねて来れたのも経営陣の才覚と働きだけでないハズで、今後も一路邁進増やし続け得るものでもないハズです。

MUFGは「多様なステークホルダー(利害関係者)とのネットワークを活かし、金融の機能を通じて世界を「つなぐ」存在になる。「つなぐ」ことで、あらゆるステークホルダーのチカラになりたいと考えています」と内外に宣言していることとどう繋がるのでしょうか。

低金利下では預貸業務の稼ぎが弱まりATM機や店舗を減らしたり、手数料稼ぎコスト削減のため両替手数料の増収策などで不興を買いました。総人件費抑え込みのためベアは見送りや低率を長く続け、退職金改善は1996年の従業員組合の要求を拒否以降、改善しない他方で企業年金にキャッシュバランスプランを導入して国債市況で給付が変わる仕組みとし(2010年)、賃下げ前提の奇妙年金を導入しました(2015年。詳しくは10頁参照)。今の総資産はこうした積み重ねの上に在ることを経営陣は銘記して欲しいものです。

  

世界のチカラになるというが

気候危機が深刻化する状況下、三菱UFJ銀行は国際的な気候変動対策の銀行連合に参加していたのに脱退しました。武器製造や核兵器関連企業への融資が問われています。(MUFGの核兵器関連企業への投融資額は129.31億ドル≒2兆円でMUFGは世界で第9位 の規模。ほか前号に記載)。

高市内閣が軍拡方向を強めるなか、大沢頭取は「国家戦略分野への資金供給は銀行の使命」など述べました。政府が設置の「総合的な国力から安全保障を考える有識者会議にMUFG元会長三毛氏が参加。銀行は従来、防衛ファイナンスには慎重な対応を取ってきたものの「欧州では防衛産業への融資を見直す動き、日本も防衛ファイナンスを議論すべき」との発言趣旨が記載されています。(発言者名は非開示ながら、銀行業界からは三毛氏のみ参加)

また、MUFG、銀行は資産運用立国方針に即した経営体制をとり施策を推進、扱う巨額資金が軍拡傾斜の「成長戦略」に組み込まれつつあります。

このような方向は真に世の為人の為、世界のチカラになることでしょうか。むしろ、歪んだ資本主義経済・金融の根底にある政治を国民本位に正すよう持てる影響力を発揮するなら評価されましょう。しかし実際には例えばアベノミクスの異次元の金融緩和には批判や反対はせず従うだけで、その枠内での経営でした。(2016年に平野MUFG社長は国債政策に異議を示す形で国債取引の特別資格を返上したものの代わりに三菱UFJモルガン・スタンレー証券が参加のため恰好だけと批判されたことあり) 高市政権の積極財政にも無音ですが、利上げ局面で利益になるからとインフレ必至も容認なのでしょうか。

今、資産運用立国政策が進められ、公的年金・企業年金の資金も含め巨額資金が軍拡とも繋がる「17の重点分野」に注がれてインフレ加速の可能性が強まっているとき、協力する方向は問題です。インフレの問題一つとっても年金額の目減りや生活費の増高に繋がります。銀行としても日本経済としてもインフレによる弊害は論を俟ちません。銀行の成長が国民生活の安定と豊かさにどう結びつくのかという視点が、今後ますます重要になると考えます。

銀行法は健全性と公共性を基本に免許を得て営業することを定めています。また全銀協が定めている銀行憲章には「お客さま本位の業務運営を通じて、お客さまのニーズに応えるとともに、…お客さまの利益の適切な保護にも十分配意した質の高い金融サービスの提供を通じて、内外の経済・社会の発展に貢献する」と記しています。

このような基本点に立っているのか、自己検討を進めて経営目標を立てることが求められています。モノ言う株主に顔を向け過ぎぬよう、モノ言う受給者、「考える会」でありたいと思います。                       稲邑明也 (旧三菱) 26.7.25.

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暮らしと企業年金の先行きはどうなる? 稲邑明也(旧三菱) 26.7.20.

 6月の物価上昇率は前年同月比1.6%との発表で、今年になって物価上昇率は前年比で2%に届かず、ホッとするとの声もあります。しかしこれまでが高すぎたのであり、2020年から6年半で13.1%アップ(生鮮食品除く)です。企業年金はそれだけ目減りしており、追打ちかける医療介護の負担増など含め、今後も懸念されることが多々あります。足元の物価問題から経済・政治の先行きを考える必要があります。米国のイラン攻撃は続いているし、何よりも高市政権の無責任積極財政姿勢でインフレ加速、円安が暮らし直撃の様相です。

    アブナイ高市路線

先月、高市首相が日銀総裁を呼びつけて圧力をかけ、日銀の利上げは0.25%と小幅でしたが、それでも円高に動くのがスジなのに逆でした。高市政権の無責任な「積極財政」で国債増発は必至と見られているからです。しかも金融緩和の是正策として日銀は国債買い入れ減額と決めていたのに27年4月以降は減額停止=カネ余り放置としたため、ブレーキとアクセルを同時に踏んでると批判される始末。日銀が高市首相の要求に屈したとも言え、マーケットが財政悪化・円安を見越し、対ドル170円との予測すらでています。高市首相の采配について安倍元首相の指南役だった浜田宏一氏(エール大名誉教授)は高市首相が「経済のことが分かっているのか?」と疑問を呈する有様です(毎日新聞7.24)。

円安続行では輸入品価格上昇となり家計に転嫁されます。公的年金は物価スライドがあるものの、実施には時間差がある上にマクロ経済スライドの仕組みで物価より抑えられその乖離は年々開き、アベノミクス以降(12~25年)で6.6%の実質目減りです。これに加えて健康保険料や介護保険料の負担区分変更で年金手取りは減る人もいます。

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    企業年金で看過できない流れ

企業年金については厚労省が「企業年金・個人年金部会」で経団連、業界関係者、政府重用学者らが審議し施策の具体化を進めてきました。コロナ禍以降は現役向けの施策が中心でしたが、岸田政権以降は資産運用立国方針と絡めてiDeCoの拡充など進めてきました。石破政権時に公表した「議論の整理」に重大な問題があるまま審議中断となっているし、高市政権になってから年金資金などの運用に、従来と異なる方向が強まっています。

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石破政権の取り組みは?

「資産運用立国」路線で「資産運用立国実現プラン」策定、部会審議を並行しました。  

◆金融庁主導で資産運用立国推進分科会

主に、① 日本市場を「閉じた市場」から「開かれた競争市場」へ転換する改革、② 日本の運用会社の質を世界水準へ引き上げ、諸々の規制緩和、③ 大手金融グループに資産運用ビジネスを経営戦略の中心に据えることを義務化(MUFGなど直ちに呼応)、④新興企業含め成長資金供給の多様化=銀行融資と異なる株式・プライベートクレジットなどへ拡大

◆厚労省 企業年金・個人年金部会の審議に問題が…

厚労省の企業年金・個人年金部会では次の論点が審議されました。
① 確定給付(DB)から確定拠出(DC)への移行促進(企業責任を自助責任に転嫁、② 企業年金基金の運用体制強化、③ 個人型DC(iDeCo)の加入対象拡大、手続き簡素化
④ 運用商品の多様化(海外資産・オルタナティブの導入と比率拡大)
 中には、米欧運用会社が日本の年金運用市場に参入し易くする制度づくりもあります。一例として「各基金の運用・財務内容の公表」は外資が運用引き受けのセールスをし易く、運用力競争激化へ向かう内容です。基金の運用成果が上がればDBの場合、企業は資金拠出を減らし得るが、総体的に加入者の安定長期給付に繋がるか?一考を要します。
◆企業年金の制度改革などの課題
今後の検討課題とされた次の三点は、受給権の角度で見ると重大です。
① 支払保証制度
 企業年金の給付が、会社の経営悪化などで支払い不能とか減額の場合に備えて、 一定給付を最低限保証する仕組み。2001年の企業年金二法制定の際に必要性と論議され付帯決議されたのに経団連の横やりであれこれ筋違いの理屈を並べて四半世紀も先送りしたままです。
 実際にAIJ事件が惹起(2012年、約120の年金基金が騙され、約2千億円消失)したのに加入者・受給者は泣き寝入りとなりました。これは稀な犯罪であるとしても受給権侵害に何の備えも無いのは許されません。欧米では年金保険が一般的です。日本も銀行融資では債務不履行に備えての「信用保証制度」が現にあり、放置は許されません。
② バイアウト(企業年金の外部移管)
 企業年金の運営を企業が続けられなくなったとか、 M&Aなどで企業年金制度のある企業が負担軽減のため年金資産と給付責任を“外部の専門機関に丸ごと引き渡す”仕組みです。海外では保険会社へのバイアウトが一般的で、MUFGは23年に米子会社で実施したことがあります。しかし日本で実施するには必要重要な法整備が未整備です。
 これは企業年金制度の終末処理のように、DBを受給者のみの管理方式に持ち込んだ上でバイアウトする英国型を19年の部会で経団連が紹介、提起しました。企業年金の終末処理の方策みたいでは人ごと視できないと言えます。
 既に日本でM&Aが増加し企業年金の「処理」は進められ、中には紛議も生じ、実務的課題となってこういう実情に対して厚労省としては受給権を守る立場からも法令制定を急ぐべきです。
③選択型企業年金
 現役向けの仕組みで、賃金を減らし、その分を企業が企業年金の拠出に回す仕組み。加入は本人の選択によりますが、賃金拠出後、暮らしは窮屈になり、他方で企業は社会保険料負担が減って増益になります。三菱UFJ銀行が世に先んじて2015年に導入しました。
 DCの選択型では運用リスクは受給者持ち、企業はリスクもコストもナシ、と極めて歪んだ仕組みで、企業年金の名に値せず、企業年金の本質から逸脱したものです。しかも現役時代の賃下げ分の社会保険料納付額が減る分、後で給付を受ける場合に少ないとか不利益が生じます。マクロ経済面から見ても賃金減・後年の給付減=購買力減退は経済成長に繋がらず逆です。

三菱UFJ銀行が増益記録を塗り替えながらこんな邪道を世に先んじて導入した経営姿勢は反省が必要で、こんな姿勢では私達受給者の扱い、企業年金施策にも及びかねません。

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  高市政権の施策  年金マネーをテコに何する?

高市首相は就任時「資産運用立国」を成長戦略の中心に据えると明言。「貯蓄から投資へ」を継承しつつ、次の点を強調しているのが目立ちます。
① 金融を“国家戦略の基幹”に格上げ
 岸田政権では金融は成長戦略の一部だったが、高市政権では 「金融が成長を牽引する」という位置づけに大きく変化し中身も重大です。
② 経済安全保障との統合
 半導体・AI・防衛技術など、国家安全保障に直結する分野への 長期資金供給の仕組みを金融政策で構築する方針。
③ 地方金融の再編と資産運用立国の統合
 地銀・信金の運用力強化、地域産業への資金供給を資産運用立国の柱に組み込む姿勢。
   具体的施策の中身は?

これまでの資産運用立国推進分科会で審議されたポイントはー

  • 家計の資産形成(NISA・iDeCo・金融教育)=◆新NISAの恒久化後の運用環境整備、◆若年層・高齢者向け金融教育、◆投資詐欺対策・情報開示の強化

② 資産運用業の国際競争力強化=◆外資運用会社の誘致、◆英語での金融行政手続き、◆東京での営業拠点化 など外資誘致の具体化
③ 官民ファンド・成長投資の再設計=◆官民ファンドの統合・効率化、◆半導体・AI・GX・防衛産業への長期資金供給、◆地方金融機関の共同運用プラットフォーム
④ 企業年金・公的年金(年金積立金運用のGPIF)の役割強化と活用=◆長期資金としての成長投資への参加、◆国内産業への資金循環の仕組みづくりなど
⑤ 経済安全保障との連動=◆重要技術への投資、◆外資規制との整合性、◆国際的な資金流動の管理
   企業年金やGPIFの資金が向かう先
 政府は「年金資金の政治的利用は行わない」と説明しているのに 政策文書・分科会では次の分野への資金誘導が明らかです。

① 半導体・AI・量子技術=経済安全保障の最重要分野と位置付け17分野を示し、官民ファンドとの連動、脱炭素・エネルギー安全保障、電力インフラ投資に力点を置き企業年金・公的年金の積立金も誘導・動員の方向。
②スタートアップ(新興企業etc.)への支援=官民ファンドとの協調投資、新興起業・大学・研究機関などの“外部の知”と、大企業の資金・人材・顧客基盤・データを組み合わせて、新しい金融サービス・技術・産業を生み出す政策的枠組み。 単なる協業ではなく、国家戦略としての産業創出エンジンとして位置づけ。

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   新たな分野への誘導は大丈夫なのか?

PC(プライベートクレジット=銀行が直接融資するに至らない先へ投資家が代わって融資)・PE(プライベートエクイティ=未上場・非上場企業への出資)への資金流入を促進。そもそも、PC,PEともに評価額は市場で決まらず、情報の非公開性、透明性が低く手数料が高いなど難点があります。世界的に年金基金がPC・PEを増やしており、日本も追随する方向ですが、長期に安定的に運用し給付すべき年金資金にはリスクとなります。 

何よりも昨秋以降、米欧で投資家のPC解約申し込みが増えており、PC引金のバブル崩壊の警告が増えています。

日本より米欧の運用企業が先行し実績あり…ということで依存すると、日本の資金が海外企業の振興に使われることとなるし円安要因にもなります。


   成長政策と言うが戦略17分野の内実は?
 政府は「戦略17分野」を 国家成長の重点領域としています。項目は別個でも相互に軍需に絡んでおり、外交よりも軍事対応が目立つ流れの中で憲法、世論との関係で是とできるのか?問題です。

資産運用立国による資金運用は 戦略17分野の“資金エンジン”として日本の成長よりもアメリカのAI・軍事産業の成長に向けられる可能性大です。溜め込まれた年金資金=公的年金・企業年金が暮らし向上の分野でなく軍拡関係分野に向かい、安定運用に危惧ある方向でいいのか?問題です。 



 

 
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