最近の動き
基金が前期決算をホームページに掲載しました。
基金は2021年から受給者への「基金だより」発行・送付を取り止めました。
代わりにホームページで前期決算などを開示しております。
閲読にはパスワードなど必要ですが、この当会ホームページは第三者が見得るため、ここにお示しできません。基金へお問合せ下さい。基金電話=03-5218-6480
当会では決算などの分析を会報に掲載していますので、ご覧になりたい方は次のメールアドレスへご連絡ください。会報をお送りします。
または携帯 080-3204-1783
企業年金の改変が新たな段階へ
酷暑が続くおり、エアコン使用で電気代は気になるし、物価上昇や医療・介護等の負担など、年金者には何かと暮らしにくい日々が続きます。そんな中、企業年金を巡る動向も気になりますが、岸田内閣以降、新たな展開です。岸田内閣は、アメリカの資産運用業界に促されて「資産運用立国プラン」を昨年末に決め、いま具体化を推進中です。
自民党政権は前世紀からアメリカの圧力で金融自由化を進め、財界言いなりで企業年金の改変・後退も推進してきました。本来は、企業が全責任を負うべき企業年金なのに、コスト・リスクの負担を現役・退職者に転嫁する仕組みに変えるよう、前世紀から経団連が政府に要求し、厚労省が審議会など設けて具体策を練り、法制を変えてきた経過があります。今は企業年金・個人年金部会で続いており、受給者としても看過できない状況です。
企業年金は元々★退職時に金額など確定している「確定給付」(DB)ですが、今世紀に入って、★国債市況に連動する「キャッシュバランスプラン」、★銀行が掛金拠出し自分で運用する「確定拠出」(DC)、★DBでも金融市場激変などで積立不足の場合は減額もある「リスク分担型」が導入されてきました。しかも、公的年金が細ることを前提にして、企業年金や個人年金で補完させる方向にあり、企業年金の基本点・独自性が懸念される状況となっています。
今の企業年金・個人年金部会は19年2月にスタート。昨年来の特徴点は、公的年金の必要施策は抑え、企業年金では企業の負担を抑えて現役が自助を基本にDCや個人拠出のiDeCoの普及拡大のために、税優遇など含めての施策を審議、法令改定も進めてきました。
昨年から目立つのは、アメリカの資産運用企業に突き上げられる面が強まっていることです。最大手・ブラックロックなどが政府と一緒に会合を持ち様々な要求を出しています。日本の年金資産運用業界や基金などは企業グループ内で閉鎖的とか、運用力が弱いなど色々批判し、アメリカの運用企業が日本に進出しやすくなる施策を求めています。
その一つに「企業年金の見える化」があります。具体的には基金などが個別の運用実績や財務状況など全面開示し、厚労省がホームページに掲載し、誰もが見られるようにする、などあります。「加入者のため」と押し出していますが、要は外資が個々の基金など調査可能とし、食い込み易くせよ、というものです。
部会では開示の仕方、範囲など疑問も出ていますが、各基金などの運用を外資に代わると予定利率を引き上げたり運用成果を競い合い、却ってリスクが増大する懸念も指摘されています。
他に、「年金バイアウト」も気になります。三菱UFJ銀行が二年前に米子会社を売却し年金給付債務をバイアウトとして781億円で外部に移転したことを当会報に載せました。
実は、バイアウトについては19年3月に企業年金・個人年金部会で経団連が提起し、昨年7月の部会文書にも検討課題として記載されたのです。
経団連は、終身雇用は衰退し従来の確定給付年金は確定拠出などに切り替わる方向を打ち出しています。現実にみずほやパナソニックなどでは現役が全部確定拠出に移行し、今の受給者は減るのみとなり、別枠の扱い方とし、バイアウトという外部移転も選択肢の一つとして提起しているのです。このような流れの下で、当会が参加している「企業年金の受給権を守る連絡会」は、部会に委員を送り出している「連合」と懇談しました。
企業年金の受給権を守る連絡会が「連合」と懇談
当会から稲邑が「企業年金の受給権を守る連絡会」の世話人として懇談に出席し、部会審議の内容を巡って意見交換しました。連絡会からは世話人含め7人、「連合」からは、福祉局の本多一哉部長が参加(当初予定は企業年金・個人年金部会の委員を務めている福祉局の松田陽作局長が出席予定でしたが、急に他の審議会の開催のため欠席)。
審議の基本的問題…筋の通らない公私年金の混同など
稲邑 公的年金と私的年金(企業年金と個人年金)を混然と審議するのは問題。昨年末に企業年金・個人年金部会は、年金部会(公的年金を審議)と合同で開催されたが別物。公的年金は憲法に基づいて国の責任で独自に推進するもの。公的年金が細ることを前提にして私的年金の役割分担などと言って審議するのは、いわば公助を自助に転嫁することになる。
部会審議の中で、「公私年金の連携」とか私的年金が「公的年金を補完」という言葉が使われているが、DB法にもDC法にも「補完」という言葉はなく、あるのは「相まって」のみである。つまりそれぞれ独自のもの。なのに依然として「公私の連携とかは柔軟に考える」etc.と書かれているのは問題。補完とか連携とかは、公的年金の充実を棚上げし自助を迫る道筋に繋がる。
企業年金、特にDB(確定給付)は賃金の後払いの分割払いとして、法的根拠も性格も個人年金iDeCoとは異なる。同列の扱いでは、独自の機能、固有の問題が軽んじられる。経団連の委員はDB含めて福祉施策と発言、他にも同調者が出ているのは筋違い。
しかも、企業側が負担軽減のためにキャッシュバランスプラン、リスク分担型など導入、受給権に後退・侵害の面がある。部会が機能の維持強化といって審議するなら、これまでの筋違いな経過を検証し、問題点を洗い出し、労働政策審議会で審議すべき。
DBの維持強化を言うなら、物価スライドの仕組みが求められる。いま受給者の中には物価上昇・インフレ進行でDBが目減り、先行き不安、対策は?との声がある。英国などは物価スライド制であり、日本は遅れている現実を直視して機能の維持強化を審議すべき。
本多氏 公的年金と私的年金の区別など「連合」も同意見。公的年金と相俟って企業年金があるのであって補完の関係ではない。iDeCoとDCが一緒の論議はおかしい。
DBの物価スライドについては強調すると、企業負担となるためDBの普及・維持に弊害となる恐れあり。企業負担が増えると、DBからDCに移行する企業が増えるのではないか。これはジレンマ。定年延長による給付増についても「負担」として、企業年金を止める企業が出て来る可能性がある。定年延長による給付増をやらないことになると実質的に減額となり、受給者の合意が必要になり、同意取り付けの手数が出てくるのはコスト増でいやだという企業もある。連合としては痛し痒しである。
資産運用立国プラン具体化でアブナイ方向へ
稲邑 DC、iDeCoは元本保証なくリスキー。資本主義経済である限り、リーマンショックのようなリスクは将来不可避。DC法は「高齢期における所得の確保」「生活の安定と福祉の向上に寄与」と定めているのに沿わない施策。しかも今、DC、iDeCo、新NISAなど外国の株投信に巨額の資金が流れ、円売りドル買いで円安の要因になっている矛盾もある。
部会は岸田内閣の資産運用立国プランに呼応し、外資の参入促進の方向。年金基金や運用企業などの資産運用力の向上を掲げると、運用企業相互の成果競争を招きリスキーな投資が広がる可能性がある。
DBは資金不足になると企業が責任もち補填するが、これが不能とか不十分とかになると、現役・受給者にツケが回される。競争激化に歯止めが必要。基金などに情報開示を迫っているが、競争促進策は現役・受給者からすると、どんなメリットデメリットが派生してくるのか、突っ込んだ審議が必要。
本多氏 資産運用立国プランの施策は、社会保障政策とは違うものである。予定利率が高いとか低いとかで年金基金の「健全性」を見るのはおかしい。予定利率を高くするとリスクの高い運用をめざすことになり危ない面が出てくる。実績が低くて仮に不足が出ても企業が負担する現行方式が受給者には安心だ。連合として企業年金は安全・安心が第一であると考えている。
確定給付年金DBの今後について
稲邑 財界・政府は前々から雇用の流動化など進めており、退職金制度自体が衰退していく懸念がある。退職年金制の企業が減少し受給者も減っていくと本来的なDBがどうなるか。連合傘下の単産・単組で退職金の引き上げを要求している状況はどうか。
本多氏 退職金要求は、年金より退職一時金でやっているところが多い。年金であれ一時金であれ、連合として傘下組合には労使自治の原則から、あれこれ言えない。
稲邑 全体的にDBからDC(自己責任運用)に移行する事例が増えている(みずほは今年四月から)。この流れが加速されると企業年金基金を構成している現役加入者が居なくなり、受給者のみとなれば、閉鎖型(*1)とか、基金解散・規約型(*2)移行、或いは年金バイアウトとなると、受給者の受給権はどう確保されるのか。
受給者の立場での省令やガイドライン整備の審議を要請したい。
本多氏 連合としては企業年金はDBが基本であると言うスタンスは変わっていない。政策としてDBから安易にDCへ移行すべきではないということを政策として明示している。
(*1閉鎖型とは、現役の居ない確定給付企業年金。閉鎖型への移行に当たって厚労省は基金からの承認申請書類の省略とか移行後の手続き簡素化の通達を2011年に発出済み)
(*2規約型とは 企業年金を管理・給付するための基金を設置しないで、企業が信託銀行や生命保険会社に管理を任せ給付する方式。大企業でもコストカットのため基金方式をやめて規約型に移行する事例は相次いでおり、パナソニックは昨年移行。)
年金バイアウトは問題あり
稲邑 5年前の部会で経団連が突然に提起し、他委員から意見無しだったのに、厚労省は、今後の審議課題であると「議論の整理」文書に19年に明記した(昨年7月も論点として記載)。しかし部会の「中間整理」(昨年末)には記載なし。経団連が言い出し、後で実施の例は他にもあり安心できない。連合として情報の把握は如何。
本多氏 バイアウトを経団連が部会でまた言い出すかと思っていたが、発言はないし、今のところは論点にはなっていない。低金利の中で、そもそもバイアウトを引き受ける金融機関があるのか、という疑問がある。
稲邑 安心できない。「資産運用立国プラン」との関係では、外資がバイアウトをビジネス対象にしてくる可能性があり得る。国内企業としても、東証の掲げるPBR1超やROEなど資産効率向上などを意識すると、手慣れた外資が年金債務やリスクの圧縮の方策として、提案してくると乗る可能性が出てくるのでないか、という懸念もある。
年金バイアウトを実施する場合に、受給権は完全に保護確保されるのか、個々の受給者の同意は必要条件とするのかどうか、引き受けた生保などの側に不測の事態が生じた場合の企業側の責任はどうなるのか、契約は自由としても、行政の側として契約内容の把握、監督、指導などどうなるのか、など色々な点で懸念が出てくる。
ー他の参加者から、支払保証制度(企業倒産等の場合に企業年金の積立不足を補填し受給権を確保する制度)創設の要請や、公的年金の改善・毎月給付の要請もされました。これら発言や稲邑発言の他の部分も紙幅の制約で割愛 ー
ビックリ!法令違反でMUFG・銀行など処分
当ホームページの「交流の場」をご覧ください。
決算発表 フィナンシャルグループは巨額利益計上
銀行も海外部門で大幅増益 最終純益は減も実質増益
15日発表の三菱UFJフィナンシャルグループ(以下[MUFG])の23年度(24/3期)は、
純利益が1兆4,907億円で、過去最高を記録しました。国内外ともに金利が上昇し
本業の収益が増えたこと、株価の上昇や円安で円価換算利益が膨れたこと、そして積年
の人員・店舗削減などのリストラ「合理化」が続いたこと、などの要因があります。
増益を受けて24/3期配当は年間9円増配の年41円、総計4,880億円を予定しています。
この配当金額は純利益の32.9%(配当性向)となります。
株主還元として自己株式取得を18年度以降累計1兆2千億円実施してきましたが、15
日の会見で、1,000億円を上限とする自己株式の取得を発表しました。
今期24年度は純利益1兆5千億円を目標とし、年間の配当金は、24年3月期よりも
9円増(2期連続)の50円、総額5,887億円、配当性向は39.1%、とするとの発表です。
三井住友・みずほ各フィナンシャル・グループも、過去最高益を記録しています。
メガバンク3社合計の純利益は3.1兆円で、金融緩和が始まった2013年以降の最高益
である2.5兆円を上回わりました。
銀行…国内の伸び以上に海外で大幅増益
グループ傘下では主柱の三菱UFJ銀行(以下MU銀行)は、金利上昇など環境好転に
より業務純益が五割も増えました。ただし、純利益は8,042億円で2,112億円の減益で
す。これは、前の期に子会社MUB売却益4,151億円を計上した分がなくなったという要
因があります。この一時的要因を除くと、純利益は実質的に約2千億円の増加です。
企業年金給付の債務者は銀行単体(=子会社を含めない銀行本体)であり、MUFJの状
況と併せ、独自に経営実態の直視が必要です。
MUFGの純利益のうち、銀行はかつて7割台を占め傘下各社の中で大きな存在でしたが、
20/3期に巨額損失をだしてから1割台に低下した後、23/3期、24/3期とも53%台となっ
ています。
(決算推移の図表は会報に掲載)
MUFG発表の資料や説明会などから、銀行については次のような特徴点が窺え
ます。
融資業務 MU銀行の国内外融資総額は103.4兆円で23/3期比6.5%の
増加です。国内で微増(3.0%)ながら、海外で14.2%増加した点が特徴的です。
国内の資金利ザヤは増え(0.75→0.81)、経費差引後の総資金利ザヤは23/3期
の0.16%→24/3期は0.19%へ伸びました。
中小企業向け貸付は、コロナ禍対策融資の返済が進行という要因はあったものの打ち返
して、1.74%増えました。但し総貸付額中の比率は58.69%→58.23%へ低下しました。
業務粗利益 これは本業を示す基本的項目で、23/3期比23.8%増えました。
国内業務-預貸業務による資金収益が6.1%伸びて7,171億円となった他方、国債関係で
の損失は減ったものの、引き続き多額の赤字(917億円)を出したため業務粗利益は6.3%
の微減でした。
国際業務―23/3期に1兆円に達し注目されたのに引き続いて、前期は38.6%増を記録。
内訳としては、外国の国債関係取引の損失大幅減(▲42.4%)が目立ちます。それでも
2,842億円という巨額の損失計上です。
営業費 全体で13.5%の増加です。海外部門の円安が大きく反映していると考えられま
すがどの程度の影響か、公表資料からは分かりません。物件費は横ばいですが、人件費
が38.3%もの増加です。(要因について問い合わせると「海外子会社MUB売却に伴い、銀
行へ一部業務移管されたことによる人員移管や為替影響」とのことで、これ以上の、国
内部門の人件費増など開示はありませんでした)
業務純益 業務粗利益から営業費を差し引いた額です。 営業費の増加額は大であったも
のの、国内外ともに業務粗利益が伸びたため金額としては50.8%の大幅増加となりました。
臨時損益 株式売却益は、いわゆる持ち合い株式の解消に伴うものが多額を占めると見
られますが「株式等関係損益」は計27.6%もの伸びとなっているのが目立ちます。
与信関係費用総額は2,503億円と1.54倍化しています。しかも、一般融資先の貸し倒れ
引き当てが22/3期に403億円繰り入れだったのが前期は58億円戻し入れに転じた他方
で個別貸倒引当金(会社更生法、民事再生、破産などの法的手続、ADR申請など高リスク
先の個別貸倒引当金)が22/3期比3.5倍化の2,373億円となっているのが注目されます。
これらの要因で臨時損益全体は利益計上ながらも92.3%もの減少となっているのです。
こうして、業務純益から臨時損益を差し引いた経常利益は10.6%増の9,998億円を計上
です。
特別損益 この項には一時的偶発的な損益が計上され、22/3期のプラス実績が
前期は50億円の損失計上で、次の点が目立っています。
★減額損失(=支店や設備など資産の収益性の低下があり、投資額の回収が
見込めなくなった場合、該当する資産の帳簿価額に収益性の低下分を反映さ
せる手続き)が計上されており、前期は145億円計上。支店の統廃合の反映
と判断できます。
★子会社MUB売却に伴い22/3期に4.151億円の株式売却益を計上したのがなくなった。
★子会社MUBの年金バイアウトに伴う22/3期の損失781億円計上がなくなった。
「バイアウト」は子会社MUB売却で年金給付の債務をプレミアムつけて保険会社に移転
したことによるものです。
税引き後純損益 特別損益から法人税などを控除した純利益は8,042億円と高水準です。
新中期経営計画をどうみるか?
MUFGは先月、新中期(24-26年度)経営計画を公表し組織体制も変えました。
26年度は1.6兆円の純利益を目標に掲げています。増益幅はアジア関連が30%増を見込む
など海外部門を一段と伸ばす計画です。かつてインドネシア子会社の株価下落で巨額損失
を出しMU銀行として20/3期に6,531億円の純損失を計上したことがあり、様々なリスク
が各地で高まっている情勢の下での舵取りが問われてきます。
国内企業・リテール部門は15%程度の増益幅で、「資産運用立国実現への貢献」も掲げて
おり、富裕層向け施策の更なる展開などを期しています。
新中計は、環境認識として分断の加速を指摘し、「国家間の分断(米中覇権争い等)、経
済の分断(グローバル化の揺り戻し等)、国民の分断(所得格差の拡大等)」を示して「分断の時代の中でつなぐ存在になることで…世界が進むチカラになる」と述べています。
しかし、アベノミクス・異次元の金融緩和に異を唱えず低金利の環境制約を基本に据えて銀行はMUFGと一体で、稼げる富裕層ビジネスに力を入れたり、行内ではリストラ合理化施策を進め、永らく賃上げも渋ってきました。退職金・年金の改善に取り組まず、現役には賃下げしたうえでその分を個人型の確定拠出年金という脱法的施策を15年に開始。
今度の中計は「多様なステークホルダー(利害関係者)をつなぐ」としており、企業年金受給者の私たちに不安を与えるようなリスク分担型など検討することがあってはなりません。
岸田内閣の資産運用立国に貢献としていますが、貯蓄ナシが3割という状況下、貧富の格差拡大・国民分断にならないのか、自民党への企業献金は世に理解されることなのか、米中対立の下で中国ビジネスの制約増大にどう向き合うのか、など色々な面で問われており、中計の掲げている理念が真に活きる経営の舵取りを進めることが求められています。
最近の「企業年金・個人年金部会」の審議は? 24.3.28.会報記載
厚労省は公的年金の先細りを、企業年金と個人年金で補完させる意図を明確に、必要な施策案について19年2月以降の「企業年金・個人年金部会」で審議してきました。
22年に「資産所得倍増」を掲げる岸田氏が首相となってから、「資産運用立国」の看板で、主として現役向けに次のように筋違いな諸改定を一段と進めてきました。
◆確定給付とは異なり、運用は個人責任とする確定拠出年金(DC)を普及の主流とする、◆掛金限度を引上げる(税優遇とセット)、◆企業が掛金負担のDCと併せて個人年金(企業と無関係に個人が拠出するiDeCo。三菱UFJ銀行は法制以前に15年に脱法的に導入)、
部会は2月27日の第32回会議で、これまでの議論の中間整理案を出しました。これには、昨年12月に決定の「資産所得倍増プラン」も織り込まれています。ポイントは…
●「国民の様々な働き方やライフコースの選択に対応し、豊かな老後生活の実現を支援ができる私的年金制度の構築」として、非正規や高齢者が働き続けて私的年金の掛け金を払い続け、掛け金も増やせるようにする。企業もDC拠出増可能に改定など規制緩和。
●「私的年金の普及拡大」として、学生向けに企業年金の重要性を訴求、中小企業が人材確保のためも含めて確定拠出年金に加入するよう促進。
●「制度の運営状況を検証・見直し、国民の資産形成を促進するための環境整備」として「加入者(現役)のために見える化」もあり、私達の確定給付年金の決算報告は厚労省のサイトで一般に公表すべき、との意見も出ています。
この整理案は3月28日開催予定の第33回部会で固められ、次の具体化が図られます。
掲記●の他にも大事な問題点や欠落している点があり、詳しくは次号に当会の見解を掲載します。
銀行の基金を訪問、懇談
3月5日に銀行の企業年金基金を髙橋会長、稲邑事務局長が訪問し、代議員会議事録を閲覧した後、八木事務長、上野管理部長兼業務部長、前川運用企画部長と懇談しました。
1月25日に開催の代議員会では、22名の全代議員が参加、来年度予算や規約改定などの全議案が議決されたことを確認しました。
来年度予算に関連する事項などは会報77号に記載。
次のようなことについて質問し意見交換しました。詳しいことは会報に記載しています。
岸田内閣の「資産運用立国実現プラン」と基金の基本的方針は?
リスク分担型の掛金について、りそな、三井住友に次いでみずほが開始した件で、三菱UFJ銀行の意向や動向は?
みずほは現役について確定給付年金を止めて確定拠出年金に一本化しましたが、どう見ますか?
他企業の中には、基金としての給付を止めて、信託銀行による給付とする「規約型」へ切り替える例も出ています。昨年はパナソニックが切り替えました。企業としては基金運営のコスト軽減につながると見ますか?
基金が給付する受給者が他界などで減ってくると、企業にとってコストが割高となり、この負担回避のためにバイアウトという方式を経団連が企業年金・個人年金部会で提起したと考えられますがどう見ますか?
代議員会議事録を都度訪問して直接閲覧し、コピー不可の扱いですが、コピー交付とか郵送などの方法を要望しまたが、当日は従来通りとの回答でした。
しかし、3.28.の厚労省通知に基づき改めて基金に要望したところ、7月代議員会議事録からはメールでの資料受信可能となりました。
三菱UFJフィナンシャルグループ・三菱UFJ銀行の第3四半期決算
2月5日に発表された今年度第3四半期決算は、MUFG、銀行ともに高利益をあげました。
FGの23/4~12月まで累計の業務純益は1兆5,202 億円(前同比+1,387億円)でした。
トップの会見では「稼ぐ力向上の勢いは継続。顧客部門の営業純益は子会社MUBの売却影響を打ち返し、前年同期比+2,900億円」と強調しています。
連結業務純益はマイナス⾦利導⼊前の⽔準を超えるまで回復し、第3四半期累計としては過去最高益でした。連結経常利益は前年同期比で2.1倍に急拡大し、1兆8,018億円に達しました。海外の融資関連手数料や受託財産業務の手数料増加を主因に役務取引等利益が増収、貸付利回りの向上など挙げられています。
三菱UFJ銀行は
業務粗利益が24.7%増加しています。貸付利回りが前年同期0.74%から当期0.78%へ向上、M&Aなど含む役務取引等利益が大幅増加(30.4%)、国債等関係損失が大幅減(▲48.5%)となど目立ちます。
営業利益は12.9%増えていますが人件費・物件費の別には開示されていません。
与信関係費用総額は、前年同期983億円の戻し入れが逆に費用として878億円計上しています。今後は日銀の利上げ方向とゼロゼロ融資の返済増などで融資先の業績不振・貸し倒れ・引当増など懸念材料です。
四半期純利益は前年同期比6.5%の増加で7,766億円、過去最高益を記録しました。
この背景には、利ザヤ回復の他、店舗の引き続く統廃合、行員・非正規従業員数削減、「働き方改革」の名の労働強化も指摘されています。
本館の建設概要を発表
MUFGは、2029 年の竣工を目指し建設する本館の設計概要を3月15日公表しました。「現在の建物と同系色の石材などを用いた縦基調の外観デザインとし、低層部は街や訪れた人々に開かれた空間に、高層部はMUFGのオフィスエリアとして構成。 低層部には、屋内外広場や貫通通路、空中歩廊や開放的なテラスなどを設け、周辺の街並みと連続した賑わいを創出する計画」とのことです。
地下4 階、地上28 階、塔屋2 階で、次の特徴点が強調されています。
★社員の生産性向上に貢献し効率的で快適なオフィスの実現★ SDGs やカーボンニュートラルへの対応・持続可能な社会の実現・環境負荷低減に積極的に貢献 ★地震などの災害時対応も想定。在館者のみならず、来館者や周辺地域の安心・安全を確保できる強靭なインフラ・設備を計画。★震度7規模の揺れに対応できる構造。
MUFG・銀行が組織体制を変更
MUFGと銀行は、3月7日に組織変更を発表しました。「経済・金融環境の変化による資産運用ニーズの高まりも踏まえ、幅広い個人客にMUFGが持つ多様なチャネルを機動的に活用して頂く。顧客の事業や資産の発展・承継に向けた有人でのソリューション提供力を高める必要性を踏まえ、事業本部・部門の体制を変更。経営基盤強化や新たな事業創出にMUFG一体で取り組むために、全社DX機能とデータ関連機能を統合」との趣旨で、4月よりリテール・デジタル事業本部・部門」とし個人客(富裕層を除く)を一体で所管。「法人・ウェルスマネジメント事業本部・部門」は事業法人と富裕層を所管し、有人での対応を高める、としています。資産運用立国方針に即して富裕層対応を充実、利上げ方向に即して一般個人預金を増やし貸付増で業績向上に繋げるものと考えられます。
核兵器製造企業に三菱UFJも投融資
日本の七つの金融機関が核兵器製造企業に対し463.29億ドル(約7兆円)を投融資していることが、オランダの平和団体「PAX」の報告(2月21日発表)で判明、近畿反核医師懇談会が大阪市内で会見して明らかにしたと報じられました。
同調査は、核兵器禁止条約に実効性を持たせるための国際キャンペーンで中心的に活動する「PAX」が毎年報告しているものです。
株式・債券引受業務部門では、みずほが2.2兆円(世界5位)、三井住友が2兆円(7位)、三菱UFJが1.9兆円(9位)と日本の各銀行グループがトップ10入りです。
近畿反核医師懇談会でDBOBキャンペーン事務局長を務める松井和夫氏は「私たちのお金を核兵器に使うな。身近な金融機関に働きかけ、製造企業への資金の流れを断ち、廃絶に近づけよう」と呼びかけました。銀行の退職者としてどう考えられますか。
2024年 私たちを取り巻く情勢と会の方針
ウクライナ・パレスチナでの戦乱、世界的インフレが続く中、新しい年が明けました。日本では元日早々能登地震が起き、政界もパー券問題で激震が走っています。物価高騰に医療費介護費の負担増など私たちの暮らしと命、経済、平和など多面的に不安が広がっています。私たちとしては内外の動向にも目を向けつつ、安心して老後を過ごせる方向を見据えていきたいものです。
Ⅰ.私たちを取り巻く情勢
-
海外―インフレ、戦乱、景気後退などリスクが
世界的なインフレで米欧の金融当局は昨年来利上げを進めてきたものの、景気後退、債務国の難儀、中東戦乱の周辺国拡大懸念、石油価格や物流混乱など様々に懸念される要因があります。
アメリカの利上げ停止・インフレ鎮静化のもと、株式市場は楽観論があるものの、米国内の景気悪化要因、中国の経済低迷、世界経済の成長鈍化などもあって、投機筋の撹乱から予断が許されない要因もあります。
2.日本―アベノミクス後遺症、軍拡で難儀が続行
アベノミクスが、日本の金融・経済・産業など多面的に弊害をもたらしたのに、岸田内閣は継承し問題が深刻化しています。特に金融政策は、円安・物価高騰の下で日銀の利上げ必至の方向にあるものの、国債費増大・景気と金融市場への懸念などから遅々として進まず新たな矛盾も出ています。
アメリカの利下げ先読み、日銀利上げ観測から、円高に振れる局面も出ています。昨年日銀は利上げ容認に微調整しましたが、国債下落で日銀の評価損が10兆5千億円(23/9末)との発表で、利上げ次第では、債務超過に陥るリスクと矛盾を抱えています。
経済成長鈍化に、貿易赤字が定着し、国力低下中のところに金利上昇となると一段と難儀が増します。国債利払い増と軍拡費増と相まって財政難が米欧の投機筋から見限られて国債格付け引き下げとなれば金融市場は大混乱となります。
こうなるとなお国債費が膨れ、財政・金融など矛盾が深刻化し、銀行・大企業は海外で資金調達コストアップとなるなど多面的な影響が出てきます。
コロナ禍対策のゼロゼロ融資の返済が昨年以降本格化、借入過多企業の苦境、倒産がこれから一段と深刻化すると観測され、日本経済と銀行経営に影を落としています。
日本経済と国民の暮らし向上のためには賃上げが重要です。昨年の春闘で久しぶりの高額賃上げとされたものの物価高騰で、実質賃金は20か月間も低下中です。
賃上げの必要性を岸田首相や財界トップ、連合会長も口にしますが、政治責任としての最低賃金引き上げに言及がありません。大企業は少々賃上げしても生産性向上、高齢者の冷遇と追い出し、給与体系改定、などで賃上げコストの吸収を推進中です。
「賃上げと物価上昇の好循環」が強調されますが、賃金が後を追うのでは実質目減りのイタチごっこです。公的年金も後追いで決まり、しかも賃金上昇率が高くなったとしても物価上昇率が低ければ低い方でスライドされる方式に21年改悪されました。確定給付企業年金は物価・賃金どちらが増えても無関係の据え置きです。
3. 銀行―リスク増大のなか合理化、業務新展開しつつ競争
(1)銀行業界の動向
アベノミクスで低金利にあえいできた大手銀行は、国内外の引き続く資金需要、利ざやの拡大などで高収益を維持しています。これまでマイナス下でも利益を稼げるように店舗削減・デジタル化・人件費圧縮など合理化策を推進してきたのが、今後国内でも金利上昇が見込まれるため、増益が期待されて株価も上昇しています。
しかし、これから融資先企業が、金利負担・企業物価高、景気後退などで業績低下が想定され、各行は与信費用増、融資先倒産、保有有価証券の減価などリスクが増大します。
海外では、各地戦乱の動向次第で原油価格や物流乱調、中国経済の退潮、アメリカの景気後退などリスクが高まっている下で、より安定的な業務推進の方向が見られます。
本来、預貸事業が基本ながら「貯蓄から投資へ」を推進し、岸田首相の「資産運用立国」に呼応して富裕層ビジネスに一段と注力の経営戦略も目立ちます。家計が冷え需要低迷で経済成長停滞の時に節約・投信誘導で日本経済に資するのか?考えたいものです。
(2)三菱UFJフィナンシャルグループ
今期4-9月の中間決算では、純利益は9,272億円で前年同期比は実質的に2,480億円の増益でした。本業の儲けを示す業務純益は、1兆0857億円で過去最高益を更新。コロナ禍を抜け経済復調によって国内外で資金需要が高まって金利収入が増えたことや、アメリカの金利上昇に伴って貸し出しの利ざやが改善したことがあります。さらに円安進行も寄与しています。
配当は前の期より4円増配、自己株式の取得は今期4千憶円としました。`18年度以降累計1兆2千憶円です。これは株式数を減らし株評価を高める株主還元策で、東証がPBR(時価総額÷簿価自己資本)1倍割れからの脱却を喧伝しているのと呼応したものです。`22年末の0.64から今月9日には0.80へ「改善」との報道(日経新聞1.10)です。
しかし銀行業は、預金を集め貸出資産を増やして利ザヤを得る事業ゆえ、資産対比の利益は元々少ない特性があります。岸田首相でさえ規制に言及したことがあるのに、MUFGとしては経営効率優先の姿勢です。
亀沢社長は、「資産運用事業を強化し、銀行・信託・証券と並ぶ「第4の柱」に据える。政府の「資産運用立国」の流れに乗り、グループの総運用残高を現在の約100兆円から、30年3月末までに200兆円へと増やす計画」と述べています(日経新聞電子版1.10)。
ステークホルダー(利害関係者)重視を言いながら、従業員にはリストラ・巧みな賃金政策を続け、株主還元策・資本効率向上を進める経営姿勢は問われてきます。
(3)三菱UFJ銀行
MUFG傘下各社の中で利益貢献度は引き続き高く、上半期の純利益は、32.7%増の5,851億円となりました。貸付増加と金利上昇が寄与し、国内の資金利益は15.2%増、役務取引(M&Aなど)等も9.5%増。但し、増減の大きい「国債等債券関係損益」は国内で156億円の損失、海外で153億円の損失でした。
今年の展望として半沢頭取は、物価上昇と賃上げを前提としつつ「金利ある世界に戻れば、利ザヤ改善・収益にプラスだが有価証券の評価損は拡大、円高に振れれば収益にマイナス。プラスとマイナス双方を管理する必要がある」と述べ、不透明な経営環境下、慎重な姿勢が窺えます。店舗網の見直しは前年度で一巡とし、今後はリモート相談やネットバンキングなどで顧客との接点拡大など展望を語っています。(週刊東洋経済23.12.23-30)。
銀行が常に言及している経費率(営業費÷業務粗利益)は前年同期の57.96%から当期は47.85%へ大きく低下しています。分母の業務粗利益の急増が響いてのものです。人件費自体は前年同期比51.8%も増加。米子会社売却で受け入れた従業員の年金バイアウト額の影響大と推定されます。
最近は若手行員優遇の方針ですが、いつものことながら人件費圧縮は至上命題であり、銀行にとって増額分をどの面で抑えるのか、企業年金の受給者に及ぶことは無いのか、警戒は必要です。
リスク分担型の掛金制度は三井住友に続いて昨年はみずほが開始しましたが、金融市場でのリスク増大に伴い全面適用に移行しないか、三菱UFJ銀行が追随しないか、警戒が必要です。
4. 年金を巡る動向―企業年金も公的年金も波乱続く
(1)公的年金
自公政権は財界の意向に沿いながら、社会保障の後退を多面的に推進してきました。公的年金はアベノミクス開始以降、殆ど減額(減5回、据置2回、増3回)が続き、昨年は3年ぶりのアップで、11年間の±単純累計では0.8%増額となりましたが、物価の方は±単純累計8.1%上昇のため、結局この11年間で単純累計7.3%の目減りです。
13-15年連続の引き下げは違憲として全日本年金者組合員を中心に各地で提訴、地裁を経て高裁で相次ぐ敗訴となりました。しかし札幌と東京の高裁で、国が自らの主張を部分的に変える不合理も露呈しました。各地原告は最高裁に上告し、兵庫の原告に対し初めて棄却の判決が小法廷でありましたが、東京の原告などは大法廷での審理を要請する活動を展開中です。
(2)企業年金
①今年度の確定給付企業年金の運用状況
23年度(23.4~)は、米欧の利上げ続行で、債券は下落したものの株式相場が内外で上昇傾向となり12月末までの確定給付企業年金の運用は概して良好と観測されています。因みに格付け投資情報センター(R&I)の顧客約110社の平均は4.35%との発表です(24.1.10.)。
なお、`12年度から三菱UFJ銀行が導入したキャッシュバランスプラン制度は10年国債の市況により給付のため、マイナス金利下、最低保証1.0%を下支えに2.5%適用のままです。(5年ごとに見直し、改定は25年度)
②企業年金・個人年金部会
厚労省は公的年金の先細りを、企業年金と個人年金で補完させる意図を明確に「企業年金・個人年金部会」で審議を続け、現役向けに次のように筋違いな諸改定を進めてきました。
◆確定給付とは異なり、運用は個人責任とする確定拠出年金(DC)を普及の主流とする、◆掛金限度を引上げる(税優遇とセット)、◆企業が掛金負担のDCと併せて個人年金(企業と無関係に個人が拠出するiDeCo。三菱UFJ銀行は法制以前に15年に脱法的に導入)、
部会は19年末に論点の整理を行なったものの、この論議はせずに現役向けDCに力点を置いた審議を進めてきました。
直近では昨年11月(第29回)に、◆加入者のための企業年金の見える化、◆資産運用立国について審議。第30回部会(12.11)は社会保障審議会の年金部会と合同で、国の年金と企業年金双方の「役割分担と連携を進めていく必要」「自主的な努力を支援する私的年金制度の基本的な役割、機能等に対する正しい理解を促すために行う広報・教育」など掲げ、◆公的年金と私的年金の連携、◆制度の周知、広報・年金教育etc.について審議。
なお、19年の論点整理の中でも次の三点は注目が必要です。
a.バイアウト―企業が企業年金の資産を給付債務とワンセットで生保などに譲渡するもので、事業のグローバル化、M&A(企業の合併買収)などから、資産負債の圧縮・資本効率向上に資するとか、欧米では既に実施されている、として経団連が提案。企業のメリットや都合は明確ですが、受給権がどこまで保証されるのか重大問題です。
b.リスク共有型―運用リスクを初めから企業・現役・退職者が同列に負う仕組み。リスク分担型は企業が負担を先に負い、不足の場合に現役・受給者が負担する方式であるのより一段と企業年金の本質から外れるものです。
c.支払保証制度―企業や基金が年金給付不能となった場合に備えて支払いを保証する制度。2001年に国会で附帯決議をしたのに政府は着手もしないまま23年経過。経団連などが“モラルハザードとなる”“財源が問題”などの口実を並べて反対のまま先送りしてきましたが、国会決議や受給権の軽視自体がモラルハザードです。
③新しい資本主義実現会議の資産運用立国分科会
岸田内閣肝いりの「資産運用立国実現プラン」に盛り込む内容を議論中です。
第4回分科会(12.13)で案を公表し、課題と施策を提示しました。
◆国内外運用会社の新規参入促進として、外部委託や運用権限の規制緩和
◆運用力の底上げ策として、大手銀行・保険会社などに体制強化のプラン公表を要請
◆年金改革と称して企業年金(DB,DC双方)の運用状況などの見える化、情報開示促進
◆確定給付企業年金(DB)について
a.運用能力の向上 b.加入者のための見える化(受給者に言及ナシ) ほか。
◆確定拠出年金(DC)について
a.適切な商品選択に向けた制度改善 b.加入者のための運用の見える化
◆企業年金を含む私的年金のさらなる普及促進に向けた取り組み
(3)企業年金の当面の問題
①リスク分担型
安倍政権は`17年にリスク分担型を施行し、現在、掛金のみ導入564件(前年比53増)、全面導入23件(同2増)となっています。銀行業界ではみずほ、三井住友、りそな、あおぞら銀行が掛け金を実施、南都銀行、阿波銀行が受給者も含めて全面導入しました。この制度は企業側から使い勝手が悪いなど批判が出て、導入増は鈍化しており、更なる画策が懸念されます。
②銀行業界
みずほFG (企業年金は銀行・信託など一体)は、確定給付年金と確定拠出年金の併存を廃止して、後者への一本化をこの四月から実施予定です。
併存廃止の場合でも既存の受給者には変わりありません。
しかし、実施後に確定給付残存の現役が退職等で脱け基金の成立要件500人未満となる段階で基金は解散となります。確定給付の受給者には生保等へ委託(閉鎖型又は規約型)となります。
他業界事例としては、パナソニックは現役を一本化、基金に500人超の現役が居たものの、基金維持のコストカットのために基金を解散、受給者も現役も確定給付分は規約型へ昨年7月より移行。今後の選択肢に経団連提唱のバイアウトも考えられるます。
こうなると受給者の受給権確保・条件設定など恣意的に決められぬよう監視が必要となり、受給権侵害があれば受給者が団結して交渉する必要も出てきます。
前世紀から大銀行は人事制度(総合職制で女性差別実質維持、派遣業務範囲拡大etc.)で悪貨が良貨を駆逐するような改悪実績があり、三菱UFJ銀行は15年に脱法的確定拠出年金を導入、三井住友銀行が一年後に追随しました。みずほの事例が広がらないか監視の必要があります。
5. 銀行の企業年金基金
この部分は具体的な計数で受給者向けに記述のため、ホームページ掲載は不適切ですので、ご覧になりたい方は当会のメルアドへご連絡頂ければ、送信いたします。
方針部分は別項「当会の方針」をご覧ください。
三菱UFJフィナンシャルグループと銀行の中間決算について
三菱UFJフィナンシャルグループ(以下MUFG)の4-9月の中間決算が11月14日に発表されました。純利益は9,272億円で前年同期比4倍で過去最高と一部報じられましたが、昨年のアメリカ子会社売却損益を調整すると実質的に2,480億円の増益との発表です。
本業の儲けを示す業務純益は、1兆0857億円で過去最高益を更新。
コロナ禍を抜けて経済の正常化によって国内外で資金需要が高まってて金利収入が増えたことや、アメリカの金利の上昇に伴って貸し出しの利ざやが改善したことがあります。さらに円安が進んだことも寄与しています。
与信関係費用の面で貸倒引当金繰入増、株式関係の利益増、モルガンスタンレーの決算期変更など諸々の要因から最終的に9,272億円となったものです。
MUFGとしては、年間株配当を9円増やして41円とし、4,000億円の自己株式取得をすると発表しました。
自己株式の取得は、市場に出回る株式数を減らし株評価を高める株主還元策です。これは自己資本比率を引き下げるデメリットもあります。岸田首相は「新しい資本主義」のために自社株買いより、賃上げや設備投資を求め、規制に言及したこともあります。
私達の年金給付の債務者はMU銀行でありMUFGの事業全体状況と併せて、銀行としての決算内容を見ておきたいものです。
三菱UFJ銀行の上半期純利益は、32.7%増の5,851億円
詳しい分析は会報に掲載。
銀行の基金を訪問、懇談
11月20日に当会の髙橋会長、稲邑事務局長が基金を訪問し、代議員会議事録を閲覧し、最近の金融情勢、企業年金を巡る動向などについて意見交換し、議事録のコピー交付など情報開示方法の改善、前進について要請しました。
詳しい内容は会報に掲載しています。
従業員組合に書簡
11月3日、従業員組合中央執行委員長、給与対策部長に宛てて、リスク分担型について当会会長・事務局長連名で書簡を送付しました。詳しい内容は会報に掲載しています。
会報をご覧になりたい方は下記へご連絡ください。eメールでもお送りできます。
みずほがリスク分担型の掛金制度開始
みずほ銀行・信託・リサーチ&テクノロジーズなどが構成しているみずほ企業年金基金は「2023年3月に開催された第40回代議員会においてリスク対応掛金の設定及びそれに伴う2023年度予算の変更」を全会一致で可決した、と発表しました。
三井住友銀行に続いてみずほがリスク分担型の掛金を開始したことは、3メガの位置、影響力からしても他行の受給者にとっても看過できないことと思います。
みずほの場合は基金の財務内容が一部分で芳しくない面があり、厚労省基準に届かない指標=「非継続基準」(基金解散の場合、その年度末時点で受給権に見合う年金資産が確保されているかを検証する数値で、1以上が求められる)がありました。2027年度までに1.1に達するように銀行など母体企業が計画的に拠出金を積んでいるところです。
これに加えて今般、「リスク分担型」導入で掛金を多く積み立てることにしたので、基金の財務内容は、好転します。しかし、他面ではそもそもリスク分担型とは何なのか、受給者が喜べることなのか?考えるべきことがあります。(続きは「交流の場ー最新」をご覧ください)
基金が前期決算をホームページで掲載しました。
基金は2年前から受給者への「基金だより」発行・送付を取り止めました。
「三菱UFJ銀行企業年金基金」の語句でネット検索し、ユーザーID、パスワードを打ち込むと閲読できます。分からない方は次に記載のメールアドレスへご連絡ください。
当会では決算の概要と分析を会報に掲載していますので、ご覧になりたい方は次のアドレスへご連絡ください。
企業年金について「連合」と懇談
当会が加盟の「企業年金の受給権を守る連絡会」世話人6人が、「企業年金・個人年金部会」に委員を出している「連合」を8月3日に訪問、連合から同委員小林・生活福祉局長、本多・生活福祉部長が出席懇談しました。当会から稲邑(連絡会会長代行)が質問と要望を述べた後、他の方も発言し、連合の見解を伺いました。
特に、年金バイアウト、基金情報開示についても意識的に問題提起しました。以下に概要を記します。
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この「連絡会」は、企業による一方的な年金減額や廃止、制度改悪などから企業年金を守り、企業年金受給権の法的保障と欧米並みの支払保証制度の確立を目指すなど目的に2004年に設立された全国的な組織。毎月定例会議を開催、情報交換、情勢など討議。厚労大臣への要請活動、シンポジゥム開催。受給権めぐる裁判では、りそな銀行、松下電器、早稲田大学、TBSなど受給者原告を支援。加入団体は、KDDIユニオン、松下(パナソニック)年金を知る会、商工中金懇話会、銀行年金を守る会、個人加入では三井住友・みずほ・りそな・三井住友信託・日本航空の受給者、など。
****************************************
部会の進め方―政府寄りでは
稲邑 厚労省は`19年に「議論の整理」を出し、最近は主に個人年金・確定拠出年金の普及となっている。企業年金の支払い保証、ガバナンス強化など掲げた項目の討議予定はどうなっていますか。
連合 「議論の整理」は関係ない進行。岸田内閣の「資産所得倍増計画」に合わせた個人年金普及が主になっている。
稲邑 議事録ではリスク分担型の改定や定年延長時の措置など企業がお得の
話も出ています。受給者からするとガバナンス強化や、支払い保証制度づくり
など受給権の確保、強化に関する事項は重要。連合の奮闘を期待します。
確定給付企業年金の今後の討議方向は
稲邑 2013年以降、確定給付年金(DB)から確定拠出年金(DC =掛金は企業が出すが運用は個人任せ)へ議論がシフト、呼応するように大企業などで確定給付から確定拠出)に移行する事例が増加中。これが進むと基金構成の現役が居なくなり、受給者のみとなれば基金解散…となり、受給者は企業年金連合会に移管、閉鎖型移行とかになり、受給権保護に不安が出てくる。連合傘下の組合の動向は?
連合 傘下組合では確定拠出を受け入れる傾向があります。連合としては中小企業を視野に入れており、企業年金を普及するとなると確定給付は企業負担が大なのでジレンマを感じている。経済界からは、いつまで確定給付に拘るんだと言う意見も出ています。
稲邑 連合は運動方針や事務局長談話で、企業年金は確定給付が基本とか、安定的給付の重要性などを発信しています。引き続きこの見地で臨んで頂くことを期待します。
「年金バイアウト」を国内でも?
稲邑 19年3月の部会で経団連が提起した後、厚労省課長が呼応した発言が議事録に記載されたものの、他の委員からの発言は見当たりません。それにも関わらず「議論の整理」には一項目として柱が立てられ、今後の課題として扱うこととされています。
欧米では既に実施され、日本の欧米現地法人も近年実施しています。最近も三菱UFJ銀行が実施しました。これまでの事例は海外ばかりですが、経団連が提起したのは、国内の企業や基金において実施できるようにする必要性を感じていたのでしょうか。日経新聞は経団連発言に関して「バイアウト、国内も潜在需要 制度化議論始まる」との記事を掲載。連合としてはバイアウトをどうお考えですか。関連情報はありますか。
連合 倒産しそうな企業が年金バイアウトをして受給権が確保されるなら良いこと。低金利の中で生保など引き受けにくいという話もあります。
稲邑 バイアウトは経団連が提起した点で警戒しています。バイアウトで企業は一定の手数料を払って実施するので左前の企業は先ず出来ないハズです。大企業の場合、企業丸ごとのM&Aなどで実施とか、経営効率向上のためPBR(株価純資産倍率)一倍割れの克服策の一環で、付随事業部門を分社化してバイアウトとか考えられるのでないですか。
私達としては、企業が必要として実施する場合に受給権は完全に保証されるのか、個々の受給者の同意は得るのか無視するのか、引き受けた生保などの側に不測の事態が生じた場合の企業側の責任はどうなるのか、契約は自由としても行政の側として契約内容の把握、監督、指導などどうなるのか、色々な点で危惧を持っています。
トンデモ手法が「企業年金制度研究会」に登場
稲邑 18年5月に企業年金・個人年金部会とは別に「企業年金制度研究会」
というのが設置されて議論し、19年に「議論の整理」を公表しました。
ここでは個人年金のことはナシで企業年金中心なのに、連合や他の労働
団体からの参加はありませんでしたが、どうなっていたのでしょうか。
連合 この主宰は厚労省でなくて「企業年金連合会」(※)で厚労省課長がオブザーバー参加、年金業界や大企業の年金基金などが参加しているもので、連合も経団連も出ていません。(※厚生年金保険法に基づき設立された公法人。本来は中立的であるべき)
稲邑 「議論の整理」には、リスク共有型、年金バイアウトといった新しい概念が出ています。リスク共有型は、リスク分担型より更に企業年金の本質を歪め労働者・受給者に初めからリスクを負わせる方式ですが、連合の見解は如何でしょうか。
連合 この報告書は部会で少し紹介されただけで内容に立ち入っていません。この研究会はいわば業界が纏まって政治の側に影響力を与える医師会みたいな感じ、と連合は見ています。基本は企業年金・個人年金部会です。
企業年金の基本を明確に!
稲邑 経団連や金融業界が押してくる流れからしても企業年金の基本的原則や位置づけが重要ですが、連合としては「企業年金は退職金由来」として明確です。しかし、部会などでは経団連はじめ他の委員からも「企業年金は福利施策」などと本質を歪める発言が出ています。企業年金は飽くまでも本質は賃金の後払いである一時金の、そのまた分割払いという基本点や、労使で決める労働条件であることを貫いて頂きたい。福利施策と言うのは精々がiDeCoに限るという点を他の委員にもご理解頂くことを期待します。
連合 私達としては、企業年金は退職金に由来という基本を踏まえているが、経団連は最近「人事施策」という言葉も使っている。企業年金とiDeCoは別であると考えます。
企業年金の議論は筋を通して!
稲邑 これまで社会保障審議会の下部の部会で企業年金が議論されてきたが、本来は労働条件としての企業年金である基本からすると、社会保障審議会ではなくて労働政策審議会で取り扱うべき事です。
企業年金は退職金の一形態として、労働条件の向上義務を定めている労働基準法第1条に則り、労政審議会で扱い、その方式も公益・労働・使用者の三者構成で公正に本来的な改善審議をすべきであると考えます。しかし現実には、社会保障審議会の場で審議しているがゆえに、法の趣旨からも逸れやすい議論に陥っています。
社会保障としての年金は、憲法25条などで保障されるべきことが明確なのに、国の財政運営の歪みから、今では個人の自助努力を求める方向へ転化、誘導され、企業年金・個人年金部会で審議される状況となっているのは筋道が違うと考えます。
法律上、確定給付年金、確定拠出年金ともに条文で「企業年金は公的年金と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的」と定めているのに、部会では経団連ほか一部委員が「企業年金は公的年金を補完するもの」と発言。補完では軽い扱いになり、法に背馳し歪めています。
連合 基本点はその通りだが、連合も補完と述べている事例があり、的確にしたい。
稲邑 本来は労政審議会として三者構成で公正審議するのが筋道であり、今の部会で審議するにしても、労働側代表は二人しかおらず増員が必要と考えます。
ガバナンス…情報開示など改善を!→三菱UFJ基金の対応も問題提起
稲邑 企業や基金が受給者に対する情報開示について不十分な面があります。厚労省はガイドラインで「加入者等への業務概況の周知」を定めているものの、加入者に力点が置かれ、受給者は「等」の扱いで後景に退けられています。年に一度の基金からの文書郵送は全廃し、ホームページ掲載のみとか、内容は限定し、代議員会議事録文書など閲覧に行かないと見せない、見せても複写禁止とか、ガバナンス強化に背を向けている事例が一部の銀行にあります。部会で取り上げて頂きたい。これが放置され関心が薄れると、イザ制度改悪となって受給者が諾否を求められても個々人で判断が困難となります。
その他のこともー
他の参加者から次の発言などありました。
★国は年金積立金を2百兆円以上も抱えながら、年金は毎年引き下げ(今年は実質で)、連合からも「積立金を活用し、年金引き下げをやめてほしい」という声を上げて頂きたい。★KDDIは現役がDBからDCに移行し、将来的にDB受給者が居なくなるとバイアウト、閉鎖年金に進むのか?といった点に関心を持っている。
★現役は企業年金に関心が深まらず、50歳過ぎて関心持ち始めても理解が難しい状況がある。部会は重要であり連合の原則的発言を期待する。
詳しくは「銀行年金を守る会」ニュースNo89に掲載しています。
※見本誌や入会ご希望の方は当会mtunenkin@hotmail.co.jpへメール下さい。
稲邑明也 (旧三菱)
23/3期 決算発表 国内は低調ながらも海外で増益
過去最高並み利益で引続き増配
5月15日発表の三菱UFJフィナンシャルグループ(以下「MUFG」)の22年度(23/3期)決算は、純利益が1兆1,164億円で、過去最高を記録した22/3期に比し143億円の微減となりました。
国内部門は、低金利続行で業務粗利益は前期並みでしたが、海外部門は円安や外債損失などの影響があったものの、金利上昇と貸付額増加に伴い資金利益がと大きく伸びました(+8,638億円42.3%増)。
米銀の相次ぐ破綻で、外債での損失が注目されていますが、MUFG全体として内外込みの「国債等債券関係損益」の表示で8,846億円の損失です。評価損としては「外国債券」1兆1,162億円(日本国債863億円)が開示されています。
他方、子会社MUB(MUユニオンバンク)の売却益6,995億円が利益増に大きく寄与(経常利益比68.5%しています。
今23年度は純利益1兆3千億円を目標とし、配当は年間9円増配の年41円、総計4,930億円を予定しています。この配当金額は純利益の37.9%を占めます。これまで株主還元として自己株式取得を18年度以降累計8千億円実施してきましたが、今期は海外リスク対応も含めて資本基盤の余力を残すとして見送りの由です。
三井住友・みずほ各フィナンシャルグループも9年ぶりの利益を記録しています。
グループ傘下では主柱の三菱UFJ銀行(以下「MU銀行」)は、純利益がこれまでにない1兆155億円を計上しましたが、子会社MUB売却益4,151億円を含むものです。この一時的要因を除くと、純利益は6,785億円となります。22/3期比+4,901億円2.6倍となり、過去最高です。
企業年金給付の債務者は銀行単体(=子会社を含めない銀行本体)であり、MUFGの状況と併せ、独自に経営実態の直視が必要です。
銀行…国内低調を海外でカバー、株式売却益も寄与して増益
MUFGの純利益のうち、銀行はかつて7割台を占め傘下各社の中で大きな存在でしたが、20/3期に巨額損失を出してから1割台に低下し前期は16.7%でしたが今期は53.8%の寄与となっています。
MUFG発表の資料summary2303_ja (mufg.jp)や説明会などから、銀行については次のような特徴点が窺えます。
融資業務
MU銀行の国内外融資総額は97.1兆円で22/3期比7.4%の増加です。国内で微増(1.15%)ながら、海外で24.3%増加した点が特徴的です。
国内の資金利ザヤは増え(コロナ対策融資での利幅確保の効果も)、経費差し引き後の総資金利ザヤは23/3期は0.05%から0.16%へ伸びました。
中小企業向け貸付はコロナ禍対策融資で22/3期に総貸付額の内59.4%まで高まっていたのが、返済時期に入ったこともあってか微減の58.7%となりました。
業務粗利益
本業を示す基本的項目で、22/3期比22.1%増えました。
国内業務―預貸業務による資金利益が22.5%も伸びて6,754億円となった他方、国債関係で大幅損失を計上(赤字979億円)したため0.57%の微減でした。
国際業務―1兆円に達したのが注目されます。その要因は融資の増大と金利上昇により資金利益が、22/3期比86.5%も伸び8千億円を超えたことです。米国債下落などによる損失が4,930億円(22/3期比2.3倍)もあったのを打ち消して国内部門を大きく上回りました。
営業費
物件費は微減、人件費が13.7%増えました。国内より海外部門の円安が大きく反映していると考えられますが、詳細は開示されていません。銀行は毎期圧縮に努め続け19/3期1.84%減以降、2.58%減、1.28%減、4.53%減という推移だったものが久々の増加となりました。
現役は、定期昇給もベースアップも臨給も区別ナシの年収管理方式にされて、過去のピーク15/3期から7期間にわたり累計20.3%の減少で昨年四月からは1%増となったものの、個々人への配分は貰ってみないと分からない有様でした。
ついでながら、今年は組合要求に即日満額回答で2.7%増(定昇2.5%がベースアップに相当、残り0.2%分の資金量は臨給で、前期比103%相当で個別査定) この他に組合要求外の「変革・挑戦支援金」と言う名の「特別一時金」が5月に支給されています。
業務純益 業務粗利益から営業費を差し引いた額で、2期連続の減少だったのが23/3期は営業費増ながらも、業務粗利益の増加により74.2%もの増加に転じました。
臨時損益
株式売却益の2,243億円(持ち合い株処分もあり)が大きく寄与、与信関係費用の減少(大口先や海外分の引当繰入が大きく減)もあって臨時損益全体ではプラスで、22/3期比6.5倍の2,536億円を計上。
このため、業務純益から臨時損益を差し引いた経常利益は倍加し9,037億円です。
特別損益
この項には一時的偶発的な損益が計上され、次の三点が目立っています。
★減損損失(=支店や設備など資産の収益性の低下があり、投資額の回収が見込めなくなった場合、該当する資産の帳簿価額に収益性の低下分を反映させる手続き)が計上されており、21/3期は計上方式変更も加わり22/3期に1,357億円となっていたのが23/3期では50億円に激減、純利益増に寄与。
★子会社MUB売却に伴い4,151億円の株式売却益を計上。(但し米州MUFGホールディングスへの売却)。
★年金バイアウトに伴う損失781億円計上。(MUB売却に伴う処理)
「バイアウト」とは企業が年金給付の債務をプレミアムつけて保険会社に移転することです。銀行に問い合わせると「将来の財務リスク軽減を目的に、MU銀行のニューヨーク支店、ロスアンゼルス支店及びシカゴ支店の退職者の給付債務を保険会社へ移転した」とのことで、必要性、対象者・支店の選定理由、受給権者の同意の有無、不利益発生時の対応など問う質問に回答は回避されました。
税引後純損益 特別損益から法人税などを控除した純利益は1兆155億円と過去にない最高利益です。子会社株売却益4,151億円を除くと6,003億円、過去並みの水準です。
今後の方向性について別サイト「交流の場」をご覧ください。
四半期決算(2023.12末)が発表されました。
三菱UFJフィナンシャルグループ
業務粗利益
貸出利ざや改善や、各国金利上昇局面における外貨預貸金収益増加などでにより、資金利益が五割余もの増(55.1%)となった。これが大きく寄与して国債等債券売買益での大幅減(▲6,385億円)をカバーし粗利益は二割余(+21.3%)の増収となった。
営業費・経費率
営業費は、為替影響や会計上の要因を除けば、ほぼ横ばい 経費率は61.4%に低下
MUB株式の譲渡決定に伴う会計処理に関連した費用と損失(MUB保有の貸出金や債券の評価損)計上で9,600億円の臨時損失を計上。
MUFGとしては前年同期比▲7,272億円減益 の3,431億円。
ただし、MUB株式譲渡時に戻入になる 8,017億円を勘案すると、11,449億円と業績目標1兆円を超過。
三菱UFJ銀行
資金利益(預金貸付業務からの収益)
は前年同期比55.7%もの大幅増収。貸付増額(平残で+7.1%)と貸出金利回り好転(0.72%から0.73%へ)が主因。
営業費
0.18%の微増。為替変動を加味すると実質的に減少。経費率(営業費÷業務粗利益)は業務粗利益の増加により低下(71.9%→56.9%へ)。
臨時損益では、与信関係費用減と貸倒引当戻入が大幅に増えて「益」が前年同期比倍加して3,504億円計上。これが大きく寄与して四半期純利益は前年同期比ほぼ倍加の7,289億円となった。
四半期決算のため開示項目は限られており、国債など国内外の債券、株価などの評価損は出ていると推定されますが不詳です。
日本経済新聞(2月3日付)では「3メガバンクの外債含み損は22年12月末で3兆3千億円となお高水準だが、9月末に比べると6千億円以上減った」との報道です。フィナンシャルグループ全体か銀行単体かも記載されていません。
年初にあたり ( 23.1.15.)
ロシアのウクライナ侵略、世界的インフレが続く中、新しい年が明けました。日本では他国比突出のコロナ感染者数と死亡者数となり、物価高騰の加速などで私たちの暮らしと命、経済、平和など多面的に不安が広がっています。
昨年は、銀行の決算も基金の決算も好調でしたが、実は国内外の情勢と関連して危なっかしい現実があります。私たちとしては国内だけでなく海外の動向にも目を向けつつ、安心して老後を過ごせる方向を見据えていく必要があります。
年初にあたり、会として現在の情勢をどうとらえるか、本ホームページの「考える会の方針」の項に
掲載しましたので、ご覧ください。
三菱UFJフィナンシヤルグルーフと銀行の中間決算
貸出増・金利上昇で利益急増だがリスクも反映 (22.11.19.)
三菱UFJフィナンシャルグループ(以下MUFG)の4-9月の中間決算が11月14日に発表されました。本業の儲けを示す業務純益は、前年同期比40.4%もの増加で8,952億円と過去最高となりました。円安に伴う海外部門の押上げ効果や、コロナ禍からの経済回復による資金需要増、金利上昇が寄与してのものです。
しかし、金利上昇によるリスクも顕在化し、昨年売却を決めた米国子会社MUFGユニオンバンク(MUB)が保有する債券の評価損などが響き、最終純益は7割減の2,310億円と大きく落ち込みました。
金利上昇=債券価格下落に伴い、約4,700億円の外債を売却損として処理しました。(但しベアファンド=株価指数の下落時に基準価格が上昇するファンド=の解約益でほぼ相殺との発表) また、保有している外国債券の評価損が1.84兆円となったことが目立ちます(半年前の評価損の53.7%もの増大)。
なお、MUBの売却で株式譲渡時に戻入となる特別利益があり、これを勘案すると実質的な純利益は6,792億円になるとの発表です。
MUFGとしては、今期の純利益目標1兆円は修正なしで、年間株配当を4円増やして32円とし、1,500億円の自己株式取得をすると発表しました。
自己株式の取得は、市場に出回る株式数を減らし株評価を高める株主還元策です。これは自己資本比率を引き下げるデメリットもあります。岸田首相は「新しい資本主義」のために自社株買い規制に言及したこともあります。いずれにしても、ステークホルダー(利害関係者)重視を言いながら、従業員にはリストラ・賃金抑え込み姿勢を続け、諸々のリスクが増大する中で株主還元策を進める経営姿勢は如何なものでしょ
うか。
米金利はまだ上昇と
の見方が多く、含み
損など拡大は避けら
れず外債の損失処理
に踏み切ろうにも、カバーできる他の余力が乏しくなるとどうなるのか?インフレ→不況→貸倒引当金増で減益要因は?etc.問われています。
私達の年金給付の債務者はMU銀行ですが、MUFGと同じリスクを抱えており、事業全体状況と併せて決算内容を見ておきたいものです。
三菱UFJ銀行(以下MU銀行)の上半期純利益は、43%増の4,410億円となりました。但し、半期としては過去最高を記録した`18年度上期の6,632億円には及びません。
開示内容から次の特徴点が窺えます。
業務粗利益―資金利益と国債売買で明暗
貸付額増加と金利上昇が大きく寄与して粗利益全体で前年同期比21.5%増の9,623億円と大きく好転しました。
★貸出金残高
コロナ禍からの経済回復などで貸出金残高は3月末比で国内1.9%増、海外3.7%増となりました。しかし、中小企業向けは38.7兆円で全体のなかでの比率は1.71ポイント低下し57.66%となっています。消費者ローンも主柱の住宅ローンもカードローンも共に減り、合計で3月末比微減(1.1%)。
★資金利益
国内では、小幅ながら金利が上昇して貸出金利回りは前年同期0.73%から当期0.75%へと好転、有価証券利回りは0.26%→0.58%へと好転、国内資金利益は3,529億円を計上。前年同期比29.7%もの増加でした。
海外の方は、同じく金利が上昇(銀行・信託2行合算の利回りは1.19→1.33%へ上昇)更に円安効果も加わって資金利益は1.24倍の4,702億円となり、国内分を上回りました。
★国債等売買損益
金利上昇=債券価格の下落などで、国債等関係損益は国内で前年同期の黒字498億円から一転174億円の損失を計上。海外は同じく前年同期の黒字184億円から損失2,605億円を計上して両方合わせて2,779億円の損失となりました。
前年同期は、その前の20/4~9期に比べて2.8倍のプラスだったことも考えると、金利情勢に振り回される高リスク性が浮き彫りです。
営業費―人件費は増えたが…
営業費は、一般企業の「販売管理費」に相当する勘定科目です。人件費について近年は、連続してベア見送り、人事制度見直しに一律ベア廃止、定給と臨給併せての「総額報酬方式」などの現役受難を続けてきました。今春は従業員組合が0.5%賃上げを要求したところ珍しく1%の賃上げとしました。
今度の中間決算の人件費は1.69%増の1,815億円です。しかし、海外部門の円安効果も反映している筈で国内の実質的増加率は低いと判断されます。
MUFGとしては営業費総額は増加(848億円)したものの、「為替影響を除くと前年同期比減少」と発表していますが、MU銀行に関しての開示も言及もありません。
なお、銀行が常に言及している経費率(営業費÷業務粗利益)は前年同期の69.1%から当期は57.96%へ大きく低下しています。分母の業務粗利益の急増が響いてのものです。
業務純益 業務粗利益が大幅増加したことで、営業費を差し引いて業務純益は4,045億円(前年同期比65%増)でした。
臨時損益 次の二つが主な項目で、プラス・マイナス差し引きで2,223億円もの増益(+23.1%)の要因となりました。
〇与信関連引当金の戻入が前年同期比3倍加、〇株式等関係利益が前年同期比37.8%減など目立ちます。これら臨時損益を業務純益に加えた経常利益は6,267億円(47.3%増)。
当期純利益
以上の要因・内容で、法人税等控除後の純利益は前年同期比43%増の4,410億円。
総じて、貸付額増加、金利上昇で本来業務の利益は増えたものの、リスクの高い国債売買や株式関係で利益が大きな影響を受ける体質となっています。
基金が前期決算をホームページに掲載しました。
基金は昨年から受給者への「基金だより」発行・送付を取り止めました。
代わりにホームページで前期決算などを開示しております。閲読にはパスワードなど必要ですが、この当会ホームページは第三者が見得るため、ここにお示しできません。基金へお問合せ下さい。
基金電話=03-5218-6480
当会では決算などの分析を会報に掲載していますので、ご覧になりたい方は次のメールアドレスへご連絡ください。会報をお送りします。
または携帯 080-3204-1783
4-6月期決算はMUFGが七割減益、銀行単体は増益
三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)は8月2日に4-6期決算を発表しました。純利益が前年同期比7割減の1,136千億円です。金利上昇による債券価格の下落(コインの裏表の関係)で、MUFG全体として6月末時点の外国債券含み損は3月末比9千億円膨らんだのも特徴点です。米国地銀のMUFGユニオンバンクの株式譲渡決定に伴い保有債券の評価損などで2,102億円計上とか、南アジアの配車大手グラブの株価下落に伴う損失なども計上とのことですが、MU銀行単体の分は発表されていません。
MU銀行単体としては、国内海外合算発表で◆融資が主に海外で大きく伸びた形(円安も反映)で資金利益が2.08倍化。◆債券売買では前年同期の利益(397億円)が一転大赤字(6.5倍余の▲2,209億円)。営業費は微増(0.7%増、人件費め物件費の内訳非開示)◆株式売買関係では76.2%の利益減少。◆四半期純利益は28.4%の増加で1,810億円計上。
これでもってMUFG全体が1,136億円の黒字に浮上。全体として融資は増えても債券・株式で大幅損失・減益という点では、安定性に欠けたままと言えます。
3メガバンクとも共通して投融資は大幅に増やしているものの、保有する外国債券の含み損が巨額です。3メガ全体で3月末の計1.7兆円から2.6兆円強に9千億円55%も膨らんでいます。
アベノミクスのために、利ザヤ縮減の国内よりも海外ウエイトを高めリスクが増大という経営方向は曲がり角に来ていると言えます。
銀行単体は、人件費抑え込みなど経費圧縮を進め、前期はコロナ禍対策の融資好条件もあって利ザヤ拡大に転じました(国内部門では預貸金利回り差が0.74→0.75へ)。
しかし、低金利続行、内外リスクの増大、コロナ禍による融資先の先行き経営難、デジタル化対応などの問題を抱えています。
アベノミクス堅持を前提でどうするのか
半沢頭取は全銀協会長就任時の会見(6.15)で、●金融起点の多様なサービス提供、社会への貢献、●デジタル化を踏まえた安定的かつ利便性の高い金融インフラの実現、●健全性・信頼性を確保した強靭な金融システムの維持・向上」を掲げました。
そして「リスクの顕在化や危機の同時多発にも耐え得る強靭さの確保」も挙げ、具体策に言及ナシでしたが、これを基本に各行が利益を上げ自己資本比率を高める競争展開となり、具体策は推して知るべしです。
業界の難儀を招いてきたアベノミクスについては「9年前のデフレ的な状況を脱却したという意味で、一定の金融緩和の効果があった」と発言。批判的な言葉は無く「政策効果と副作用のバランスが取れた政策運営がなされること…適切な判断をすることを期待」と述べるに留まっています。
岸田首相提唱の「資産所得倍増プラン」の商機に言及もありますが、内外情勢激動と不透明化の下で的確な経営舵取りと、現役や受給者に悪影響が及ぶことのない施策を注視したいものです。
決算発表 低金利・コロナ禍の下でも銀行は三割増益
フィナンシャルグループは過去最高益で増配
16日発表の三菱UFJフィナンシャルグループ(以下「MUFG」)の22/3期決算は、純利益が1兆1,308億円で、21/3期比45.5%増でMUFG発足以来の最高益でした。
資金利益増よりもモルガンスタンレーの増益や株式売却益の伸びが寄与したものです。
グループ傘下主柱の三菱UFJ銀行(以下「MU銀行」)は純利益が30.4%の1,883億円となり、過去最高の金額に達しました。本業の業務粗利益は微減ですが、貸倒引当の減少や株式売却益の増加という要因によるもので、巨額の利益ながらこれまで同様、安定性が伴わない収益構造と言えます。
MUFGとしては引き続き増配する方針で、年間2円増やして配当性向(配当÷当期利益)は40%突破を見込んでいます。なお自己株式取得3千億円を決議し株主への還元を図る姿勢です。
企業年金給付の債務者は銀行単体(=子会社を含めない銀行本体)であり、MUFGの状況と併せ、経営実態の直視が必要です。
銀行…海外不振を国内でカバー、株式売却益も寄与して増益
MUFGの純利益のうち、銀行はかつて7割台を占め傘下各社の中で大きな存在でしたが、20/3期の巨額損失を出してから1割台に低下し前期は16.7%に至りました。
MUFG発表資料や説明会などから、銀行については次のような特徴点が窺えます。
融資業務 MU銀行の国内外融資総額は904兆円で21/3期比2.2%の増加です。国内で微減(0.2%)ながら、海外で9.4%増加した点が特徴的です。
国内の資金利ザヤは増え、経費差し引き後の総資金利ザヤは21/3期0%から0.05%へプラスに転じました。中小企業向け貸
付はコロナ禍の下、
引き続き増えて2.4%
増、総貸付額での比
率は1.5%高まり59.4
%でした。
以下は会報で表と共
に説明しています。
業務粗利益
本業を示す基本的項目ですが、減少しました。国内の国債売買等利益が1,010億円増え、前の期の赤字からプラスに転じたものの、海外の金利上昇の反映で外債下落に見舞われ、1,490億円もの損失を出したことが響いています
営業費
人件費の引き続く減少が目立ちます。19/3期=1.84%減、20/3期=2.58%減、21/3=1.28%減、22/3期=4.53%減という推移です。現役は、定期昇給もベースアップも臨給も区別ナシの年収管理方式にされて、過去のピーク15/3期から7期間にわたり累計で20.3%の減少です。今年の賃上げは、組合の1%要求通り満額回答というものの、個々人への配分は貰ってみないと分からないという有様です。人員減と共に一段と抑え込み、人件費節減の「効果」を上げつつあると言えます。
他方で、物件費が増え続けています。(海外経費が規制対策などで増加、との説明の他は詳細非開示) 結局、人・物両項目合わせると営業費は過去5期間微増続きです。(経費率は75.2%) MUFG全体の営業費総額中、MU銀行が約四割を占めているだけに削減圧力は大きいと考えられます。
業務純益
これは業務粗利益から営業費を差し引いた額で、3期連続の減少で、21/3期比▲3.5%です。
臨時損益
与信関係費用は、個別大口先やロシア関連で1,186億円の引当て増が目立ちますが、費用総額としては107億円の減少です。
他方、永く保有してきた「政策保有株」の売却促進で、売却益が約五割増しといった要因があり、株式売買利益総額は2.2倍化しました。
このため、業務純益から臨時損益を差し引いた経常利益は倍加し4,070億円です。
(与信費用のうち、一般取引先分は業務純益の前段に計上、控除し、破綻が懸念される大口先など個別に予想損失額を計上する貸倒引当金は臨時損失に区分されます)
特別損益
この項には減損損失(=資産の収益性の低下があり、投資額の回収が見込めなくなった場合、該当する資産の帳簿価額に収益性の低下分を反映させる手続き)が計上されており、この期は計上方式変更もあり、前年同期比7倍化し、1,357億円(うちソフトウェア932億円も含む)となって、これまでとは桁違いのマイナス要因となりました。
税後純損益
特別損益から法人税など控除した純利益は、前年同期比30.4%増の1,883億円でした。
全体として、本業が低金利政策の下で不振続きのなか、国債や株式の売買で市況に左右され、一時的要因で大きく変動する体質となっています。国債等債券は金利動向により、それも国内外の違いにより別々で増減は大きいし、株式市況による変動もあり、安定性に欠けていると言えます。
ウクライナ危機、コロナ禍、内外の景気動向、金融市場変動など今後の見通しが極めて不透明な諸々のリスク要因を考慮すると、先行き金利上昇が予測されたとしても銀行業務は安定して稼げる状況にはなさそうです。
親会社MUFGの状況
資金利益は順調な増加状況(7.3%増)でした。預貸金利回りが国内で0.79%へと微増(前年同期0.76%)、海外貸出利ザヤも微増(0.92%から0.96%へ)しているのが寄与。
他方、海外の金利上昇が主因で国債等債券関係損益では前年同期比2,595億円減収となって1,404億円の損失を計上しました。
営業費は微増しました。経費率(営業費÷業務粗利益。18,19年度続けて70%台) の毎期70%以下への圧縮を至上命題としていたのが21/3期に68.2%となり22/3期は、MU銀行が微減だったのに69.3%へと微増しました。為替変動により910億円の影響を受けたとの説明ですが、今後の引き締めが注目されます。
臨時損益では、株式等関係損益で売買益が前年同期比2.5倍化、3,326億円を計上したこともあって経常利益は46%増の1兆5,376億円になりました。
さらに、傘下・モルガンスタンレーが大幅増益(前年同期比70%増)の4,210億円(MU銀行の2.2倍)が大きく寄与してMUFGの純利益はグループ発足以来の最高利益1兆1,308億円を記録しました。
グループ傘下企業のうち、利益に最も寄与しているのはモルガンスタンレー(37.2%)、次いで完全子会社化したアメリカのユニオンバンカル・コーポレーションMUAH(17.3%)です。MU銀行は三位で、当期利益への寄与率は16.7%に留まっています。
MU銀行は20/3期にインドネシアのバンクダナモン株式の減損などで6,531億円の赤字を計上し、以後1千億円台の利益で推移しています。3メガバンクの中でも銀行単体としては三井住友、みずほに及ばず三位となっています。経営トップは最近「母国回帰」という言葉を述べていますが、MUFGの主柱として位置付けて国内事業を安定的に展開する意向なのか、具体的には、外部からは見えにくいことです。
中期経営計画は進捗というが現役の処遇は
「挑戦と変革の3年間」と位置付けた中期経営計画の1年目は「主要戦略は着実に前進」との見出しで三つの課題について順調としています。(投資家向け説明会資料)
「企業変革」について三つの柱ごとに紙幅を割いています。
デジタル化は「コスト削減や金融・デジタルプラットフォーマーに向けた取り組み等は着実に進展」として、店舗ネットワーク見直しが進み20年度の425拠点を21年度381拠点へ削減(23年度には約320拠点目標)と図示。
次世代営業店の実現に向けた取り組みは効率化の概要を図示。個人向けネットバンキングの利用者が21年度で110万人増の由です。
デジタルプラットフォーマーへ向けた新たな取り組み(ネット上で大規模なサービス提供の事業)についても図入りで進展ぶりを示しています。一部経済誌では電子決済サービス子会社が頓挫して140億円損失計上、ジャパンデジタルデザイン社の停滞状況などが指摘されているものの、示されていません。
カルチャー改革では「挑戦する風土が浸透」とありますが、前項なども含め失敗を恐れず前進ということなのでしょうか。公募支店長が 30名超誕生、社内副業、海外社員向けの異動制度など挙げていますが、全体的な労働条件、働き甲斐のことなど分かりません。「スピードは引き続き課題」と書いてあるのは意味深長です。
環境・社会課題 への貢献の課題では・「MUFGカーボンニュートラル宣言を公表し2030年中間目標を設定、脱炭素ビジネスを強化」を謳っています。時折り新聞にも報じられましたが、これからの展開が注目されます。
株主還元は推進ですが他の重要事は?
決算説明では「22年度の配当金は4円増配の32円を予想。3千億円を上限とする自己株式取得を決議」としており12年度の年間12円を22年度は32円とし、
配当金総額は4,047億円を見込んでいます。これに自己株式取得決議済み
3千億円を加えると1兆円の純益額の70%余が株主還元となります。
また、MUFGの役員報酬は1億円以上が11人となっています(4月発
表のコーポレートガバナンスレポート)。日本で1億円以上の役員数
ランキングでは日立製作所15人に次いで二位(昨年6月発表)です。
経営側はステークホルダー(直接間接の利害関係者)重視を掲げ続けていますが、言行一致と言えるのか、行員ら働く人達がいてこそ成り立つ事業なのに「還元」以前の労働対価の支払は適切なのか、労働基準法が定める「労働条件の向上義務」を遵守しているのか、問われていると考えます。企業年金受給者もステークホルダーであり、賃金の後払いの延払い分が本質の企業年金について、リスク分担型の導入など検討することなく、筋道の通った給付継続となるよう監視が必要です。 22.5.22.記
第3四半期決算―依然安定性に欠けるも増益 (22.2.15.記)
三菱UFJフィナンシャルグループ(以下MUFG)と三菱UFJ銀行など傘下企業の今期第三四半期(4~12月)の決算が2月2日に発表されました。
MUFGの純利益は前年同期比76%増の1兆703億円と過去最高でした。海外を含めて資金利ザヤの改善,信託や資産運用ビジネスの好調,貸倒引当戻入などが要因です。
三菱UFJ銀行単独の決算は,前年同期で比較すると次のような特徴点が見られます。
-
本業では,資金利益が18.7%増加(+1,135億円)したものの,国債等売買益で64.6%の減少などあって業務粗利益は▲3.2%と引き続く減益でした。
-
営業費は167億円で微減(1.95%)。ここ数年,給与の決め方,水準など変更したことも反映していると考えられますが四半期決算では詳細開示がありません。
-
業務純益(=①―②)は9.3%の減少。
-
臨時損益では,次の二点が特徴的です。
-
税引き後純利益は76.2%の増益で3,512億円を計上。
これは,本業の資金利益での増加よりも,貸倒引当の戻入と株式売却益の増加が純利益増加を押し上げている形 (この二項目の黒字額は純利益の49.3%を占める)で,概して安定性に欠けていると言えます。
懸念材料としては,主に米欧での金利上昇による債券の売買損や評価損の発生・増加です。12月末時点で既に外国債券の評価損は三菱UFJ銀行が2,469億円(MUFGは1,150億円)となっています。
今後米欧を中心にさらにインフレ化による金融緩和是正や地政学リスク増大による金融市場の下方動揺,コロナ禍による企業業績悪化なども懸念され,安定的経営に向けた舵取りが求められています。
明けましておめでとうございます
年明け早々、コロナ禍は世界的なオミクロンの急速拡大で人の命・暮らし・経済に予測しがたい困難、不安を広げていま昨年は銀行の決算も基金の決算も好調でしたが、実は危な
しい現実があり、コロナ禍で炙り出された経済や社会の歪みを考えますと、国内だけでなく海外の動向にも目を向けつつ、安心して老後を過ごせる方向を見据えていく必要があります。
当会として、私たちを取り巻く情勢をどう捉えて、今年どのように活動するか、次のように決定しました。 (22.1.7.記)
Ⅰ.私たちを取り巻く情勢
1. 海外 ーオミクロンが追い打ち一段と不透明な海外の動向が私たちにも及んでくる
米欧では昨秋、コロナ感染の縮小傾向から急速な消費拡大につれて経済回復へ向かいました。これに伴って需給不均衡、物流停滞、原油等資源価格の上昇などから、物価上昇ひいてはインフレ方向へと流れが変わりました。
このため米欧の当局は金融緩和の出口戦略を具体化し始め、バラつきがあるものの、資金供給を縮小すると共に金利を引き上げる方向で、イギリスは既に利上げしました。
アメリカは他国よりインフレ化が先行(消費者物価上昇は前年比11月6.3%,12月7.0%)し、史上最高値に達していたNY市場は、FRBの金融引き締めシナリオの加速が伝わって急落の場面がありました。
コロナ禍前からのバブル化に加えてコロナ対策余剰資金が溢れている下地から投機的動きは激しく、バブル崩壊のリスクが警戒されています。
今年に入っても米中対立や、中国の不動産巨大企業の破綻懸念と経済後退、ウクライナ問題の武力紛争再燃など、様々なリスクの動向次第で、海外の先行きはどうなるか分からない不透明感が募っています。
米欧の金融緩和縮小・金利上昇によって発展途上国の金融経済は、打撃を受けます。自国通貨の下落、輸入物価の上昇などへ波及、財政難・負債返済困難に加え、ワクチン接種率の低迷と相まって世界的な混乱と不況拡大に広がる懸念があります。
2. 日本ーアベノミクスとコロナで二重苦と矛盾が続行
長年のデフレは、個人消費不振が主因で設備投資も資金需要も低迷し続いたのにも関わらず、安倍元首相は資金量を増やせばデフレ克服可能とする筋違いな政策を取り、日銀は異次元の金融政策を続けました。
9年間続いたアベノミクスは、コロナ禍が加わって一層破綻が明かとなりました。
公的年金を動員した官製相場で株価は実態経済と乖離し高水準で推移し、大企業の内部留保がアベスガ政権下で5割も増えました。他方、実質賃金は4%低下、公的年金は6.5%減額、という格差拡大の中で総需要は伸びず、経済成長も停滞状況にあります。
岸田首相は、アベノミクスの矛盾を糊塗するように新自由主義や資本主義の見直しを口にしたものの、アベスガ路線を基本的に踏襲しています。しかも、安倍元首相は岸田政権に対し「根本的な進む方向をアベノミクスから変えるべきではない」と注文(先月25日TV番組)。
安倍元首相にも依拠して総裁総理に就いた岸田首相は政権維持のために改憲同様言いなりにならないか…と観測されていますが、トンデモないことです。
様々な歪みの中で、既に海外のインフレ、金利上昇が日本に波及しています。日銀は、低金利政策の続行で円安が続くため、輸入品の物価が上昇し食料品、ガソリンなど家計に響くと共に企業にも悪影響を及ぼしています(11月の企業物価指数は前年同月比9.0%上昇)。
円安は輸出産業にプラスとされてきましたが、実際は、既にグローバル化推進で海外に部品調達や現地製造を進めており、円安メリットはかつてほど大きくありません。
本来なら、円安是正に舵を切るべきですが、日銀と政府はにっちもさっちも行かない矛盾にぶち当たっています。
国債の大量買い上げで、金融機関側は売りに出す玉が不足し取引不成立が度々起きました。これまでの巨額買い入れで異常に膨らませた日銀は、暴落時に債務超過に陥るリスクを抱え、様々な歪みもあって昨年購入額を減らし、遂に保有残高を08年末以降初めて減額、告知なしに軌道修正に及びました(521兆円と1/5計数のみ公表。それでも他国にない規模)。
しかし、低金利政策はそのままです。金利アップへ舵を切ると国債の支払金利増大という難題があります。1千兆円超の国債で1%の利上げなら10兆円の利払増です(消費税年収の約5割。一挙に支払い増でないものの)。
金利アップはコインのウラ・オモテの関係で価格下落となります。巨額保有する銀行や生保ほか投機筋はどう動くか、評価損をどれほど抱えるか、株式市場はどうなるか、大きな混乱が必至となります。(1%の利上げで3メガバンクの含み損は5兆円との試算も=日本経済新聞12/25)。
金利上昇で企業経営難、倒産、雇用と賃金に波及となる可能性もあり,アベノミクスの無軌道無責任が問われます。
こういう面だけ見て、アベノミクスの続行が経済・財政の混乱回避になり安定的と考える訳に行きません。国民の犠牲転嫁を許さない転換政策が求められます。
大企業・富裕層への減税分だけでも元に戻しての増税と軍拡中止で財源をつくり、消費税減税、最低賃金引上げ、最低保障年金実現へと舵を切りだせば、総需要喚起、不況克服、財政健全化の展望が出て市場の混乱を抑え日本国債の格付けは上がり得ます。国債金利負担力も出ます。
3. 銀行ーリスク増大のなか合理化、業務新展開
(1)銀行業界の動向
低金利の常態化、デジタル化にコロナ禍が加わり銀行業界は大波に洗われています。デジタル化で店舗、人員、働かせ方など多面的に合理化・効率化を進めるだけでなく、従来の融資中心の事業から大きく業態を変える転換が必要とされ、昨年は「銀行法など金融関連改正法」が成立、金融持ち株会社の規制緩和と共に新たな段階に入りました。
しかし、預貸本業を不振にさせているのは、アベノミクス以降の異常な金融政策であって、この転換によってこそ地銀なども含めて本業は健全に運営できるし、国民経済の正常化にも資する道です。
メガバンクは海外展開に注力中ですが、現地の資金調達自体、高レートで逆ザヤも少なからず…など様々なリスクを抱え込みつつ互いに競っています。
三井住友FGは東南アジアで現地銀行の買収戦略を進め、「第二のSMBC」計画を加速するとしています。三菱UFJ銀行は三井住友銀行に実質利益で劣る事態となり、競争激化の内実が伝わっています。
他方、利害一致のテーマでは政府を動かしており、金融持ち株会社の
規制緩和がその一つです。金融持ち株会社は戦争の反省から禁止され、これを
復活した時に課した規制を緩和すると、融資先などで弱肉強食を進め
る弊害がでてきます。 (例えば、業績不振先から融資回収のため株・
券を無理に発行させ他に引き受けさせるとか、融資先に傘下証券会社
の金融商品を無理に買わせるなど)
受給者としては「銀行が儲かればよし」として安心できましょうか。経済的強者が政府に年金・医療など社会保障制度改悪や不公平税制、消費税増税を実行させてきた実態と経過を振り返る必要があります。
今は脱炭素などの流れにも沿い、MUFGとして「気候変動対応」など10課題を特定し投融資の業務など推進中です。しかし他方では、批判を浴びる面―例えば石炭火力発電への既存融資継続(新規融資は取り止め)、核兵器製造業への巨額融資(19.1~21.7の間、126億22百万円実行、3メガ揃って世界トップ10入り)などあることを忘れる訳に行きません。
(2) MUFGと銀行の動向―ブレの大きい決算
業績
昨年11月に発表の中間決算で、MUFGは純利益が7,814億円で、前年同期比95%の増益と過去最高額、三菱UFJ銀行は59%増の3,084億円となりました(但し、半期としては過去最高を記録した`18年度上期の6,632億円には及ばず)。
年金受給の債権者としては安心したいところですが、次のような特徴と問題点があります。
◆政府日銀のマイナス金利政策でマイナスに陥っていた利ザヤがプラスに転じた(国内分について開示、前年同期▲0.01%からプラス0.06%へ) ものの、本業の「業務粗利益」は減少(10.8%)。
◆海外部門は、業務粗利益が大幅減(▲35.5%)。欧米の金利変動が響き、債券売買で92%もの大幅減が主因。
◆国内では国債等売買で、前年同期のマイナスが2.8倍のプラスに転じ498億円の利益計上。浮沈の大きい不安定な業績。
◆株式・債券売買の利益は前年同期比2.38倍(1,175億円)計上と、ブレが大。
中間純利益は増えた(1,146億円)ものの、本業不振のまま、一時的要因・政策的要因によるものであることが明かです。しかし、MUFGは増配し配当性向(配当額÷税引き後利益)引上げ方針は不変です。岸田首相さえ自己株式取得は規制方向なのにMUFGは続ける方向です。
今後、コロナ倒産と与信費用の増大、出口戦略に伴う金融市場激動、バブル崩壊も想定され、一時的な増益要因は逆回転する可能性もあって、慎重な経営姿勢が求められます。
新たな経営計画で合理化、人事施策
国内外で様々なリスクが増大するなか、MUFGは今年度から「挑戦と変革の3年間」と位置付けた新たな中期経営計画を推進中で、銀行も同一歩調です。
○デジタル化で店舗・人員・業務・働かせ方の合理化を大胆に推進。
○新戦略としてスマホ活用の幅広い金融商品提供、脱炭素対応の顧客支援、プラットフォーマー進出(第三者のビジネス基盤=プラットフォーム =として利用のサービス、システム、コンテンツ、情報などを提供、運営する事業者と業務提携、人材派遣、出資等)など展開。
○行員の「自律的な挑戦を促すエンゲージメント施策」(engagementは、「婚約、誓約、契約」を意味する言葉。ここから派生し、人事分野では「個人と組織の成長の方向性が連動し互いに貢献し合える関係」という意味で使われています)と称して新たな意識づくりと制度づくりを進めています。(一例としては銀行勤務と出向を交互に繰り返し起業や転籍に備える新制度など)
国内で稼ぐ力が低迷し海外に更に力を入れると、一段とリスク増大に備えて損益分岐点を引下げる、固定的経費とくに人件費の圧縮が至上命題となります。既に給与・昇格・年金など連続的に改定を続けており、受給者向けの企業年金改悪は対象外と言い切れません。
4. 年金を巡る動向―企業年金も公的年金も打撃
(1)公的年金
自公政権は財界の意向に沿いながら、社会保障の後退を多面的に画策してきました(国民の運動により一部改良あるものの)。16年末に強行可決された年金カット法の
適用で昨年は0.1%の削減となり、アベノミクス開始以降、単純
合計6.5%の減額幅となりました。(今年度は0.4%カット予定)
物価上昇率は低く推移したものの、多くの高齢者には縁の薄い
電子機器や旅行関係費目など低下の他方で、円安もあって食料
など生活必需品は上昇しています。
(2)企業年金
厚労省は公的年金の先細りを、企業年金と個人年金で補完させる意図を明確に「企業年金・個人年金部会」で審議を続け、主に現役向けに諸改定を進めてきました。
◆企業年金は本来、退職年金として、企業が全責任をもつ確定給付なのに、運用もリスクも個人責任とし、金融市場次第で増減する確定拠出年金(DC)を普及の主流とする、◆掛金限度額を引上げる(税優遇とセット)、◆企業が掛金負担のDCと併せて個人年金(企業と無関係に個人が拠出するiDeCo)に注力(三菱UFJ銀行が先んじて`15年に脱法的に導入した制度)。
これまでもDCの運用成果の調査で1%未満やマイナスが加入者の過半を占めており、昨年は市況好転したものの永続の保障なく、老後資金の備えにならない制度であることはコロナ禍で一段と明らかです。
(3)企業年金・個人年金部会
部会は19年末に論点の整理を行ない、20年は現役向けDC施策に力点を置きましたが、これからは確定給付企業年金について受給権を無視軽視する次のような事項も審議することが示されています。
①「給付額の改定の手続き」
寿命延伸と共に企業が終身年金の負担が増えるため、保証期間経過後は給付を減らし企業の負担総額は増えないようにするもの。
②「リスク分担型企業年金の合併時・分割時等の手続」
リスク分担型を実施している企業が合併または分割で資産水準が低下すれば減額扱いとなっても個別の同意不要など企業側の負担軽減を図るもの。
③「定年延長等に伴う給付設計の見直し手続」
定年延長なら長く働いた分は増やし、最低限でも延長分の運用益相当を反映すべきなのに省く。こうすると実質的減額となり同意手続きが必要なのに、省いてよいとする。
④「支払保証制度」
企業や基金が年金支払い不能となった場合に備えて支払いを保証する制度を作ろうというもので、2001年に国会で附帯決議をしたのに政府は着手もしないまま21年経過しました。経団連などが“モラルハザードとなる”“財源が問題”などの口実を並べて反対のまま先送りしてきましたが、国会決議や受給権の軽視自体がモラルハザードです。
⑤「バイアウト」
企業が企業年金の資産を給付債務とワンセットで生命保険会社などに、売却するものです。事業のグローバル化、M&A(企業の合併買収)などから、資産負債の圧縮・資本効率向上に資するとか、欧米では既に実施されている、として財界が提案。企業のメリットや都合は明確ですが、受給権がどこまで保証されるのか重要問題です。
(4)企業年金の当面の問題
①リスク分担型
安倍政権は`17年にリスク分担型を施行し今月1日現在、掛金のみ導入459件、全面導入21件となっています。銀行業界では三井住友、りそな、あおぞら銀行が掛け金制度を入れ、南都銀行、阿波銀行が受給者も含めて全面導入しました。この制度は企業側から使い勝手が悪いなど批判し、更なる画策が懸念されます。
②企業年金・個人年金部会
前項の審議課題がどのように進められるか不明ですが、受給権を守る団体と共に厚労省への働きかけが必要な段階に入ってくると考えられます。19年の「議論の整理」事項ではリスク共有型と称する、更に企業年金の本質から外れ歪める構想(リスク分担型は企業が負担を先行させるが、リスク共有型では初めから企業・現役・退職者がリスクを負う)が出されており、企業が企業年金のコスト・リスク・責任を免れようとする策動は引き続きそうです。
三菱UFJ銀行は現役に既にキャッシュバランスプラン、確定拠出年金(DC)に移行して負担軽減の措置済みですが、19年の日立製作所の改定事例(現役にキャッシュバランスプラン導入済みなのに加えてリスク分担型を導入)に見るように、更なる画策も受給者を含めて出てくる可能性はあり得ます。現役をDCに移すことで基金を解散し受給者のみを閉鎖型に移し、給付は生保などに委託という方策も損保など他企業で採られており、私たちとしては警戒が必要です。
(5)銀行の企業年金基金の項は,部外者秘の内容がありますので,ここでは割愛します。
ご覧になりたい方は当ホームページのメルアドにお申し込みください。
方針の項は「考える会」の方針のサイトをご覧下さい。
三菱UFJフィナンシヤルグループの中間決算は過去最高益 (21.11.24. )
銀行も利益急増だが本業は引き続き低迷、リストラ推進
三菱UFJフィナンシャルグループ(以下MUFG)の4-9月の中間決算が11月15日に発表されました。業務粗利益は減ったものの、コロナ禍で計上していた貸倒引当の戻入や株式売却益などが寄与して、MUFGは純利益が7,814億円で、前年同期比95%の増益と過去最高額になりました。
MUFGとしては年間株配当を1円増やして28円とし、1,500億円の自己株式取得をすると発表しました。
自己株式の取得は、市場に出回る株式数を減らし株評価を高める株主還元策です。これは自己資本比率を引き下げるデメリットもあります。いずれにしても、ステークホルダー(利害関係者)重視を言いながら従業員にはリストラ・賃金抑え込みを推進しつつ、一時的要因で利益が増えたからといって株主還元策を進める経営姿勢は如何なものでしょうか。
私達の年金給付の債務者はMU銀行であり、MUFGの全体状況と併せて内容を見ておきたいものです。
三菱UFJ銀行(以下MU銀行)はMUFGと同様の要因で59%増の3,084億円となりました。但し、半期としては過去最高を記録した`18年度上期の6,632億円には及びません。
コロナ禍は4-9月期中も国内外で猛威を振るい、晩夏に向け減少して経済活動の復調が見られましたが、本業の成果を示す「業務粗利益」は減少(10.8%)しており、銀行は低金利の続行とデジタル化対応という経営課題を抱え、引き続き危機感をもって諸々のリストラ策を進めている点で、受給者としても楽観はできないと考えられます。
MUFGが公表した資料やトップの会見から次のような特徴点が窺われます。
利益が急増したのは一時的要因による
★MUFG全体は、本業の状況を端的に示す「連結業務粗利益」は国内外の貸出利ザヤ改善、外貨投信、手数料収益が寄与したものの、海外の「国債等関係損益」で大幅減少(▲83%)があって全体として▲3.7%でした。
他方、与信費用の巨額戻入によって経常利益増に2,763億円寄与したのが特徴的です。戻入は政府による実質無利子無担保融資で倒産が57年ぶりの低水準という一時的要因によるものです。また「株式等売却損益」が2.3倍加という一時的要因と、傘下モルガンスタンレーの利益倍加もあって純利益は前年同期比95%増の7,814億円となったものです。
★MU銀行もMUFGと同じような要因で+59%もの増益でした。しかし次のような内実があり、MUFG傘下の中心柱であるMU銀行の比重は低下し、MUFG純利益の39%(前年同期は48%)にまで寄与率が低下したことも特徴的です。
MU銀行の内実はどうか
国内業務―コロナ禍対応の融資減、資金利益は減
★貸出金残高
コロナ禍対応で前期末まで増えた融資総額は、この半期中に設備投資不振から来る融資不振や約定弁済もあって3.6%減少。中小企業向けは37.4兆円になり、減少幅は▲2.2%です。(総額の中での比率は58.34%へと微増) 消費者ローンは1.43減で住宅ローン、カードローン共に減少。
★資金利益
貸出金残高は減ったものの、貸金利息から預金利息などのコストを差し引いた資金利益は2,732億円で前年同期比5.9%増となっています。
この要因は、減り続けていた貸出金利回りが前期末0.72%から0.73%へと増加に転じたことです。ただしその主因は開示文書から読み取れません。他に資金利益の算定に加えられる有価証券利回りは0.26%で前年同期比同じ水準です。
★国債等売買損益
国内では前年同期271億円のマイナスだったものがこの額の2.8倍のプラスに転じ498億円の利益計上。海外では逆に92%もの減少で184億円の利益計上に留まりました。海外の金利上昇・価格下落の反映と見られ、市況・金利情勢に振り回される高リスク性が浮き彫りです。
★利ザヤ
開示資料は国内業務部門について総資金利ザヤを記しています。
前年同期は▲0.01%でしたが、当上半期は調達コストの内の外部負債利回り低下でプラス0.06%に転じました。いずれにしても金利情勢に左右される薄氷の利ザヤと言えます。
海外業務―国債市場変動で大幅減益に
国内部門とは対照的に業務粗利益は35.5%もの減少です。これは、「国債等売買損益」 で92%もの大幅減益によるもので、欧米の金利変動が響いたものと言えます。
営業費―人件費引下げが寄与
営業費は、一般企業の「販売管理費」に相当する勘定科目で、MU銀行は人件費を前年同期比4.4%減らしています。連続したベア見送り、人事制度見直しに一律ベア廃止、定給と臨給併せての「総額報酬方式」などの現役受難が反映していると見られます。
経営陣はいつも「経費率」の引下げを強調していますが、これは「経費÷業務粗利益」で算出するものです。経費削減率以上に分母の業務粗利益の減少率が高かったため経費率は上昇(63.8%から69.1%へ)していますが人件費圧縮の継続には留意注目が必要です。
業務純益 業務粗利益から営業費を差し引いて業務純益は前年同期比▲23.9%の2,449億円でした。
臨時損益 次の二項目が主因で前年同期の損失713億円から黒字1,805億円へ大幅好転。
◆貸倒引当等の戻入が計770億円。
◆株式売却益が前年同期比2.38倍の1,175億円計上。
当期純利益
以上の要因で、中間純利益は3,084億円で、前年同期比1,146億円増となりました。この増加は一時的要因である前項の臨時利益に依拠していることが明かです。
本業は異常な低金利政策で低迷が引き続いている上にバブル化と景気の動向、欧米の金利動向などに左右される不透明感が続く状況です。
基金が前期決算を9月1日にホームページで掲載しました。
基金は今年から受給者への「基金だより」発行・送付を取り止めました。
当会では決算などの分析を会報に掲載していますので、ご覧になりたい方は次に記載のメールアドレスへご連絡ください。
MUFG・銀行が四半期決算を発表
コロナ禍の下、銀行は前年同期比増益も内容は?
三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)の四半期決算(4~6月)が8月2日に発表されました。コロナ禍で与信費用をこれまで多額引当てていたのが経済実体の改善漸進とともに戻入れたことを主因にして最終利益は前年同期比2.1倍の3,830億円となっています。
MUFGの主柱である三菱UFJ銀行は、純利益が前年同期比6.1%増に留まり1,409億円でした。MUFG発表の資料から浮かび上がる特徴点を記します。
◆本業の資金利益はMUFGが5.9%増、銀行は13.9%増と好調でした。
◆しかし、内外金利上昇=国債下落を主因に国債等債券売買で損失が増えMUFGは▲76.6%、銀行は▲75.9%、1,249億円の大幅減少でした。
◆結局業務粗利益は銀行が▲25.2%、1,295億円もの減益でした。
◆銀行の営業費は88円減(人件費減も大きいと思われますが開示なし)で、業務粗利益から控除後、業務純益はほぼ半減の1,063億円となりました。
◆与信関係費用圧縮、貸倒引当戻入、株式売買損益を加えて臨時損益は1,316億円の大幅改善となって経常利益は10.4%増の1,849億円となりました。
◆新聞報道では3メガとも純利益倍増となっていますが、業務純益や経常利益段階では様々です。みずほFGは業務純益が16%減、三井住友FGは2%増です。
私たちにとって重要なのは企業年金の債務者たる銀行です。
▽資金利益は先ず先ず挙げているものの、コロナ禍が更に深刻化すれば与信関係費用は増える、
▽米欧の金利動向次第で債券など価格変動により不安定な体質であり、先行き不透明、
▽株式売買での損益もブレが大きく市場部門への依拠が裏目に出やすい、
といったことに留意、警戒が必要です。
銀行経営を巡っては、利ザヤ縮小、来店者減少、デジタル化、海外展開など大きな変化がありますが、基本的にはやはり、日本自体が、行き詰まったアベノミクスを転換して国民本位に賃上げ・年金拡充・社会保障充実と負担軽減、などで家計消費拡大によってデフレ克服→設備投資増→健全融資拡大…という大道へ進まないと銀行経営はリスキーな市場部門依拠を続けていくことになりねません。
アホノミクスにコロナ誤策が加わり、私たちの暮らし・年金は?
コロナ禍は第五波襲来の上に五輪強行も重なり、全く先が見通せない状況になってきました。こういうなかで暮らし、年金、銀行の経営はどうなるのか?―関連する海外の動向もあわせて見つめる必要があります。
欧米には変化の兆しが…
コロナ禍で主要国は共通して巨額の財政出動、金融緩和策は続いていますが、国によって異なる色々な変化が出ています。
アメリカは、ワクチン接種の進捗と共に雇用拡大、物価上昇など景気回復の兆しが出てきて期待感が先行して株価は上下変動を重ねながら史上最高の35千ドル台の大台に乗りました。金利の上昇局面も経て、金融当局は量的緩和の縮小へ議論継続と言います。
イギリスやフランスなどもワクチン接種の進展から行動制限緩和が広がり(適否は別として)経済は回復に向かいつつあります。しかし最近、新たな感染の波が高まりだし、金融政策の手直し模索中だったEUの中央銀行は基本的に緩和継続の方向です。
大筋、米欧では共通してコロナ退治最優先政治を進め、経済成長の回復が早くIMFは、国別に4.3~4.9%へ上方修正(7月28日)、日本の3.0%と差があります。米欧の市場は複雑な変化があるものの、中央銀行は政権とは別に主体的に金融政策の舵取りをしています。
日本はアベノミクスとコロナ誤策のダブルパンチ
日本政府は、アベノミクスという間違った政策を日銀を従える形でとり続けて経済低迷をもたらしてきました。さらにコロナ禍によって一段と問題・矛盾が強まっているなかで菅首相はこの政策を引き継ぎ、その上にコロナ対策では無能有害を露呈しつつ五輪を強行して混乱を増幅しています。
このため、景気回復は一部に限られ株式相場も一度は届いた3万円も回復しない状況です。ここには取引総額の過半を占める海外勢の冷徹な評価の反映と言われますが、私たちとしては、アベノミクスとコロナの二重苦、これをもたらしている菅政権の実態をシッカリ見つめて暮らし・年金を守る今後の方向を考えていきたいものです。
アベノミクスの間違い
そもそも安倍氏が首相に就いて「デフレになったのはお金が足りないから」と一部学者(リフレ派)の理屈を妄信して異次元の金融緩和策を採ったのが間違いです。
デフレに陥ったのは、歴代自民党政権の悪政で賃金・年金の抑え込み、社会保障削減、消費税増税などで家計消費が冷え込んだことが主因であり、物価下落となったものです。
それなのに、安倍首相は「輪転機をぐるぐる回してお札を増刷し、資金量を増やせば銀行融資が増え設備投資が進み消費が進む…」と逆立ちの理屈で物価上昇率2%目標を掲げました。毎年2%の物価上昇なら単純計算しても5年で10%上昇、物価スライドのない企業年金は目減りです。公的年金とて賃金動向によっては丸々スライドしません。こんなインフレは許せない事なのに、当時はこれでデフレ脱却できる、との言説がマスコミを通して拡散されました。
安倍前首相は、日銀の独立性を定めた日銀法を無視して「政府は親会社、日銀は子会社みたいなもの」と筋違いを平気で言い、政府・日銀の共同声明まで出して意のままに黒田総裁を動かしてきました。
通貨の番人とされている日銀に物価上昇=通貨の減価を実行させるなんてトンデモないことです。それでも目標通りに行かないからと、マイナス金利政策まで導入して間違いの上塗りをしました。通帳のシミみたいな預金者の金利が一段とカスミみたいになるし、銀行業界は更なる合理化に励んで皺寄せが利用者の諸料金アップやサービス低下、更に現役の賃金攻撃、人減らしに及びました。
金融緩和は大量の国債を日銀が銀行から買い上げて進めましたが、そもそも国債は戦前の反省から憲法と財政法で発行が禁じられたものでした。それでも国債をスグ日銀が買い上げると露骨な赤字尻ぬぐいになるからと、発行後一年間以上買い上げないルールを定めていたのに、これさえ破る始末です。余りにも大量の買い上げで市場では供給不足で取引が成立しないこともしばしば起きて銀行は利益を稼げない状況です。
日本国債の評価減も?
こういうことを重ねてきたため、日本国債の国際的信用は落ちて格付けは今や中国、韓国の下で、更なる引下げが議論されている程です。格付け低下は価格の低下=金利の上昇をもたらし、新規発行分も利上げとなって政府の財政負担となるし、金融市場に多大な混乱を及ぼしバブル崩壊の引き金にもなり得ます。
これまで安倍内閣は、①日銀にETF(上場投信)の巨額連続買い付けをやらせ、②年金積立金で株式買付を増やさせ(比較的に安定的な債券の比率を引下げ売却)ました。①は日銀法の定める任務から外れ、他国でもやらないことですし、②は安定重視の年金積立の目的に反する所業で、金融バブル化をもたらすものでした。企業年金の改変で加入者を増やしつつ金融市場に誘導したのもアベノミクスの一環です。
公的資金の投入は「池の中のクジラ」とも言われ、池(=市場)が壊れないか、鯨がまともに生きられるか?問われる事態なのに、こんな異常事態が常態となってきたのです。また、異常な金融緩和は円安を招き、輸出企業は儲けた他方で輸入物資は価格上昇、日本株が割安となって外人の株売買が進行、株相場底上げを招きました。これら一連のことで景気が良くなったように錯覚させ、喧伝したマスコミにも問題があります。
こうした問題積み上げの上にコロナ禍で一段と国債増発、金融緩和の日銀政策も続いてきて、実体経済の改善が見られない中でバブルが膨れ上がった面を直視する必要があります。バブルは経済実体と乖離しており、いずれ(時期は不測ながら)破綻します。
出口戦略の必要
欧米各国はリーマンショック後の財政出動・金融緩和をやってもバブル崩壊など警戒して出口戦略を探ってきました。昨年からのコロナ禍でまた緩和策など採ったものの、出口模索や手直しがありました。
日本は、アベノミクスとコロナ禍の二重の誤策から異常事態が常態のようですが、欧米以上に膨れ上がった国の借金水準(1千億円超とGDPの2倍超)と、バブルの矛盾打開のために本来は、出口戦略を議論し着手する必要があるのに放置したままです。
膨れ上がったバブルは必ず崩壊する歴史を繰り返しています。崩壊の契機はコロナ感染被害が予想外に深刻化して経済に打撃とか、投機家の思惑も加わっての金利急騰、中近東の地政学リスクと石油価格上昇、気候変動も絡まった穀物急騰ほか物価の上昇など幾つもの引き金が懸念されています。
海外発の要因と動向によって金利上昇、円急変、株価暴落となったら、日本の財政、金融は惨憺たる事態となります。円安だけとれば輸出企業は儲かるでしょうが、石油・食品など輸入品の価格上昇→全般的物価上昇などで国民生活は大変な打撃を受けます。
異常事態からの脱却こそ
アベノミクスは8年余経過し、コロナ禍が加わって一段と貧困と格差が拡大し、経済も成長せず、間違いだったことが明確なのに、転換の議論もなく16日の日銀政策決定会合は引き続き緩和路線継続と決め、出口戦略はおろか、引くに引けない有様です。
大企業・富裕層の利益・資産は、働く国民がいたお蔭様で得られたものですし、消費があってこそ富が得られた訳です。経済=経世済民はこの基本点に立ち返る他ありません。国民の所得、消費を増やしてデフレを克服しアベノミクスで異常な事態になっているのを転換できる政権に交代することが真に求められています。
アベノミクスと企業年金
アベノミクスは`13年以降「日本再興戦略」なるものを4年掲げ続けて「資本市場活性化」の一環として企業年金の資金を金融市場に誘導すべく、①リスク分担型の創設、②確定拠出年金の拡充(現役世代に拠出枠増額、企業年金と無関係の人達にも加入と税制優遇の拡充)を進めました。
これらが相まって株価を引き上げ金融機関の手数料収入増大にも寄与しました。他方で受給者も現役もリスク増大になったことを銘記必要です。①②共に企業年金は企業の責任で退職金として支払うべき本質を捻じ曲げており、特に①は企業のリスク負担責任を現役や退職者に転嫁するもので悪質です。
厚労省は社会保障審議会で「企業年金・個人年金部会」を設置したものの、一貫して財界・金融機関の立場優先でした。
現役や退職者も対象の施策なら労政審議会で公益・労働・使用者の三者構成で民主的に審議すべきところ、この部会は労働側が僅か二人で(しかも労使協調路線)他は経団連や政府重用学者などでした。
問われる銀行の姿勢
メガバンクは交代で経団連の副会長に就いて財界本位の政策 (企業年金も含め)を進
め、異次元の金融緩和が銀行業界の首を絞めるものなのに異議も唱えず従ってきました。
全銀協の行動憲章は「銀行は、金融サービス業の中核として、高い公共性を有し、広く
経済・社会に貢献していくという重大な責任を負っており…」と謳っています。
政府、日銀が誤策や異常事態を放置し経済・金融が歪められている時、是正を求めて
いく責務がある筈です。バブルで多大な損害をもたらした歴史を振り返っても今こそ
政策転換を求める責務があるし、異常事態の中で収益獲得のために顧客、行員まして受給者にまで不利益を及ぼすことは許されません。
私たちは国民・利用者の一員としても、また企業年金の債権者という利害関係者としても銀行が世のため人のために役立つ企業として存続し得るよう取り組みを続けていきたいと考えています。 21.7.28. 稲邑明也
近頃の三菱UFJ銀行の動向 (21.7.28.)
「AI面接」を導入 人間より機械で精度向上?
銀行への就職希望ランキングは、かつてより低下していますが三菱UFJ銀行が沢山の志望者を選別するにあたって面接の一部に、今年から人工知能(AI)を導入したことが話題となっています。
筆記試験・適性検査、1次~5次面接へと膨大な受験者を絞り込むのに採用担当者の負担が大きいので1次面接にAIを試験導入したとの報道です。面接を受ける側からすると、AIに人生の一大事を握られている感じもします。うっかり目が泳いだりすると直ぐにマイナス評価になるのでしょうか。
新人の年収1千万円!?
「三菱UFJ銀行は2022年春の新卒採用の一部に、能力に応じて給与が決まる仕組みを導入する。デジタル技術などの専門人材が対象で年収は大卒1年目から1000万円以上になる可能性がある」との報道がありました。
デジタルやシステムのほか、金融工学や富裕層ビジネスなどの分野で専門的な知識や能力を持つ若手を獲得する狙いで、新卒採用全体の約1割にあたる40人程度、一律300万円程度としてきた体系を改める、とのことです。
デジタル化など時代の流れはあるにしても、個人の能力や成果で大差がつく方式は広がらないか、公正評価・協調・連帯などの面でどうなのか、組合としても重要な課題となりそうです。
年収1億円超過の役員が増加
21年3月期決算「役員報酬1億円以上開示企業」について一部新聞が報道しました。会社別では三菱UFJフィナンシャルグループは11人(前年は10人)で日立製作所15人に次いで二番目の人数です。
MUFGが7月5日発表の「コーポレートガバナンス」の中で「役員ごとの連結報酬等の総額等」(総額1億円以上、単位:百万円)が次のように開示されています。
(1)平野信行236 (2)三毛兼承168 (3)荒木三郎146 (4)長島巌183 (5)亀澤宏規224 (6)籔田健二125 (7)堀直樹123 (8)宮地正人126 (9)横川直113 (10)桑原昌宏111 (11)柴義隆113。掲載順は金額順とは別の序列のようです。
金額は複数の評価項目と算式で、MUFG内の兼任も併せて明細が出ていますが、現役は人減らし労働強化が著しい上に、昨年は定例給与と臨給を一本化して役員並みの形にされ、今年は賃上げ要求見送りとされました。月とスッポン、雲泥の差の拡大に見えてきます。
株主総会で新たな動き
6月29日に三菱UFJフィナンシャルグループの株主総会が港区のグランドプリンスホテルで開催されました。今年は会場前で地球環境保護団体が脱炭素などアピールする様子がNHKテレビなどで放映されました。総会では、パリ協定の目標に沿った投融資を行なうための経営戦略を策定・開示するよう求める株主提案がありました。提案したのは“環境分野のノーベル賞”ゴールドマン環境賞を受けたNGO気候ネットワーク平田理事で、2分間提案説明し、株主の23%の賛成を得ました。
ローン担保証券、マネー逆回転リスクも
銀行業界は低金利が常態化し海外で収益を上げようとCLO(複数の低格付け企業に対するローン債権を束ねて担保とした証券)を多額投資してきました。金利が高めの分だけリスクも高く、金融庁は18年から注意を呼びかけ、大手銀7行の保有実態を18,19年に調査した程です。
19年調査時の保有高は農林中金がトップで8兆円、三菱UFJフィナンシャルグループは二番手で2兆6000億円(銀行単独は報道なし)でした。
日銀は19年10月のレポートの中で、「リーマンショックのような経済危機に見舞われた場合、最大で3割ほど価格が下落するリスクがある」と指摘しました。
その後は発表されていませんが、欧米ではコロナ禍後に発行が急増し2021年1~6月の発行額は上半期として過去最高となったとの報道です(日本経済新聞7/21)。
最近までの景気回復期待と金利の先高観を背景に増えたものですが、金融緩和の是正やコロナ感染の拡大などで発行者の経営不振、価格下落などリスクが高まる可能性も指摘されています。
銀行の今とこれからは? ―トップの発言にみるとー
20/3期決算で三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFGと略記)は、19/3期比39%の減益となって、三井住友に抜かれたとか、傘下主柱の三菱UFJ銀行が6千億円超の赤字になったとか、従来にない結果でした。
注目された期初の人事では、MUFGの三毛副社長がMUFGの社長に昇格するのでなく、亀沢副社長が社長に昇格し、三毛氏は引き続き三菱UFJ銀行の頭取・MUFGの副社長として、銀行の経営に専念する体制が取られました。
亀沢社長は銀行頭取を経験していないとか、理系出身とかで注目されつつ、株主総会後は経済紙・誌に登場し、経営の方向性を語っています。MUFG全体の今後は、傘下主柱の三菱UFJ銀行の舵取りに大きくかかっている、との観もあり、亀沢社長や三毛頭取のインタビューなどが載った主な経済紙・誌(日本経済新聞7/14、週刊東洋経済7/11、同電子版7/15、週刊ダイヤモンド7/17、週刊エコノミスト7/28)の中から特徴的な主な発言とコメントを記します。(20.7.29.)
「不振の国内事業をデジタルで再建」
亀沢社長は「顧客の利便性を上げながらコストを下げて損益分岐点を下げる」という2つの目標を同時に追求する方針で「リテール事業部門(個人・中小企業取引)の不振の原因の一つは経費率の高さ」と指摘し「三菱UFJ銀行単体の経費率(業務粗利益に占める経費の割合)は前期に74%と、三井住友銀行の57%、みずほ銀行の64%を大きく上回る。デジタルを活用した国内リテール事業の抜本的なテコ入れに乗り出しデジタル化による店舗網・サービスの再編を進める」と述べています。
注力分野の一つがネットバンキングで「2019年度に590万人だった利用者数を23年度に1500万人に増やす。デジタル化によって顧客の利便性を高めながら、損益分岐点を下げていきたい。スマートフォンのアプリでできる手続きを、現在の約5割から2023年度までに7割以上に引き上げる。顧客の利便性が下がらないのであれば店舗を減らせる。国内店舗は17年度末の515店の4割に相当する約200店を23年度までに減らす。残る店舗の半数弱は窓口数などを絞った軽量店舗にする。さらに高度な相談に応じるプロ人材をセンターに集約」し、テレビ電話を通じたやりとりなどを増やして高付加価値のサービスを拡充する。」との発言です。
◆コメント 現役受難の次は
「プロ人材」の養成や職務転換で現役はどうなるか、ネット不慣れや無活用の顧客層はどうなるか、懸念されます。また、経費の中に占める人件費は33%(銀行単体:前期実績)を占めており、言及は無いものの、無策ではない筈です。MUFGの前社外取締役川本裕子氏は人事評価の見直しで「現状の課題は、発揮している価値と報酬が釣り合っていない人材が銀行に沢山いる…」(ダイヤモンド5/31)と述べていますが、一役員に留まらない認識とも考えられ、こんな感覚的恣意的で根拠ない発想を外に示しつつ人事施策が企画・推進されているとしたら重大問題です。
既に銀行は、デジタライゼーションの流れもあって人員・人件費両面で削減を推進中です。`19年4月から給与体系の大改悪(成果主義の要素を強め格差拡大)を決め、`20年4月から一律ベアは廃止し人事考課を反映させる引上げ方式による定例給与と、これに臨時給与を併せる「総報酬方式」をスタートさせました。永年の労使慣行を壊してまで経費削減と尻叩きをエスカレートしていることに私たち受給者としても警戒が必要です。
「海外部門でも効率化推進」
亀沢社長は「国内の不振を補ってきた海外事業も見直す。欧米の規模拡大を改め、アジアではフィンテックを活用した新サービスに活路を見いだす」「08年のリーマン・ショック以降、経営難に陥った欧米銀を尻目に海外での融資を伸ばしてきたが、世界的な金利低下によって収益性は下がっている。資本規制の厳格化も逆風で、貸出資産は減らしていく方針」「19年度は数千社の取引先のうち、すでに約100社と不採算の取引を解消した。逆に、成長余地の大きい東南アジアでは新事業に挑む。足がかりとなるのは、約780億円を出資する予定の配車最大手グラブだ。これをもとに三菱UFJ傘下のアユタヤ銀行から運転資金を貸し出す。いずれは日本を含む他地域への展開を目指す」
これには、銀行が規制されている広告やデータビジネスを手がけられるようになっていることが重要だ。銀行の規制緩和に期待したい」
「デジタル通貨(通称MUFGコイン)は20年度の後半にはサービスを始める。リクルートと合弁会社の設置で合意しており、利用する企業ともいま話し合いをしている」
「米国のアカマイ社と開発を進めている高速決済基盤も下期には稼働する。…まずはクレジットカードから始める。その後はポイントや電子マネーのやりとりにも広げる」と積極的な抱負を語っています。
金融庁・日銀検査が特別にあったローン担保証券(CLO)については、「全く心配していない。リーマンショックの後に金融商品としてのストラクチャーが強固になった。加えて私たちが保有しているCLOは(最も格付けの高い)トリプルA格だ。」との見解です。
頭取に宛て要望書を送付しました。
当会は2018年7月に、リスク分担型の導入を検討しないよう要望する書簡を頭取に提出しましたが、現下情勢を考えてリスク分担型だけでなく他の重要問題についても意見表明と問題提起・要望が必要と考えて次の書簡を2月に出しました。
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2020年2月26日
株式会社三菱UFJ銀行
頭取 三毛兼承様
三菱UFJ銀行の企業年金を考える会
会 長 髙橋希穗
事務局長 稲邑明也
謹啓 時下、経営環境が厳しい中ではありますが、ご清栄ご健勝のことと存じます。
ご多忙の最中に、僭越なお手紙を差し上げます失礼をお許し下さい。
この数年来、厚生労働省は企業年金制度の改定に取り組み、17年1月にリスク分担型企業年金制度を創設する政省令を施行しました。これを導入する企業は徐々に増え、銀行業界ではりそな銀行、三井住友銀行がリスク対応掛金を取り入れ、南都銀行は全面導入し受給者をも移行させました。
そして貴行企業年金基金においては、リスク対応掛金を開始できるよう会計規程を改定しました。
今、国内外で経済バブル化と崩壊が懸念される中、新型肺炎拡散による打撃が加わって不透明感が一段と増大し、他方ではデジタライゼーション対応も求められるなど、銀行の経営環境が大きく変化しつつあります。このような状況下、受給者の間では、リスク分担型に限らず他の面でも懸念が広がりつつあり、貴行に別紙の通り当会の要望と見解を申しあげる次第です。
諸課題山積の折ですが、ご高覧のうえ、ご高配頂けますよう宜しくお願い致します。
末筆ながらご健康にご留意の上、ご奮闘頂くことを念じております。 謹白
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記
一、リスク分担型企業年金の導入を検討されることのないよう要望します。
リスク分担型企業年金は、重大な法的問題など様々にあり「確定給付」に値しないものと当会では考えています。特に受給者の立場から次の点を重視しています。
1.確定給付企業年金は、退職時に貴行が確定した金額を給付すると約束したものであり、受給者はこれを基本として生活し将来設計もしており、命綱であります。
しかるに、この給付がリスク分担型に移行すると不安定なものとなること、特に市場激動の時に減額措置を自動的に講ずるのが狙いであることを考えますと、受給者に理不尽な打撃を与えるものです。
2.そもそも確定給付企業年金は、企業の責任でコストとリスクを負担して給付するものなのに、加入者・受給者にもリスクを分担させるという点で、退職年金の本質を歪める不条理なものです。
3.企業年金の受給権は個々人固有の債権であり、この変更には個別の同意が必要、というのは民法の基本原則です。それにも関わらず厚生労働省は、規約の変更によってリスク分担型への移行ができる、移行時に減額でなければ受給者の同意は不要、としております。しかし、同意のない債務変更・不履行は債権法上、出来ないと考えています。
また、厚生労働省が、厚労省令施行日(2017.1.1)前に退職している受給者に対しても移行させ得るし、移行に同意不要、としていますのは、不遡及の原則にも反する不利益強要と考えております。
4.リスク分担型へ受給者をも移行するに当り、厚生労働省は「労働組合と企業の合意のみで可」としています。しかし、上記厚労省令施行日前、あるいは労使合意前に退職済みの債権者たる受給者を脱退者として埒外に置き、債権債務関係の当事者でない労働組合が規約変更に合意して、実質的に減額給付があり得る制度を導入するとすれば、債権法上何ら根拠がない不当な変更と考えております。
二、現役行員には労働条件向上、受給者には既得権確保に努められるよう要望します。
1.銀行は既にキャッシュバランスプランを導入し、更に個人型確定拠出年金の導入が可能でない段階で、確定拠出年金法に無い「シニアライフプラン支援制度」なるものを言わば脱法的に実施しました。
一昨年、新人事制度導入、給与体系変更があり、今また定例給与・臨時給与合算の給与決定方式で全層一律のベースアップ廃止が企図されています。給与の三本柱の一つであった退職金は四半世紀を超えて据え置かれ目減り一方のままです。従業員組合が市銀連共闘で進めてきた労働条件の向上、労使慣行尊重、労使相互信頼が崩される事態に、受給者としては看過し得ない想いがあります。現役行員の処遇引き下げが、受給者にも及ぶ可能性を危惧する声が広がりつつあることも事実です。
2.平均余命の延伸と共に終身年金の企業負担増大を回避するための改定方式が、厚労省の企業年金・個人年金部会の審議を経て、実施される見通しとなってきました。同部会では他にも企業の負担を加入者・受給者に皺寄せする施策の審議がされました。既にみずほ銀行は年金制度改定案の中に、給付期間延伸と引き換えに給付額減をワンセットの形で取り入れています。
厚労省の様々な改定が現役のみならず受給者にも波及する可能性はないのか、受給者の中にも懸念の声が出ています。
三メガバンクが交代で副会長に就いている経団連が、厚労省と連携して種々の改定を推進してきた経過からも、貴行が今次の厚労省方針を導入しないか不安が出てくるのは尤もなことです。
現役行員だけでなく永らく頑張ってきた退職者の働きがあってこその銀行経営であり、当事者の満足度向上に繋がる経営が求められることはご高承のことで、貴行におかれては常々コンプライアンスを重視されており、この姿勢から労働基準法の定める労働条件向上義務、民法(債権法)の定める諸原則に即して企業年金の改悪となる施策を検討されないよう、要請します。
三、世のため人のためとなる健全経営への更なるご努力を期待します。
1.近時の銀行経営苦境の要因に「アベノミクス」「異次元の金融緩和」があり、この政策以降7年余、様々な弊害と矛盾が露わとなっているにも拘わらずマイナス金利深掘りさえ取り沙汰されてきました。
この制約状況下、銀行は「MUFG再創造イニシアティブ」を掲げ、デジタライゼーション対応も含め経営計画を推進中ですが、安定的な資金収益の減少が行員の人事施策改変に繋がり、前述のように受給者も不安を抱く状況です。諸々の手数料改定が今では口座維持管理料の検討に至るとか、店舗削減で不便をかこつ利用者増大とか、社会的に波紋を広げています。
2.`16年にマイナス金利政策が開始された時、当時の平野頭取は異を唱え国債入札の特別参加者の資格返上に踏み切ったことは見識ある措置と評価される面がありました。現行政策の弊害と副作用が一段と明かな今、官製相場などでバブル化が進んで崩壊の懸念が強まっていますし、米中通商摩擦や新型肺炎ほか国内外の諸リスクが増大するもと、金融市場の激動が危惧されます。
このような情勢下、異次元金融緩和からの出口戦略、アベノミクスからの転換、基本的には国民本位の経済政策をトップバンクとして求めていくことが望まれます。すなわち、国民の購買力を増大させてこそ需要減退からくるデフレを克服し、日本経済も成長できるし銀行の発展も期待できます。従って今や個々の企業が購買力低下となる人件費圧縮や企業本位の給与改定、企業年金改悪を止めることが求められます。
マイナス金利政策から転換する国が出てきましたが、この方向でこそ副作用を克服し銀行の経営も健全化に向かうし、企業年金は利回りが向上し、国民も金利増収で潤い、諸々の好循環が実現します。四月に銀行協会会長にご就任予定の頭取におかれては、この観点で銀行と業界が世のため人のためとなるようご奮闘されることを期待するものです。
3.蛇足ではありますが、受給者もステークホルダーであることにご高配下さい。
MUFGとしては「ステークホルダーとの責任ある対話」が強調され「従業員」もその対象として明示されていますが、受給者も永年貴行の発展に尽くしてきた従業員でありましたし、今は企業年金の債権者でもあり、その対象となるものです。
ステークホルダー重視について統合報告書2019年版は「ステークホルダーの皆さまとの責任ある対話を通じた企業価値の向上」の見出しで「持続的に成長と企業価値の向上には、多様なステークホルダーからの支持を頂くことが必要不可欠です。 さまざまなコミュニケーションにより得られたステークホルダーの期待と要請を、経営改善に活かしています」とあります。
さらに、MUFG情報開示方針では「ステークホルダーの皆さまの関心事項等を踏まえた適切な対応を行い、かかるステークホルダーの皆さまとの対話を通じて得た知見をMUFGグループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上に活かすように努めます」と記されています。
これらの点は貴行企業年金基金も準じるものと考えています。企業年金の運営について厚労省はガバナンスの向上を掲げ業務内容の開示などで前向きの方向性を打ち出しています。
しかるに、当会がこれまで度々基金を訪問し代議員会議事録と関連資料の写しを所望しても閲覧のみに制限されています。既に上場企業でもインターネットで重要事項を全面開示するとか(例えば日本金属㈱)、他行では(例えば三井住友銀行)現役・受給者がネットで可成りの情報に接することが可能となっています。このような流れも勘案の上、当会に対して資料提供頂けるようご高配を希望します。
また、今年度第三四半期決算でバンクダナモンの株価下落に伴い巨額の減損処理が行われ、これが企業年金改悪の引き金にならないか、との不安も出ています。MUFGはのれん償却額2,074億円ですが、銀行単体は株式減損4,001億円と巨額(当期資金利益の2/3相当)であり、率直な処、受給者からリスク管理はどうなっているのか、株式取得を急いで高値掴みでなかったか、検証はどうなっているのか、など余波懸念からの声が出ています。ステークホルダーの率直な声として受け止めて頂けますよう希望します。 以上
以上
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